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4章、弟がやって来た
第26話
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そして又、いつもの医務室の天井だ。
もうね、天井の木目で5つあるベッドの内のどれか分かるくらいに常連だ。
この熊に見える模様があるのは右から2番目のベッド。
白いカーテンを開けると青い顔をしたガイがそこにいた。
「ガイ、授業は大丈夫なの?」
「もう終わった。ジュリアこそ大丈夫なのか?」
「私が倒れるのはいつものことじゃない」
ガイが首を横に振った。
「いつもと違った。顔が真っ白になっていって、このまま目を覚さないんじゃないかって」
私は急にガイに抱き締められた。
「心配したんだ!」
ガイの大きな体が小刻みに震えていた。
よっぽどガイに怖い思いをさせてしまったらしい。
私は安心させるようにガイの背中をそっと撫でた。
「心配させてごめんね。体は大丈夫だと思う。あの時、急に失っていた記憶が甦ってきて、意識を保っていられなかったの」
「記憶が戻ったのか?」
「一部だけね、それも川に流されて死にかけていた時の記憶だったから死にそうに見えたのかも」
「何だか面白そうな話をしているね」
クーリエ先生に声をかけられた。
「記憶が戻ったんだって?そんな面白そうな話、私は聞いてなかったよ」
クーリエ先生が私に向かってにっこりと微笑んだ。
あちゃあ、クーリエ先生の存在を忘れてた。
「‥‥あの、私の個人的なことで、そんなに面白くもないと」
「生徒が記憶喪失に罹っているのなら校医の私が把握しておくべきだよね」
「お忙しいクーリエ先生を煩わせる程のことでも‥」
「私がジュリアのことを知っておきたい。
知る理由が必要ならホーン男爵家に婚約の打診をしようか。
婚約者になら話してくれるだろう?」
「喋ります、全て話しますから、そんな怖いこと言わないでください」
結局私は記憶に関してのアレコレをクーリエ先生に吐かされた。
もちろん転生のことは除いてだ。そんなことまで話したら頭がおかしい奴と思われるだろう。
「フウン、家族の記憶も曖昧ね。そんな状態なのに誰にも相談しなかった訳だ。
そこの筋肉馬鹿以外には」
「筋肉馬鹿なんて酷いです。ガイは見た目よりずっと優しくて繊細なんです」
「私の方が頼りになると思わなかった?」
ちょっと拗ねたようにクーリエ先生が言った。
「クーリエ先生は大人だから頼りにはなるだろうけど、裏がありそうで怖いです」
「ジュリアは私のことを信じてくれないの?」
「だってクーリエ先生のことをよく知らないもの。
先生のファンは過激だって聞くから怖いじゃないですか」
「ジュリア、何でも正直に言えば良いってものじゃない。
私の元に嫁ぐ前に淑女教育をやり直さないとね」
「嫁ぎません。王族になんて絶対に嫁ぎませんから」
「私のことをよく知る機会を今度作ろう。楽しみにして待っていてくれ」
クーリエ先生が楽しそうに笑った。
医務室を出てもまだガイは深刻そうな顔をしていた。
「本当に体は平気だから心配しないで」
「あのさ、クーリエ先生は本当に揶揄っているだけだと思っている?
俺にはジュリアに本気で気があるように見えるんだけど」
「じゃあ、クーリエ先生がロリコンだっていうの?
私って10歳くらいにしか見えないんでしょ」
「いや、最近はもう少し上に見えるけど、そうじゃなくてクーリエ先生がジュリアと会話することを凄く楽しんでいるように見えたんだ」
「私を揶揄うのが楽しいんでしょう」
「そうかな?」
「そうだよ」
ガイと会話しながら学園の校門まで来たとき、声をかけられた。
「ジュリア!」
校門の前に笑顔のウォルターが立っていて、私を見つけて大きく手を振った。
もうね、天井の木目で5つあるベッドの内のどれか分かるくらいに常連だ。
この熊に見える模様があるのは右から2番目のベッド。
白いカーテンを開けると青い顔をしたガイがそこにいた。
「ガイ、授業は大丈夫なの?」
「もう終わった。ジュリアこそ大丈夫なのか?」
「私が倒れるのはいつものことじゃない」
ガイが首を横に振った。
「いつもと違った。顔が真っ白になっていって、このまま目を覚さないんじゃないかって」
私は急にガイに抱き締められた。
「心配したんだ!」
ガイの大きな体が小刻みに震えていた。
よっぽどガイに怖い思いをさせてしまったらしい。
私は安心させるようにガイの背中をそっと撫でた。
「心配させてごめんね。体は大丈夫だと思う。あの時、急に失っていた記憶が甦ってきて、意識を保っていられなかったの」
「記憶が戻ったのか?」
「一部だけね、それも川に流されて死にかけていた時の記憶だったから死にそうに見えたのかも」
「何だか面白そうな話をしているね」
クーリエ先生に声をかけられた。
「記憶が戻ったんだって?そんな面白そうな話、私は聞いてなかったよ」
クーリエ先生が私に向かってにっこりと微笑んだ。
あちゃあ、クーリエ先生の存在を忘れてた。
「‥‥あの、私の個人的なことで、そんなに面白くもないと」
「生徒が記憶喪失に罹っているのなら校医の私が把握しておくべきだよね」
「お忙しいクーリエ先生を煩わせる程のことでも‥」
「私がジュリアのことを知っておきたい。
知る理由が必要ならホーン男爵家に婚約の打診をしようか。
婚約者になら話してくれるだろう?」
「喋ります、全て話しますから、そんな怖いこと言わないでください」
結局私は記憶に関してのアレコレをクーリエ先生に吐かされた。
もちろん転生のことは除いてだ。そんなことまで話したら頭がおかしい奴と思われるだろう。
「フウン、家族の記憶も曖昧ね。そんな状態なのに誰にも相談しなかった訳だ。
そこの筋肉馬鹿以外には」
「筋肉馬鹿なんて酷いです。ガイは見た目よりずっと優しくて繊細なんです」
「私の方が頼りになると思わなかった?」
ちょっと拗ねたようにクーリエ先生が言った。
「クーリエ先生は大人だから頼りにはなるだろうけど、裏がありそうで怖いです」
「ジュリアは私のことを信じてくれないの?」
「だってクーリエ先生のことをよく知らないもの。
先生のファンは過激だって聞くから怖いじゃないですか」
「ジュリア、何でも正直に言えば良いってものじゃない。
私の元に嫁ぐ前に淑女教育をやり直さないとね」
「嫁ぎません。王族になんて絶対に嫁ぎませんから」
「私のことをよく知る機会を今度作ろう。楽しみにして待っていてくれ」
クーリエ先生が楽しそうに笑った。
医務室を出てもまだガイは深刻そうな顔をしていた。
「本当に体は平気だから心配しないで」
「あのさ、クーリエ先生は本当に揶揄っているだけだと思っている?
俺にはジュリアに本気で気があるように見えるんだけど」
「じゃあ、クーリエ先生がロリコンだっていうの?
私って10歳くらいにしか見えないんでしょ」
「いや、最近はもう少し上に見えるけど、そうじゃなくてクーリエ先生がジュリアと会話することを凄く楽しんでいるように見えたんだ」
「私を揶揄うのが楽しいんでしょう」
「そうかな?」
「そうだよ」
ガイと会話しながら学園の校門まで来たとき、声をかけられた。
「ジュリア!」
校門の前に笑顔のウォルターが立っていて、私を見つけて大きく手を振った。
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