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5章、人はそれをロリコンと呼ぶ
第38話
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いつまでも領地を離れていられないからと両親が領地へ帰って行った。
爵位持ちは領地があるから安定しているけれど自由が少ない。留守にする時は領で雇っている準貴族の騎士に魔獣退治を任せて行くけど、任せっぱなしにすると反乱を起こされたりする。
領民は自分たちを守ってくれない領主に従わない。ライメルス王国は亡国から逃れて来た王族とその家臣で作った国だ。平民も元を辿れば貴族である。貴族と平民の差は魔法が使える事と魔力量の差だ。その魔力を使って領民を守らない領主など要らないと平民は考える。
なつめの感覚だと貴族なんて偉そうにして領地から税金を取っていればいい気がするけど、此処では貴族は率先して戦わなければならない。ライメルスの貴族は大変だ。
私はまだしばらく王宮治療院で治療を受けることになっている。侍女がいなくなってしまったのでお母様の伝手で新しい侍女が付けられた。
マリーさんという50歳を過ぎたベテランさんだ。若い侍女だとまたウォルターに恋をして私におかしな事する心配があるから。
ちょっとふっくらとしたマリーさんを私はすぐに好きになった。
ウォルターは王都に残っている。
病気の姉さんを残して領地には帰れないと言っていた。まったく心配性なんだから。
早く魔法学園に戻りたかったのにクーリエ先生の許可が下りない。毒の治療は初期の対応が大事なのだと言う。
ぼんやりしているのも何だから足りない知識を補うために本を読んで過ごしていた。
まだ記憶が抜け落ちている部分が多いのか、今迄勉強をして来なかったのか、私には常識的な知識が足りていない。
例えばこのトゥールエント大陸にある国がライメルス王国だけなのも知らなかった。
大陸にひとつしか無いライメルス王国が北寄りなのは南に強い魔獣が出るからだ。
南方に出る強い魔獣の代表がドラゴンだ。
ドラゴン、あのドラゴンだよ。ファンタジー世界の定番。夢が広がる、とか思ったのは過去の話。図鑑を見たら恐竜だった。翼竜とか肉食で有名なあの恐竜なんかが図鑑に載っていた。しかも火とか吐くんだよ。どこの怪獣大◯争だよ。
私は絶対に南方には行かない。命が惜しいもの。
王宮治療院でまったり過ごしていたら思わぬ人が訪ねて来た。
ライメルス王国の王太子ジェームズ・ジーク・ライメルス殿下である。
魔力開封の儀式のときに顔を見たきりの王太子殿下が何故⁈
見舞いを断りたい、断りたいけど断れない。
王太子殿下に病室に入って頂くことにした。私は病人なのでベッドに横になったままでも構わないと言われたが、さすがに横になったままではマズい。
私は椅子に座らせてもらって対面することにした。
対面した王太子殿下は私に満面の笑みを向けた。
「ずっとまた会いたいと思っていたんだ。ジュリア・ホーン」
そう言って私の手を握って来た王太子殿下に、私はイヤなものを感じていた。
爵位持ちは領地があるから安定しているけれど自由が少ない。留守にする時は領で雇っている準貴族の騎士に魔獣退治を任せて行くけど、任せっぱなしにすると反乱を起こされたりする。
領民は自分たちを守ってくれない領主に従わない。ライメルス王国は亡国から逃れて来た王族とその家臣で作った国だ。平民も元を辿れば貴族である。貴族と平民の差は魔法が使える事と魔力量の差だ。その魔力を使って領民を守らない領主など要らないと平民は考える。
なつめの感覚だと貴族なんて偉そうにして領地から税金を取っていればいい気がするけど、此処では貴族は率先して戦わなければならない。ライメルスの貴族は大変だ。
私はまだしばらく王宮治療院で治療を受けることになっている。侍女がいなくなってしまったのでお母様の伝手で新しい侍女が付けられた。
マリーさんという50歳を過ぎたベテランさんだ。若い侍女だとまたウォルターに恋をして私におかしな事する心配があるから。
ちょっとふっくらとしたマリーさんを私はすぐに好きになった。
ウォルターは王都に残っている。
病気の姉さんを残して領地には帰れないと言っていた。まったく心配性なんだから。
早く魔法学園に戻りたかったのにクーリエ先生の許可が下りない。毒の治療は初期の対応が大事なのだと言う。
ぼんやりしているのも何だから足りない知識を補うために本を読んで過ごしていた。
まだ記憶が抜け落ちている部分が多いのか、今迄勉強をして来なかったのか、私には常識的な知識が足りていない。
例えばこのトゥールエント大陸にある国がライメルス王国だけなのも知らなかった。
大陸にひとつしか無いライメルス王国が北寄りなのは南に強い魔獣が出るからだ。
南方に出る強い魔獣の代表がドラゴンだ。
ドラゴン、あのドラゴンだよ。ファンタジー世界の定番。夢が広がる、とか思ったのは過去の話。図鑑を見たら恐竜だった。翼竜とか肉食で有名なあの恐竜なんかが図鑑に載っていた。しかも火とか吐くんだよ。どこの怪獣大◯争だよ。
私は絶対に南方には行かない。命が惜しいもの。
王宮治療院でまったり過ごしていたら思わぬ人が訪ねて来た。
ライメルス王国の王太子ジェームズ・ジーク・ライメルス殿下である。
魔力開封の儀式のときに顔を見たきりの王太子殿下が何故⁈
見舞いを断りたい、断りたいけど断れない。
王太子殿下に病室に入って頂くことにした。私は病人なのでベッドに横になったままでも構わないと言われたが、さすがに横になったままではマズい。
私は椅子に座らせてもらって対面することにした。
対面した王太子殿下は私に満面の笑みを向けた。
「ずっとまた会いたいと思っていたんだ。ジュリア・ホーン」
そう言って私の手を握って来た王太子殿下に、私はイヤなものを感じていた。
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