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7章、ユニコーンを探せ

第49話

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 第3王子ディビット殿下からの手紙の内容は、ちょうど魔法学園の冬休み期間に王太子殿下が国外に行く公務が出来たので、その時に会いたいと言うものだった。

 私は治療で王宮治療院に行くので、その時で良ければ会いましょうと手紙を送った。
 ディビット王子からは王太子殿下にバレないようにエドワード王子に手紙を渡して欲しいと書かれていたが、それは私の命に関わる。キャサリン様に連絡を取ってキャサリン様経由で渡してもらうことにした。

 ガイは私がキャサリン様に会うことにいい顔をしない。理由を聞いたらキャサリン様が貴族らしい貴族だから、と言われた。
 どういう意味???頭にはてなマークが沢山並んだけど、ジュリアには分からなくていいと言われた。

 ガイはあまり貴族っぽくないけど、私よりは貴族のことを分かっている。
 考えても分からないことは置いておいておこう。今の私にはやらなければならない事がある。ユニコーンを探して召喚獣契約をするのだ。

 魔法学園と学園寮の間の道沿いには学生の好きそうな飲食店や女子生徒に人気のある雑貨屋などが立ち並んでいる。

 私はガイに寮に送ってもらう帰り道、ユニコーンを探した。

 王都に入った日にユニコーンを見かけてから、私は何度もユニコーンを見ていた。この魔法学園と寮をつなぐ道にユニコーンは毎日のように現れた。
 そこの本屋の前や飲食店の影に佇んでいたりしていた。
 私はユニコーンと眼を合わせないようにして来たけど、ユニコーンと出会うだけなら楽勝だと思っていた。

 のに‥‥アレ?あんなに頻繁に見かけたユニコーンがいない。
 そう言えば王宮治療院に入院した後から、ユニコーンを一度も見ていない気がする。

 「誰か探しているのか?」
 キョロキョロと周りを見回している私にガイが言った。
 「うん‥」
 ユニコーンを見かけなかったか聞こうとして、私にしか見えなかった事を思い出した。

 ガイに秘密を作りたくないけど、ユニコーンを探しているなんて言ったら頭のおかしい人だと思われないかな?

 「誰を探しているんだ?俺も一緒に探してやろうか?」
 「うん、大丈夫、私だけで探せるから‥」
 私はやっぱりユニコーンの事は言わないことにした。
 「‥‥また変なことに首を突っ込んでるんじゃないだろうな?」
 「私、大人しくしてると思うんだけど」
 「ジュリアはすぐに死にかけるから‥‥」
 「これから健康になる予定だから大丈夫だよ」

 ユニコーンと召喚獣契約して、パーフェクトキュアを覚えて健康体になるんだ。
 
 それにしてもユニコーンが見つからない。
 『おーい、ユニコーンさん、どこにいるのー、出てきておくれ!』
 心の中で呼びかけても反応がない。
 探しものが見つからなくなる、何とかの法則なんて言葉が思い浮かんだ。

 結局ユニコーンが見つからないまま、私は冬休みを迎えることとなった。
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