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ユウトは刻まれた魔術式の他に変更点がないかと入念に大剣を眺める。そうしていると空気の変化を身体が読み取りユウトに変化を伝えてきた。無意識に閉じられた扉の方へ視線を移す。一拍おいたのち扉は勢いよく開け放たれた。
「よう!準備はできているか?よしユウトも来ているな。行くぞ!」
筋骨隆々の男が入ってくるなり大声で話しかけてくる。その風貌は几帳面さが目立ち、服に汚れなどなく身に着けたマントや靴の手入れは行き届いていた。
「待ってくれ、デイテス。お披露目会にはまだ早いんじゃないか。そんなに急がなくてもいいと思うけど」
「もうすぐ雨が降りそうだと俺の髭が示している。会場の準備も整っているようだったし早めに終わらせようじゃないか」
デイタスは得意げに整えられた髭を撫でる。
「どうだセブル。雨は降りそう?」
セブルは全身の毛を一度波打たせた。
「確かに湿度は高めですね。雲の量も多そうでしたし間違ってはないと思います」
「そうか、わかった。モリード、少し早いけど会場に行こうか」
モリードはユウトの言葉を聞いてグイっとカップの湯気立つ液体を飲み干しカップを勢いよく脇の小さな机の上に置く。
「よし。準備するよ」
それまで眠たそうだった瞳をぎらつかせてきぱきと大剣を布にくるんで紐で縛り上げ、デイタスがそれをしっかり持つと三人は屋敷を後にした。道なりにしばらく歩き続けると崩壊塔につながる一直線の道にでる。そして崩壊塔に向けてさらに足早で崩壊塔につながる検問所を目指した。
三人は慣れた手つきでそれぞれがプレートを取り出し掲げながら門のような建物をくぐる。そして崩壊塔に続く道を途中で直角に曲がり石畳ではない草が踏みしめられた野道を進んだ。
向かう先には人だかりが見え始める。距離が近づき、そこに集まる人々の顔や服装の品の良さは一般人でないとユウトにも何となくわかった。
「おや、早いな。もうお披露目をするか?」
三人を見つけ、一人の女性が声を掛けてくる。いつもの作業用の制服ではなくより正装いった感じの服に身を包んだ工房長のマレイだった。ユウトにはどこか窮屈そうに見える。
「ええ、早めに済ませておこうと思います」
「へぇ、どこの組もギリギリまで調整を重ねるというのに余裕じゃないか。期待しているよ。不出来な時は予算の減額は覚悟しておけ」
マレイは皮肉交じりのにこやかな笑顔で手を振りながらユウト達の前から去っていった。
「かなり不機嫌そうでしたね。マレイ」
セブルがユウトにつぶやく。
「あれは八つ当たりだな。商人や騎士団への売り込みはマレイに向いてないよな」
ユウトは苦笑しながら話す。マレイのいつもより大人しい振る舞いから、苛立ちをかなりため込んでいるのではないかと予想できた。
「さ、急ごう。マレイの言葉は気にしなくていいと思うよ」
ユウトはマレイを前にして硬直したモリードとデイタスを急かした。
手続きも終わりユウトは二人と別れ、人だかりから少し離れた場所で大剣を担いで待機する。そこにはユウトの他に数人いてそれぞれ何かしらの魔術武具と思われるものを持っていた。
すでにお披露目は始まっている。崩壊塔と市街地の間に広がる草原の一角は刈り込まれて競技場のように見えた。そしてその中心にはところどころ小さな傷の入った黒い巨石が一つ鎮座している。そこへ向かって歩いていく人影が一人。それは短槍を持ったレナだった。
「レナはもう順番か。ずいぶん早いな」
「きっと無意味に急かしたんだと思いますよ。レナのことですし」
「あれ?オイラなぜかレナが怖く見えるっス」
ユウトとセブル、ラトムが話している間にレナの持つ魔槍の説明が製作者と思われる人物からなされる。その説明をその場に集まっている人々は熱心に聞いていた。
説明が終わるとレナに合図が出される。レナは頷き短槍を巨石に向かって構えた。
一瞬の静寂。
瞬間、レナから放たれた短槍の突きが槍の長さ以上の間合いを詰めて巨石に衝撃を与える。
レナの態勢は崩れない。すぐさま構え直され連撃が叩き込まれる。巨石には次々と波紋のような白い傷が刻まれていく。
突きの次は斬撃へと変化し横に縦にとラインが入る。
その様子を見つめる人々はときおり「おお」と感嘆の声が上げながら、レナの切れ間のない攻撃の演武に集中していた。
レナは最後の一撃とばかりに力を溜めた突きを繰り出し、それまで黒い石に白く刻まれた衝撃の後をすべて塗り替えて披露を終える。そしてそれを見つめていた人々から盛大に拍手が送られた。
ユウトも始めてみるレナの演武に驚いている。ディゼルとの一悶着でのレナの動きから只者ではないということは予想していたが実際に目の当たりにすると予想以上だった。
それまでユウトはてっきり魔鳥戦で見せた投擲を披露するものばかりと思っていたがそれ以上の魔槍の能力にも驚く。レナの魔槍の先端は攻撃の瞬間に刀身が三つに少しだけ展開しユウトが使用していた光魔剣のような魔力の刃を一瞬だけ放出していた。
ユウトの光魔剣が参考にされていることは確かだったが、その発想をこの短期間の内に取り入れる技術とそれをすでに使いこなしてしまうレナの技量にユウトは唸らされてしまう。
「よう!準備はできているか?よしユウトも来ているな。行くぞ!」
筋骨隆々の男が入ってくるなり大声で話しかけてくる。その風貌は几帳面さが目立ち、服に汚れなどなく身に着けたマントや靴の手入れは行き届いていた。
「待ってくれ、デイテス。お披露目会にはまだ早いんじゃないか。そんなに急がなくてもいいと思うけど」
「もうすぐ雨が降りそうだと俺の髭が示している。会場の準備も整っているようだったし早めに終わらせようじゃないか」
デイタスは得意げに整えられた髭を撫でる。
「どうだセブル。雨は降りそう?」
セブルは全身の毛を一度波打たせた。
「確かに湿度は高めですね。雲の量も多そうでしたし間違ってはないと思います」
「そうか、わかった。モリード、少し早いけど会場に行こうか」
モリードはユウトの言葉を聞いてグイっとカップの湯気立つ液体を飲み干しカップを勢いよく脇の小さな机の上に置く。
「よし。準備するよ」
それまで眠たそうだった瞳をぎらつかせてきぱきと大剣を布にくるんで紐で縛り上げ、デイタスがそれをしっかり持つと三人は屋敷を後にした。道なりにしばらく歩き続けると崩壊塔につながる一直線の道にでる。そして崩壊塔に向けてさらに足早で崩壊塔につながる検問所を目指した。
三人は慣れた手つきでそれぞれがプレートを取り出し掲げながら門のような建物をくぐる。そして崩壊塔に続く道を途中で直角に曲がり石畳ではない草が踏みしめられた野道を進んだ。
向かう先には人だかりが見え始める。距離が近づき、そこに集まる人々の顔や服装の品の良さは一般人でないとユウトにも何となくわかった。
「おや、早いな。もうお披露目をするか?」
三人を見つけ、一人の女性が声を掛けてくる。いつもの作業用の制服ではなくより正装いった感じの服に身を包んだ工房長のマレイだった。ユウトにはどこか窮屈そうに見える。
「ええ、早めに済ませておこうと思います」
「へぇ、どこの組もギリギリまで調整を重ねるというのに余裕じゃないか。期待しているよ。不出来な時は予算の減額は覚悟しておけ」
マレイは皮肉交じりのにこやかな笑顔で手を振りながらユウト達の前から去っていった。
「かなり不機嫌そうでしたね。マレイ」
セブルがユウトにつぶやく。
「あれは八つ当たりだな。商人や騎士団への売り込みはマレイに向いてないよな」
ユウトは苦笑しながら話す。マレイのいつもより大人しい振る舞いから、苛立ちをかなりため込んでいるのではないかと予想できた。
「さ、急ごう。マレイの言葉は気にしなくていいと思うよ」
ユウトはマレイを前にして硬直したモリードとデイタスを急かした。
手続きも終わりユウトは二人と別れ、人だかりから少し離れた場所で大剣を担いで待機する。そこにはユウトの他に数人いてそれぞれ何かしらの魔術武具と思われるものを持っていた。
すでにお披露目は始まっている。崩壊塔と市街地の間に広がる草原の一角は刈り込まれて競技場のように見えた。そしてその中心にはところどころ小さな傷の入った黒い巨石が一つ鎮座している。そこへ向かって歩いていく人影が一人。それは短槍を持ったレナだった。
「レナはもう順番か。ずいぶん早いな」
「きっと無意味に急かしたんだと思いますよ。レナのことですし」
「あれ?オイラなぜかレナが怖く見えるっス」
ユウトとセブル、ラトムが話している間にレナの持つ魔槍の説明が製作者と思われる人物からなされる。その説明をその場に集まっている人々は熱心に聞いていた。
説明が終わるとレナに合図が出される。レナは頷き短槍を巨石に向かって構えた。
一瞬の静寂。
瞬間、レナから放たれた短槍の突きが槍の長さ以上の間合いを詰めて巨石に衝撃を与える。
レナの態勢は崩れない。すぐさま構え直され連撃が叩き込まれる。巨石には次々と波紋のような白い傷が刻まれていく。
突きの次は斬撃へと変化し横に縦にとラインが入る。
その様子を見つめる人々はときおり「おお」と感嘆の声が上げながら、レナの切れ間のない攻撃の演武に集中していた。
レナは最後の一撃とばかりに力を溜めた突きを繰り出し、それまで黒い石に白く刻まれた衝撃の後をすべて塗り替えて披露を終える。そしてそれを見つめていた人々から盛大に拍手が送られた。
ユウトも始めてみるレナの演武に驚いている。ディゼルとの一悶着でのレナの動きから只者ではないということは予想していたが実際に目の当たりにすると予想以上だった。
それまでユウトはてっきり魔鳥戦で見せた投擲を披露するものばかりと思っていたがそれ以上の魔槍の能力にも驚く。レナの魔槍の先端は攻撃の瞬間に刀身が三つに少しだけ展開しユウトが使用していた光魔剣のような魔力の刃を一瞬だけ放出していた。
ユウトの光魔剣が参考にされていることは確かだったが、その発想をこの短期間の内に取り入れる技術とそれをすでに使いこなしてしまうレナの技量にユウトは唸らされてしまう。
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