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急行
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ユウト、モリード、デイタスの三人は自身たちの工房の扉を勢いよく開け放ち雨を避けるように入ってくる。それぞれかぶっていたフードを外し濡れたマント、ローブを壁に備え付けられたフックに掛けた。
セブルはユウトのマントから降り立ち固く光沢を持たせていた毛を背伸びをするように伸ばして水を飛ばす。ラトムは飛びながら熱風を出して濡れた水分を飛ばすのに一役買っていた。
デイタスは持っていた大剣の布を取り払いもと合った中央の台に丁寧に置く。モリードはさっそく状態をチェックし始めた。
その様子を眺めながらユウトはお披露目のことを思い出しながら声を掛ける。
「何とかうまく術を発動出来てよかったよ。見せるなら派手にしろってマレイにいきなり言われたときはどうなるかとヒヤヒヤしてたけど」
「せっかく練習を重ねた連続技の演武を見せられなかったのは全く残念だったな!ユウト!」
デイタスはそう言いながらユウトの肩をバンバンと叩く。その打撃の強さにユウトは腰が落ちそうになった。
「刀身に目立った亀裂は見られない。作動線も問題なし。土壇場の調整もうまくいったみたいでよかった」
モリードは大剣の外装を外して入念に観察を終えて腰に手を当てながら満足げにユウトとデイタスに検査結果をした。
「後は結果を待つだけか。やっぱり緊張するな」
ぼそりとユウトはつぶやく。ここ数日の短い間ではあったもののユウトはこの大剣の開発を楽しんでいた。純粋な楽しみとして開発に取り組んだ日々はいつ自身の命の扱いが変わるかわからないこの世界でユウトは一時の平和を感じている。その一つの集大成としてお披露目を行い、それを第三者から評価されるということが楽しみでもあり不安も感じていた。
「そんなに深刻に考えなくてもいいよ。ぼくはもし支援金を得られなくて工房予算を減らされたとしても構わず開発は続けるつもりだよ。まぁ多少不便になってしまうかもしれないけどね」
モリードは心から楽しそうな笑顔でユウトに言葉を返す。
「私もだぞ。廃れていく両手剣術を活かせるこの大剣開発をあきらめることはない!」
デイタスはそう言ったガハハと笑った。
そして三人の言葉は切れ、工房の屋根を叩く雨音が響いて落ち着いた空気が流れる。しかしそれはすぐにかき消された。
ユウトは何か胸がざわめく感覚を読み取る。咄嗟に気になったのは外だった。ユウトは自然と正面扉に視線が吸い寄せられる。理由もなくぐっと扉を見つめるユウトにモリードもデイタスもセブル、ラトム全員が何か張り詰めたユウトを見た。
その時扉が強く叩かれ、声が扉の向こうから響く。
「ユウト!ユウトいる?」
その声がレナであるとユウトはすぐにわかった。
厚い扉を超えて聞こえる声にただならない状況であることがユウトにはすぐ想像がつく。すぐに扉に駆け寄り開いた。
レナは大きく息を切らしている。手にはお披露目で見せていた魔槍を強く握り締めていた。
「何があったんだ」
ユウトは気持ちを静め淡々とした口調でレナに尋ねる。レナが数回の呼吸で息を整えて話し始めた。
「新種の魔物が出た。今、街道の大柱のところで警備兵達とにらみ合っているらしい。
そんでその魔物、あんたを呼んで来いって言葉を使ってるって。とりあえず急いで現場に向かって」
「わかった。すぐに向かう」
ユウトがそう言うとセブルはすぐさま外にでてその体を大きくさせて待機する。ラトムは壁に掛けられたマントを掴んで広げ、ユウトが羽織るのを待った。
「モリード、大剣はすぐに使えるか?」
ユウトはラトムの持ったマントを羽織りながらモリードに尋ねる。
「すまない。今、点検で外装を外してしまっている。使えるようにするには時間が必要だ」
「もしかしたら必要になるかもしれない。準備をお願いする」
「うん。急ぐよ」
ユウトはモリードとデイタスを見て小さくうなずき、二人もうなずき返す。そして戸口へ向かった。
「セブル、レナも一緒に乗せてくれ。丸薬を使う」
「え?あたしも?」
「ああ、戦力は多い方がいい。何が起こるかわからない」
ユウトは腰の小型のかばんから丸薬を取り出しセブルに差し出す。セブルはそれを口に含みながらユウトに語り掛けた。
「ユウトさん大丈夫ですか?レナと密着することになりますけど」
「何とか我慢する。だから頼んだよセブル、急いで現場まで連れて行ってくれ」
「はい!任せてください」
セブルはゴクリと丸薬を飲み込んだと同時にその体をさらに膨らませる。ユウトが前、レナが後ろという順にセブルにまたがりセブルは力を溜めると弾けるように駆け出し、濡れた石畳を流れる雨水を跳ねさせた。
ラトムは先を雨も気にすることなく先導し、セブルの道筋を指し示す。
悪天候にも関わらず工房街の道は人で溢れている。誰もが遠く広場の先で光る赤い火を眺めていた。
セブルは背を向けて火に注目する人々の波の動きを予測し時に急角度に曲がり時には遠く跳んで走り抜ける。急に後方から通り過ぎていくセブルとユウト、レナをはっきりと認識できる人はおらず、何が起こったのか理解できないまま走り去る黒い疾風を呆然と眺めた。
セブルはユウトのマントから降り立ち固く光沢を持たせていた毛を背伸びをするように伸ばして水を飛ばす。ラトムは飛びながら熱風を出して濡れた水分を飛ばすのに一役買っていた。
デイタスは持っていた大剣の布を取り払いもと合った中央の台に丁寧に置く。モリードはさっそく状態をチェックし始めた。
その様子を眺めながらユウトはお披露目のことを思い出しながら声を掛ける。
「何とかうまく術を発動出来てよかったよ。見せるなら派手にしろってマレイにいきなり言われたときはどうなるかとヒヤヒヤしてたけど」
「せっかく練習を重ねた連続技の演武を見せられなかったのは全く残念だったな!ユウト!」
デイタスはそう言いながらユウトの肩をバンバンと叩く。その打撃の強さにユウトは腰が落ちそうになった。
「刀身に目立った亀裂は見られない。作動線も問題なし。土壇場の調整もうまくいったみたいでよかった」
モリードは大剣の外装を外して入念に観察を終えて腰に手を当てながら満足げにユウトとデイタスに検査結果をした。
「後は結果を待つだけか。やっぱり緊張するな」
ぼそりとユウトはつぶやく。ここ数日の短い間ではあったもののユウトはこの大剣の開発を楽しんでいた。純粋な楽しみとして開発に取り組んだ日々はいつ自身の命の扱いが変わるかわからないこの世界でユウトは一時の平和を感じている。その一つの集大成としてお披露目を行い、それを第三者から評価されるということが楽しみでもあり不安も感じていた。
「そんなに深刻に考えなくてもいいよ。ぼくはもし支援金を得られなくて工房予算を減らされたとしても構わず開発は続けるつもりだよ。まぁ多少不便になってしまうかもしれないけどね」
モリードは心から楽しそうな笑顔でユウトに言葉を返す。
「私もだぞ。廃れていく両手剣術を活かせるこの大剣開発をあきらめることはない!」
デイタスはそう言ったガハハと笑った。
そして三人の言葉は切れ、工房の屋根を叩く雨音が響いて落ち着いた空気が流れる。しかしそれはすぐにかき消された。
ユウトは何か胸がざわめく感覚を読み取る。咄嗟に気になったのは外だった。ユウトは自然と正面扉に視線が吸い寄せられる。理由もなくぐっと扉を見つめるユウトにモリードもデイタスもセブル、ラトム全員が何か張り詰めたユウトを見た。
その時扉が強く叩かれ、声が扉の向こうから響く。
「ユウト!ユウトいる?」
その声がレナであるとユウトはすぐにわかった。
厚い扉を超えて聞こえる声にただならない状況であることがユウトにはすぐ想像がつく。すぐに扉に駆け寄り開いた。
レナは大きく息を切らしている。手にはお披露目で見せていた魔槍を強く握り締めていた。
「何があったんだ」
ユウトは気持ちを静め淡々とした口調でレナに尋ねる。レナが数回の呼吸で息を整えて話し始めた。
「新種の魔物が出た。今、街道の大柱のところで警備兵達とにらみ合っているらしい。
そんでその魔物、あんたを呼んで来いって言葉を使ってるって。とりあえず急いで現場に向かって」
「わかった。すぐに向かう」
ユウトがそう言うとセブルはすぐさま外にでてその体を大きくさせて待機する。ラトムは壁に掛けられたマントを掴んで広げ、ユウトが羽織るのを待った。
「モリード、大剣はすぐに使えるか?」
ユウトはラトムの持ったマントを羽織りながらモリードに尋ねる。
「すまない。今、点検で外装を外してしまっている。使えるようにするには時間が必要だ」
「もしかしたら必要になるかもしれない。準備をお願いする」
「うん。急ぐよ」
ユウトはモリードとデイタスを見て小さくうなずき、二人もうなずき返す。そして戸口へ向かった。
「セブル、レナも一緒に乗せてくれ。丸薬を使う」
「え?あたしも?」
「ああ、戦力は多い方がいい。何が起こるかわからない」
ユウトは腰の小型のかばんから丸薬を取り出しセブルに差し出す。セブルはそれを口に含みながらユウトに語り掛けた。
「ユウトさん大丈夫ですか?レナと密着することになりますけど」
「何とか我慢する。だから頼んだよセブル、急いで現場まで連れて行ってくれ」
「はい!任せてください」
セブルはゴクリと丸薬を飲み込んだと同時にその体をさらに膨らませる。ユウトが前、レナが後ろという順にセブルにまたがりセブルは力を溜めると弾けるように駆け出し、濡れた石畳を流れる雨水を跳ねさせた。
ラトムは先を雨も気にすることなく先導し、セブルの道筋を指し示す。
悪天候にも関わらず工房街の道は人で溢れている。誰もが遠く広場の先で光る赤い火を眺めていた。
セブルは背を向けて火に注目する人々の波の動きを予測し時に急角度に曲がり時には遠く跳んで走り抜ける。急に後方から通り過ぎていくセブルとユウト、レナをはっきりと認識できる人はおらず、何が起こったのか理解できないまま走り去る黒い疾風を呆然と眺めた。
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