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御願
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何度か正面扉の金具を叩かれたのち、次に声が聞こえる。
「ユウトだ。先に帰ってきた。開けてもらっていいかな」
ネイラは水の注がれた取っ手のついている杯を二つ、レナとノノに渡すと急ぎ足で正面扉へと向かう。
「わかった。今開けるよ」
そう言ってネイラは内側から扉を開いた。
開けた扉を持つネイラにユウトは声を掛ける。
「一人と一体、お客がいるんだけど構わないかな」
「一体?まぁいい、構わないよ。入りな」
ネイラの返事を聞いてユウトは後ろを振り返るとカーレンと目を合わせて笑顔でうなずく。そして扉をくぐって進んだ。
ユウトに続いてカーレンがくぐり抜け、最後にヴァルが滑るようにネイラの前を通り過ぎる。ネイラはヴァルを興味深そうに眼で追い、扉を閉めた。
「カーレン!来てたんだ!」
中庭から玄関広間にやってきたレナはカーレンを見つけると嬉しそうに声を上げて駆け寄る。まじまじと室内を眺めていたカーレンもレナに気づいて表情を明るくさせた。
「また会えてうれしいです、レナさん。しばらくここでお世話になることになりました。レナさんも兄の工房に滞在しているんですか?」
「基本的に大工房にいる間はここで生活させてもらってる。別の住まいもあるにはあるんだけど・・・そっちはほとんど物置かな」
レナは苦笑いで答える。その様子にネイラが口を挟んだ。
「食事も洗濯も私に任せきりでね。レナに一人暮らしはもうしばらくは無理なんだよ」
思わぬ情報の暴露にレナは焦りの表情を浮かべる。身長に勝るネイラに上目遣いに睨みつけた。
「ちょっとネイラ。余計なこと言わないでよ!」
三人の賑やかなやり取りを眺めていたユウトはヴァルの方を見る。そちらではノノが獲物を捕らえようとする猫のように前のめりに両手を突き出しながらヴァルへと迫っていた。ヴァルはノノに対して一切の反応を見せない。ついにノノに両手が薄い金属光沢の表面を捉えてまじまじと観察され始めてしまった。
「この完璧な対象と曲面・・・いったいどうやってできてるの・・・」
ヴァルは何も言わないず、ただなされるがままノノにいいようにぺたぺたと触られている。
そんな様子を見ていたユウトは一人、鼻から息を勢いよく吸い込む。そして胸を張って背筋を伸ばすと声を発した。
「みんなっ!聞いて欲しい」
ユウトはこの場の和気あいあいとした雰囲気に勇気をもって声を上げる。声は玄関広間に響き渡り、その場の全員から注目を集めると、ユウトは被っていたフードを取って全員を見渡した。
「これから起こること。これからやろうとすることについてに皆にちゃんと説明しておきたい」
それからユウトはゴブリンロードとの会談、ラーラとの契約、大魔獣討伐にゴブリン殲滅ギルドと調査騎士団、大工房との共闘の約束を手短にしつつも丁寧に語る。そして一通り説明し終えて言葉を続けた。
「レナ、ネイラ、ノノには後でレイノス副隊長やヨーレンから話はあると思う。
でもまず、オレからお願いしたい。助けて欲しい。今はとにかく信用できる人手が必要なんだ。オレはこの作戦に命を懸ける覚悟だ。どうだろう」
ユウトは臆せずレナ、ネイラ、ノノへ正面から目を合わせて語りかえる。まず最初に反応したのはレナだった。
「もちろん、あたしはやるわ。ユウトに頼まれなくたって無理やりにでも関わるんだから」
レナは堂々とした自信にあふれる瞳で答える。次に声を上げたのはノノだった。
「わ、わたしも参加させてもらうわ。私の魔術具が人を救えることを証明してみせる」
ノノは小さな手を握り締めて意気込みを語る。ネイラは腕を組んでうつむき思案するように黙っていた。
ユウトは返事をせかすことなくじっと待つ。少しの間をおいてネイラは口を開いた。
「戦闘には参加できない。でもそれ以外に私にできることはさせてもらうよ。それでもいいのかい?」
申し訳なさそうに答えたネイラにユウトは笑顔を返す。
「もちろんだ。それで十分。ほんとに助かるよ」
ユウトの言葉にネイラはほっと安心したような表情になった。
「具体的な予定や作戦の調整はマレイがやってくれている。明日の会議でより具体的にやることが決まってくると思う」
話しを続ける中でユウトは安心感から肩の力が抜けていくのを感じる。思わず緊張で伸びていた背筋が曲がると、それと同時にぐう~っと腹が鳴った。
「ふふっ、そう言えばもう正午の鐘は鳴ってしばらく経っていたかな。昼食にしよう」
ネイラだけが可笑しく笑い、レナ達は不思議そうにネイラを見る。どうやらネイラにだけは聞こえてしまったようだとユウトは一人恥ずかしさを堪えた。
「手早く作るよ。ノノ、カーレンを空いてる部屋に通してあげな。カーレンはその甲冑と荷物を下ろしておいで。レナ、あんたは今のうちに汗を拭いて来ることだ。ほっとくと臭い始めるよ。
ユウトは・・・そうだね、そこのでかい卵と食堂で待機だな。手伝うことができたら呼ぶ」
矢継ぎ早にネイラは指示を出すと厨房の方へ向かって行ってしまう。残された者は呆気にとられていると厨房の方から大声で「ぼーっとしない!」とネイラの声が響いて一斉に動き出した。
「ユウトだ。先に帰ってきた。開けてもらっていいかな」
ネイラは水の注がれた取っ手のついている杯を二つ、レナとノノに渡すと急ぎ足で正面扉へと向かう。
「わかった。今開けるよ」
そう言ってネイラは内側から扉を開いた。
開けた扉を持つネイラにユウトは声を掛ける。
「一人と一体、お客がいるんだけど構わないかな」
「一体?まぁいい、構わないよ。入りな」
ネイラの返事を聞いてユウトは後ろを振り返るとカーレンと目を合わせて笑顔でうなずく。そして扉をくぐって進んだ。
ユウトに続いてカーレンがくぐり抜け、最後にヴァルが滑るようにネイラの前を通り過ぎる。ネイラはヴァルを興味深そうに眼で追い、扉を閉めた。
「カーレン!来てたんだ!」
中庭から玄関広間にやってきたレナはカーレンを見つけると嬉しそうに声を上げて駆け寄る。まじまじと室内を眺めていたカーレンもレナに気づいて表情を明るくさせた。
「また会えてうれしいです、レナさん。しばらくここでお世話になることになりました。レナさんも兄の工房に滞在しているんですか?」
「基本的に大工房にいる間はここで生活させてもらってる。別の住まいもあるにはあるんだけど・・・そっちはほとんど物置かな」
レナは苦笑いで答える。その様子にネイラが口を挟んだ。
「食事も洗濯も私に任せきりでね。レナに一人暮らしはもうしばらくは無理なんだよ」
思わぬ情報の暴露にレナは焦りの表情を浮かべる。身長に勝るネイラに上目遣いに睨みつけた。
「ちょっとネイラ。余計なこと言わないでよ!」
三人の賑やかなやり取りを眺めていたユウトはヴァルの方を見る。そちらではノノが獲物を捕らえようとする猫のように前のめりに両手を突き出しながらヴァルへと迫っていた。ヴァルはノノに対して一切の反応を見せない。ついにノノに両手が薄い金属光沢の表面を捉えてまじまじと観察され始めてしまった。
「この完璧な対象と曲面・・・いったいどうやってできてるの・・・」
ヴァルは何も言わないず、ただなされるがままノノにいいようにぺたぺたと触られている。
そんな様子を見ていたユウトは一人、鼻から息を勢いよく吸い込む。そして胸を張って背筋を伸ばすと声を発した。
「みんなっ!聞いて欲しい」
ユウトはこの場の和気あいあいとした雰囲気に勇気をもって声を上げる。声は玄関広間に響き渡り、その場の全員から注目を集めると、ユウトは被っていたフードを取って全員を見渡した。
「これから起こること。これからやろうとすることについてに皆にちゃんと説明しておきたい」
それからユウトはゴブリンロードとの会談、ラーラとの契約、大魔獣討伐にゴブリン殲滅ギルドと調査騎士団、大工房との共闘の約束を手短にしつつも丁寧に語る。そして一通り説明し終えて言葉を続けた。
「レナ、ネイラ、ノノには後でレイノス副隊長やヨーレンから話はあると思う。
でもまず、オレからお願いしたい。助けて欲しい。今はとにかく信用できる人手が必要なんだ。オレはこの作戦に命を懸ける覚悟だ。どうだろう」
ユウトは臆せずレナ、ネイラ、ノノへ正面から目を合わせて語りかえる。まず最初に反応したのはレナだった。
「もちろん、あたしはやるわ。ユウトに頼まれなくたって無理やりにでも関わるんだから」
レナは堂々とした自信にあふれる瞳で答える。次に声を上げたのはノノだった。
「わ、わたしも参加させてもらうわ。私の魔術具が人を救えることを証明してみせる」
ノノは小さな手を握り締めて意気込みを語る。ネイラは腕を組んでうつむき思案するように黙っていた。
ユウトは返事をせかすことなくじっと待つ。少しの間をおいてネイラは口を開いた。
「戦闘には参加できない。でもそれ以外に私にできることはさせてもらうよ。それでもいいのかい?」
申し訳なさそうに答えたネイラにユウトは笑顔を返す。
「もちろんだ。それで十分。ほんとに助かるよ」
ユウトの言葉にネイラはほっと安心したような表情になった。
「具体的な予定や作戦の調整はマレイがやってくれている。明日の会議でより具体的にやることが決まってくると思う」
話しを続ける中でユウトは安心感から肩の力が抜けていくのを感じる。思わず緊張で伸びていた背筋が曲がると、それと同時にぐう~っと腹が鳴った。
「ふふっ、そう言えばもう正午の鐘は鳴ってしばらく経っていたかな。昼食にしよう」
ネイラだけが可笑しく笑い、レナ達は不思議そうにネイラを見る。どうやらネイラにだけは聞こえてしまったようだとユウトは一人恥ずかしさを堪えた。
「手早く作るよ。ノノ、カーレンを空いてる部屋に通してあげな。カーレンはその甲冑と荷物を下ろしておいで。レナ、あんたは今のうちに汗を拭いて来ることだ。ほっとくと臭い始めるよ。
ユウトは・・・そうだね、そこのでかい卵と食堂で待機だな。手伝うことができたら呼ぶ」
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