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「我が命を懸けるという証拠か。いいだろう」
ロードは感情の起伏のない返事をすると着ていた服を止める紐をゆっくりと緩め始める。その間、誰も何も言葉を発することなくロードの様子をただじっと注視したいた。
そしてロードが紐を解き終わり、服の両端を広げ自身の胸、腹をさらけ出す。その姿を直視してその様子を見ていた者たちから小さなどよめきが起こった。
ロードの胸の中心には石が埋め込まれている。その石を中心にして太い血管のようなものが全身へ伸び、さらに波紋のような文字がびっしりと貧相なロードの身体の表面に刻み込まれていた。石と文字はほのかにゆっくりと明滅を繰り返している。それはまるでロードの生気を吸い取っているかのようにユウトには見えた。
ロードはゆっくりと話始める。
「これは古の技術、呪いの類だ。全身全霊、感情、思いもすべて飲み込んで破滅の光へ変換される。発動はその者の死だ」
淡々と語るロードの姿をその場の誰もが固唾を呑んだ。
ロードの身体は埋め込まれた石に近いほど生気がなく、乾燥しひび割れを起こし、壊死しているようにも見える。
「差し出せるものは全て捧げた。あとは命の灯のみ」
その言葉にこれまで感情のこもらなかったロードの言葉に意思が乗ったようにユウトは感じた。
「確認した。皆も納得できたはずだ。感謝する」
マレイの言葉にユウトはその場の全員が頷いたように見える。それだけロードの姿は見た目以上の何かがあった。
「そちらは何かこの場で尋ねることがあるか?」
「ない。ないが一つこの場で言いたいことがある」
「なんだ?」
ロードは瞳を閉じ、一拍の間をおいて語り始める。
「我々、古きゴブリンは滅ぶ。その事実は我が命を懸けて保証する。古きローゴブリンの上帝としてこれまで一切のローゴブリンの罪を背負い、消滅しよう。
だが残すものがある。そこにいるユウト」
ユウトは自身の名を突然呼ばれて心臓が跳ねた。
「そして数人の新しきハイゴブリンたちだ。願わくば彼らを一つの種として受け入れ、共に共存する道を探ることを望んでいる」
「それは・・・ゴブリンロードからの頼みか?」
「違う。これは個としての願い。祈りと言ってもいい。疎まれ滅びゆく種の最後の一体がそんなことを考えていたのだと、知ってさえくれればいい」
マレイはロードの言葉を受けて目を伏せ、何かを考えている。
「そうか。確かに受け取った。私もそのような未来があることを祈ろう。
わざわざ足を運んでもらったこと、感謝する」
じっとロードを見つめ、マレイは語った。
「それでは我はこれで失礼する」
ロードはそう言いながら服を着なおし、深々と布で自身に覆いつくす。
「ユウト、ロードの見送りを頼む」
「あ、ああ。そうだな、わかった」
突然のマレイから言葉を掛けられユウトは慌てて答えると、すでに出口へと向かい始めているロードの後を追う。去り際、視界の隅で見た会議の面々から緊張の糸が緩み、安堵するような雰囲気を感じた。
ユウトはテントの出口をでてすぐ、ロードに追いつく。そこから今度はユウトがロードについていくような形で門まで進んでいった。
門を出て、この日最初に言葉を交わしたところまで戻ってくる。そこでロードを乗せたヴァルは止まるとくるりと半回転して振り向いた。
「ユウト、ここからさらに下ったところにリナたち姉妹が来ている。顔を合わせておくといい」
「えっ?」
ロードはそう言ってユウトの返事も待たず、ヴァルは半回転して進み始める。立ち止まっていたユウトはどうしたものかと一瞬思い悩んだ。そして意を決してロードの後を追い駆ける。進み続けるロードは何も言わずユウトは見慣れた大釜の草原を歩いた。
「なぁロード。一つ聞いてもいいか?」
「なんだ」
ユウトは思い切ってロードに声を掛け、ロードはいたって普通に返事を返す。
「さっき会議で見せた切り札。それをもってしても大魔獣を一撃では倒しきれないのか?なんとなくだけど、その術式が発動すれば大抵のものは消し飛んでしまいそうな気がするけど」
それこそ、仮にあのテントでロードを殺してしまえば野営基礎の者が消えてなくなりそうなきさへするとユウト自身は感じ、同じことあの場の人間も感じのではないかと考えていた。
「足りない」
「足りない?」
ユウトは思わず聞き返す。
「この術式の餌は負の感情だ。とりわけ絶望を好む。その性能を完璧に引き出せれば想像もできないほどの性能を発揮するだろう。
しかし、我にはそれができない。下手な知恵を持ったばかりに冷静に自身を観察し、あきらめがついてしまう。理性的であればあれるほどこの術式とは相性が悪い」
「ならどうしてそんな方法を選んだんだ?」
「あらゆる点で時間がなかった。特に魔物の活性化で選択できる手段が限られてしまった。だから例え非効率だとしても最も短時間で可能性の高いこの方法を選んだ」
「足りない分はオレ達で埋めろというわけか」
ユウトが知る中で最も饒舌に語っていたロードの言葉が一瞬止まった。
「そう言うことだ。だが裏返せば足りない絶望の感情は希望の表れでもある」
「希望?どういうことだ?」
ロードは感情の起伏のない返事をすると着ていた服を止める紐をゆっくりと緩め始める。その間、誰も何も言葉を発することなくロードの様子をただじっと注視したいた。
そしてロードが紐を解き終わり、服の両端を広げ自身の胸、腹をさらけ出す。その姿を直視してその様子を見ていた者たちから小さなどよめきが起こった。
ロードの胸の中心には石が埋め込まれている。その石を中心にして太い血管のようなものが全身へ伸び、さらに波紋のような文字がびっしりと貧相なロードの身体の表面に刻み込まれていた。石と文字はほのかにゆっくりと明滅を繰り返している。それはまるでロードの生気を吸い取っているかのようにユウトには見えた。
ロードはゆっくりと話始める。
「これは古の技術、呪いの類だ。全身全霊、感情、思いもすべて飲み込んで破滅の光へ変換される。発動はその者の死だ」
淡々と語るロードの姿をその場の誰もが固唾を呑んだ。
ロードの身体は埋め込まれた石に近いほど生気がなく、乾燥しひび割れを起こし、壊死しているようにも見える。
「差し出せるものは全て捧げた。あとは命の灯のみ」
その言葉にこれまで感情のこもらなかったロードの言葉に意思が乗ったようにユウトは感じた。
「確認した。皆も納得できたはずだ。感謝する」
マレイの言葉にユウトはその場の全員が頷いたように見える。それだけロードの姿は見た目以上の何かがあった。
「そちらは何かこの場で尋ねることがあるか?」
「ない。ないが一つこの場で言いたいことがある」
「なんだ?」
ロードは瞳を閉じ、一拍の間をおいて語り始める。
「我々、古きゴブリンは滅ぶ。その事実は我が命を懸けて保証する。古きローゴブリンの上帝としてこれまで一切のローゴブリンの罪を背負い、消滅しよう。
だが残すものがある。そこにいるユウト」
ユウトは自身の名を突然呼ばれて心臓が跳ねた。
「そして数人の新しきハイゴブリンたちだ。願わくば彼らを一つの種として受け入れ、共に共存する道を探ることを望んでいる」
「それは・・・ゴブリンロードからの頼みか?」
「違う。これは個としての願い。祈りと言ってもいい。疎まれ滅びゆく種の最後の一体がそんなことを考えていたのだと、知ってさえくれればいい」
マレイはロードの言葉を受けて目を伏せ、何かを考えている。
「そうか。確かに受け取った。私もそのような未来があることを祈ろう。
わざわざ足を運んでもらったこと、感謝する」
じっとロードを見つめ、マレイは語った。
「それでは我はこれで失礼する」
ロードはそう言いながら服を着なおし、深々と布で自身に覆いつくす。
「ユウト、ロードの見送りを頼む」
「あ、ああ。そうだな、わかった」
突然のマレイから言葉を掛けられユウトは慌てて答えると、すでに出口へと向かい始めているロードの後を追う。去り際、視界の隅で見た会議の面々から緊張の糸が緩み、安堵するような雰囲気を感じた。
ユウトはテントの出口をでてすぐ、ロードに追いつく。そこから今度はユウトがロードについていくような形で門まで進んでいった。
門を出て、この日最初に言葉を交わしたところまで戻ってくる。そこでロードを乗せたヴァルは止まるとくるりと半回転して振り向いた。
「ユウト、ここからさらに下ったところにリナたち姉妹が来ている。顔を合わせておくといい」
「えっ?」
ロードはそう言ってユウトの返事も待たず、ヴァルは半回転して進み始める。立ち止まっていたユウトはどうしたものかと一瞬思い悩んだ。そして意を決してロードの後を追い駆ける。進み続けるロードは何も言わずユウトは見慣れた大釜の草原を歩いた。
「なぁロード。一つ聞いてもいいか?」
「なんだ」
ユウトは思い切ってロードに声を掛け、ロードはいたって普通に返事を返す。
「さっき会議で見せた切り札。それをもってしても大魔獣を一撃では倒しきれないのか?なんとなくだけど、その術式が発動すれば大抵のものは消し飛んでしまいそうな気がするけど」
それこそ、仮にあのテントでロードを殺してしまえば野営基礎の者が消えてなくなりそうなきさへするとユウト自身は感じ、同じことあの場の人間も感じのではないかと考えていた。
「足りない」
「足りない?」
ユウトは思わず聞き返す。
「この術式の餌は負の感情だ。とりわけ絶望を好む。その性能を完璧に引き出せれば想像もできないほどの性能を発揮するだろう。
しかし、我にはそれができない。下手な知恵を持ったばかりに冷静に自身を観察し、あきらめがついてしまう。理性的であればあれるほどこの術式とは相性が悪い」
「ならどうしてそんな方法を選んだんだ?」
「あらゆる点で時間がなかった。特に魔物の活性化で選択できる手段が限られてしまった。だから例え非効率だとしても最も短時間で可能性の高いこの方法を選んだ」
「足りない分はオレ達で埋めろというわけか」
ユウトが知る中で最も饒舌に語っていたロードの言葉が一瞬止まった。
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