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拝謁
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「それで、こうして来てもらったのは先日の魔獣討伐のおり、まだ息のあった魔獣の一部がネコテンになった、という報告を受けてな。大石橋砦で現れたそのラトムの経過も合わせて話を聞いておきたい」
ユウトはやっぱりかと思い、どう答えればいいかを思案して沈黙する。そんなユウトの心情を察したのかクロノワは言葉を続けた。
「あまり緊張しないでくれ。どうにかしてらろうって言うんじゃないんだ。
調査騎士団の役割というのは人に害なす魔物を討伐することを主にしていると捉えられがちなのだが、本来はその名の通り魔物を調査、研究することが主な目的であるんだよ。
だから直ちに危害を加えるような魔物でなくてもなんらかの情報があれば調べておきたいのさ」
クロノワの説明でユウトの緊張は多少ほぐれる。
「話しが聞きたい理由はわかったけど、どうして今なんだ?そちらも今は忙しそうなのに」
ユウトの質問にクロノワは少し困ったような笑顔へ表情が変わり、頭をかいた。
「あー・・・それはな、気を悪くしないで欲しいんだが、明日ユウトの身に何が起こるかわからないからだ。まぁ最悪の事態というのはいつでもあり得るのだが」
ユウトはクロノワの回答に内心、はっとして気づく。ロードの企みをどうにかして上手く成功させるかばかりに気を取られ、自らの身の危うさについて気をまわしていなかった。
「確かにそうだ。オレは明日、死ぬかもしれないんだった」
ぽかんとした表情でユウトはつぶやいた。
「ははは、作戦の要がその調子ならこちらとしては頼もしいな」
ユウトのつぶやきにクロノワは軽い笑い声を織り交ぜて答える。ユウトは自身から漏れた言葉に恥ずかしくなってしまった。
「いや、変なことを口走ってしまってすまない。えっと、それで具体的に何が聞きたいんだ?」
居たたまれなさを紛らわすようにユウトは話題を切り替えようと努める。
「そうだな。ディゼルとカーレンが詳しく話を聞くことになっている。まぁどちらも現場にいたからな。二人について言ってくれ」
「ではユウト、騎士団の詰め所で話を聞かせてもらうよ」
クロノワの目配せでディゼルが歩き始め、その後ろにカーレンがついていく。
「ではまたな、ユウト。明日はよろしく頼む」
「ああ、また」
クロノワはユウトの返事を聞き終わると身体を反転し、眼下の隊列の様子を確認し始めた。
ディゼルがユウトの横を通り過ぎ、ユウトも振り向いてカーレンに続いてその場を離れる。セブルとラトムが安堵のため息をつく中、未だユウトは自身の心境の変化を受け止め斬れずにいた。
野営基地のテント群の一角でマレイはふんと鼻を鳴らす。その身はお披露目会で装っていた正装に身を包んでいた。
目の前には会議で使用したのと同じ大きさのテント。その周りには大工房の防衛隊と調査騎士団とまた違う鎧を着込んだ少人数の兵士達が静かにたたずんでいた。
マレイは首元の襟に指を入れて不機嫌そうに指を滑らせると入口の垂れ幕を掲げてくぐる。その先にももう一枚の垂れ幕がかかりその前で足を止めて声を発した。
「恐れ入ります。大工房執政官マレインヤーでございます。今後の予定についてご連絡に上がりました」
はきはきとした調子でマレイは声を発して返事を待つ。
「承知いたしました・・・どうぞ中へ」
間をおいて垂れ幕越しに声が返された。
マレイは目の前の垂れ幕をくぐり抜ける。その先の最も広い空間には鮮やかな絨毯が敷き詰められており、中央最奥に置かれた衝立の前に据えられた豪奢な机、椅子に一人の女性が腰かけていた。そして部屋の端にもう一人、老齢な女性が目を伏せ置物のように立っている。マレイは最奥の座っている人物を視界の中心にとらえながら部屋の中心まで歩みを進めた。
「あはようございます。ドゥーセン中央政務官。昨晩はお眠りになられましたでしょうか?」
「ええ、急な申し出に関わらず、ご配慮いただき感謝しています」
椅子に腰かけ、紙や皮が広がる机の上で両手を重ねながらドゥーセンはにっこりとした笑顔でマレイに礼をつたえる。
「恐縮です。それでは早速ですが決定いたしました予定について申し上げます。
最後のゴブリンを星の大釜にて追い詰め、討伐を決行するのは明日になる予定です。ゴブリン殲滅ギルド副長レイノスより連絡がありました。
つきましては明日、明朝より物見矢倉上で立会人として、ご確認をお願いいたします」
マレイはそう言って目を伏せた。
「了承しました。いよいよですね。各方面から要人を招いているとか」
「はい。一つの節目として内外に訴える良い機会と存じ、独断ながらその準備を進めてまいりました」
マレイは目を開き、ドゥーセンと反対に硬い表情のまますらすらと答える。
「これよりこの国の復興が始まるのろしとなることを私も期待します」
「尽力いたします。それでは明日の準備もございますのでこれにて失礼いたします」
ドゥーセンは静かにゆっくりと頷き、それを確認したマレイは踵を返してその場を後にした。
テントを出てすぐマレイは大股に歩みを進めながら長く低い息を吐く。
「頼んでもないのに一番面倒なのが来たかッ!」
一人悪態をつきながら進むマレイは首元の襟を緩め、いら立ちをぶつけるようにして乱暴に上着を脱いだ。
ユウトはやっぱりかと思い、どう答えればいいかを思案して沈黙する。そんなユウトの心情を察したのかクロノワは言葉を続けた。
「あまり緊張しないでくれ。どうにかしてらろうって言うんじゃないんだ。
調査騎士団の役割というのは人に害なす魔物を討伐することを主にしていると捉えられがちなのだが、本来はその名の通り魔物を調査、研究することが主な目的であるんだよ。
だから直ちに危害を加えるような魔物でなくてもなんらかの情報があれば調べておきたいのさ」
クロノワの説明でユウトの緊張は多少ほぐれる。
「話しが聞きたい理由はわかったけど、どうして今なんだ?そちらも今は忙しそうなのに」
ユウトの質問にクロノワは少し困ったような笑顔へ表情が変わり、頭をかいた。
「あー・・・それはな、気を悪くしないで欲しいんだが、明日ユウトの身に何が起こるかわからないからだ。まぁ最悪の事態というのはいつでもあり得るのだが」
ユウトはクロノワの回答に内心、はっとして気づく。ロードの企みをどうにかして上手く成功させるかばかりに気を取られ、自らの身の危うさについて気をまわしていなかった。
「確かにそうだ。オレは明日、死ぬかもしれないんだった」
ぽかんとした表情でユウトはつぶやいた。
「ははは、作戦の要がその調子ならこちらとしては頼もしいな」
ユウトのつぶやきにクロノワは軽い笑い声を織り交ぜて答える。ユウトは自身から漏れた言葉に恥ずかしくなってしまった。
「いや、変なことを口走ってしまってすまない。えっと、それで具体的に何が聞きたいんだ?」
居たたまれなさを紛らわすようにユウトは話題を切り替えようと努める。
「そうだな。ディゼルとカーレンが詳しく話を聞くことになっている。まぁどちらも現場にいたからな。二人について言ってくれ」
「ではユウト、騎士団の詰め所で話を聞かせてもらうよ」
クロノワの目配せでディゼルが歩き始め、その後ろにカーレンがついていく。
「ではまたな、ユウト。明日はよろしく頼む」
「ああ、また」
クロノワはユウトの返事を聞き終わると身体を反転し、眼下の隊列の様子を確認し始めた。
ディゼルがユウトの横を通り過ぎ、ユウトも振り向いてカーレンに続いてその場を離れる。セブルとラトムが安堵のため息をつく中、未だユウトは自身の心境の変化を受け止め斬れずにいた。
野営基地のテント群の一角でマレイはふんと鼻を鳴らす。その身はお披露目会で装っていた正装に身を包んでいた。
目の前には会議で使用したのと同じ大きさのテント。その周りには大工房の防衛隊と調査騎士団とまた違う鎧を着込んだ少人数の兵士達が静かにたたずんでいた。
マレイは首元の襟に指を入れて不機嫌そうに指を滑らせると入口の垂れ幕を掲げてくぐる。その先にももう一枚の垂れ幕がかかりその前で足を止めて声を発した。
「恐れ入ります。大工房執政官マレインヤーでございます。今後の予定についてご連絡に上がりました」
はきはきとした調子でマレイは声を発して返事を待つ。
「承知いたしました・・・どうぞ中へ」
間をおいて垂れ幕越しに声が返された。
マレイは目の前の垂れ幕をくぐり抜ける。その先の最も広い空間には鮮やかな絨毯が敷き詰められており、中央最奥に置かれた衝立の前に据えられた豪奢な机、椅子に一人の女性が腰かけていた。そして部屋の端にもう一人、老齢な女性が目を伏せ置物のように立っている。マレイは最奥の座っている人物を視界の中心にとらえながら部屋の中心まで歩みを進めた。
「あはようございます。ドゥーセン中央政務官。昨晩はお眠りになられましたでしょうか?」
「ええ、急な申し出に関わらず、ご配慮いただき感謝しています」
椅子に腰かけ、紙や皮が広がる机の上で両手を重ねながらドゥーセンはにっこりとした笑顔でマレイに礼をつたえる。
「恐縮です。それでは早速ですが決定いたしました予定について申し上げます。
最後のゴブリンを星の大釜にて追い詰め、討伐を決行するのは明日になる予定です。ゴブリン殲滅ギルド副長レイノスより連絡がありました。
つきましては明日、明朝より物見矢倉上で立会人として、ご確認をお願いいたします」
マレイはそう言って目を伏せた。
「了承しました。いよいよですね。各方面から要人を招いているとか」
「はい。一つの節目として内外に訴える良い機会と存じ、独断ながらその準備を進めてまいりました」
マレイは目を開き、ドゥーセンと反対に硬い表情のまますらすらと答える。
「これよりこの国の復興が始まるのろしとなることを私も期待します」
「尽力いたします。それでは明日の準備もございますのでこれにて失礼いたします」
ドゥーセンは静かにゆっくりと頷き、それを確認したマレイは踵を返してその場を後にした。
テントを出てすぐマレイは大股に歩みを進めながら長く低い息を吐く。
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