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肩貸
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ユウトはヨーレンの手を借りながら立ち上がる。じっと立ち尽くしながらクロネコテン達が去っていった方向をただ無表情に見つめ続けていた。
そこへセブルが近づいてくるとユウトを見合上げながら声を掛ける。
「ボクだけでは足りませんでした。あの子たちを救ってあげたのはユウトさんです」
見上げてくるセブルと視線を合わせてからユウトはまたクロネコテン達の方を見た。
「そっか・・・よかったんだよな、うん」
見つめながらぽつりとつぶやくユウトにセブルが続く。
「寄り道を、させてしまいました」
「いいんだよ。ああして元気に動き回る姿をみると、ほっとする」
セブルに答えて、ユウトは目を細めると自然と微笑んだ。
「さて!もうひと踏ん張りだな」
「そうだね。あと少しだ」
ユウトのはつらつとした言葉にヨーレンが答える。
「我ノ力モ、存分ニ使ウト良イ」
「あっ!ボクだってちゃんと役に立つんですからね。どこまでだってついていきますよ!」
ヴァルとセブルがさらに続いた。
「ああ、よろしく頼むな」
ユウトはそう言ったと同時に気配を感じ取る。首と目線でここまでやってきた道のりへ振り向いた。
そこにはユウト達の方へ、ずんずんと地面を踏み鳴らすように力強い足取りで向かってくるレナの姿が遠くにある。レナは普段と変わらない装備に短槍を背負っていた。
レナは重たい表情でユウトに一直線に進行を続ける様子をユウトは見る。
「あっ・・・レナ。どうも」
レナの雰囲気に押されながらユウトはある程度の距離で声を掛けた。
しかしレナは返事をすることも止まることもなくユウトの目と鼻の先、触れてしまいそうなところでようやく立ち止まる。そして威圧的に見下ろした。
そんなレナをユウトは見上げながら全身に緊張が走る。
「・・・レナ?」
誰もが黙ったまま見守る中、ユウトは一度おそるおそる名前を呼んだ。
しばらくは風を受けて揺れた草の音だけが流れる。唐突にレナは瞳を渋く閉じてはあぁ、と大きな溜息を仰々しくついた。
「何か、文句の一つでもいってやろうってずっと考えてたけど、いざとなってしまうと思いつかないものね」
そう言って、レナはユウトから一度視線を外すと、今度は自然な表情でもう一度ユウトを見下ろす。
「まぁいいや。それより、まだ目覚めたばかりなんでしょ。あまり出歩きすぎるのは良くないじゃない?でしょ、ヨーレンさん」
そう言ってレナはヨーレンの方を見た。
「うーん・・・そうだね」
ヨーレンは抵抗なくレナの問いを肯定する。
「ほらね。そろそろ戻ろ」
レナはユウトをはさんでヨーレンと逆の方へと素早く回り込み、しゃがみ込むとユウトの空いている方の手を自身の肩へ回して立ち上がった。
「あっいや、レナ。だいじょうぶだから。ヨーレンだけで歩けるから!」
ユウトは慌てて口だけで抵抗するも、レナは意にも介さない。
「だめ。好きにさせとくとすぐ無茶をするでしょ」
レナの言い分にユウトは意表を突かれ、言葉が続かなかった。
ユウトは助けを求める視線をセブルに送る。セブルと一瞬目が合うがセブルはその視線を外した。
「そのぉ、あのあとボクはレナにめちゃくちゃ怒られたので・・・」
セブルは視線をそらしながら鳴き声と共に答える。ユウトはヴァルにも目をやって語りかけるも、ヴァルは一切反応を返さず、なめらかな鉄の表面をてからせていた。
そうしてユウトはレナと、ヨーレンに両脇を抱えられながら連行されるようにテントへと向かう。その後ろをヴァルに乗ったセブルが共についていった。
元居たテントにユウト達は戻ってくる。そこには馬車が一台乗りつけていた。
その馬車の荷台の中から男が木箱を差し出し、ハイゴブリンの姉妹たちが受け取り、せっせと運んでいる。ユウトは思考の水面を必死で水平に保ちながらその様子を見た。荷台の男がケランであることに間をおいてようやく気づく。
「あっ、ケランか。そうか、ケランならあの子たちを怖がったりしないよな」
ユウトは意識をそらすようにして思った事を口に出した。
同じくしてケランもユウトに気づいたようで箱を持ったまま身体の動きが止まる。すぐに動き出したケランは手に持った箱を姉妹たちに渡し、荷台から飛び降りるとユウトの元に駆け足で近づいてきた。
「よお、ユウト。ようやく目覚めたって聞いたが、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ。身体がちょっとなまってしまっているけど、すぐに元に戻すよ」
「そうかそうか。いやぁ良かった、一安心だ。なぁレナ」
ユウトの返事にケランは満足そうに荒い笑顔を作ってレナに顔を向ける。ユウトが見上げたレナの表情はきょとんとしたものだった。
「おい、レナ。もっと喜んでやってもいいんじゃないか?心配してたろ。まぁほとんど愚痴みたいなもんだったが」
「ええッ!聞こえてたの?」
ユウトはレナの掴む力が瞬間的に強くなったのが痛いほどわかるが声に出さない。
「なんだ、荷台のあれは独り言だったのか。聞いてほしいのかと思ってたぞ。まぁともかく願いは届いたんだ。喜べるうちに喜んでおけよ。はっはっは!」
そう言ってケランは豪快に笑った。
レナはユウトの手をそっとおろすと前にでる。そしてケランの肩をぱんと叩いた。
「それはもういいの!ほらっ水樽はまだおろしてないんでしょ!行くよっ!」
そう言ってレナはユウトに表情を見せないままの後ろ姿で荷馬車へと向かっていく。ケランは肩をさすりながら「じゃあまたな!」と元気よくレナについていった。
そこへセブルが近づいてくるとユウトを見合上げながら声を掛ける。
「ボクだけでは足りませんでした。あの子たちを救ってあげたのはユウトさんです」
見上げてくるセブルと視線を合わせてからユウトはまたクロネコテン達の方を見た。
「そっか・・・よかったんだよな、うん」
見つめながらぽつりとつぶやくユウトにセブルが続く。
「寄り道を、させてしまいました」
「いいんだよ。ああして元気に動き回る姿をみると、ほっとする」
セブルに答えて、ユウトは目を細めると自然と微笑んだ。
「さて!もうひと踏ん張りだな」
「そうだね。あと少しだ」
ユウトのはつらつとした言葉にヨーレンが答える。
「我ノ力モ、存分ニ使ウト良イ」
「あっ!ボクだってちゃんと役に立つんですからね。どこまでだってついていきますよ!」
ヴァルとセブルがさらに続いた。
「ああ、よろしく頼むな」
ユウトはそう言ったと同時に気配を感じ取る。首と目線でここまでやってきた道のりへ振り向いた。
そこにはユウト達の方へ、ずんずんと地面を踏み鳴らすように力強い足取りで向かってくるレナの姿が遠くにある。レナは普段と変わらない装備に短槍を背負っていた。
レナは重たい表情でユウトに一直線に進行を続ける様子をユウトは見る。
「あっ・・・レナ。どうも」
レナの雰囲気に押されながらユウトはある程度の距離で声を掛けた。
しかしレナは返事をすることも止まることもなくユウトの目と鼻の先、触れてしまいそうなところでようやく立ち止まる。そして威圧的に見下ろした。
そんなレナをユウトは見上げながら全身に緊張が走る。
「・・・レナ?」
誰もが黙ったまま見守る中、ユウトは一度おそるおそる名前を呼んだ。
しばらくは風を受けて揺れた草の音だけが流れる。唐突にレナは瞳を渋く閉じてはあぁ、と大きな溜息を仰々しくついた。
「何か、文句の一つでもいってやろうってずっと考えてたけど、いざとなってしまうと思いつかないものね」
そう言って、レナはユウトから一度視線を外すと、今度は自然な表情でもう一度ユウトを見下ろす。
「まぁいいや。それより、まだ目覚めたばかりなんでしょ。あまり出歩きすぎるのは良くないじゃない?でしょ、ヨーレンさん」
そう言ってレナはヨーレンの方を見た。
「うーん・・・そうだね」
ヨーレンは抵抗なくレナの問いを肯定する。
「ほらね。そろそろ戻ろ」
レナはユウトをはさんでヨーレンと逆の方へと素早く回り込み、しゃがみ込むとユウトの空いている方の手を自身の肩へ回して立ち上がった。
「あっいや、レナ。だいじょうぶだから。ヨーレンだけで歩けるから!」
ユウトは慌てて口だけで抵抗するも、レナは意にも介さない。
「だめ。好きにさせとくとすぐ無茶をするでしょ」
レナの言い分にユウトは意表を突かれ、言葉が続かなかった。
ユウトは助けを求める視線をセブルに送る。セブルと一瞬目が合うがセブルはその視線を外した。
「そのぉ、あのあとボクはレナにめちゃくちゃ怒られたので・・・」
セブルは視線をそらしながら鳴き声と共に答える。ユウトはヴァルにも目をやって語りかけるも、ヴァルは一切反応を返さず、なめらかな鉄の表面をてからせていた。
そうしてユウトはレナと、ヨーレンに両脇を抱えられながら連行されるようにテントへと向かう。その後ろをヴァルに乗ったセブルが共についていった。
元居たテントにユウト達は戻ってくる。そこには馬車が一台乗りつけていた。
その馬車の荷台の中から男が木箱を差し出し、ハイゴブリンの姉妹たちが受け取り、せっせと運んでいる。ユウトは思考の水面を必死で水平に保ちながらその様子を見た。荷台の男がケランであることに間をおいてようやく気づく。
「あっ、ケランか。そうか、ケランならあの子たちを怖がったりしないよな」
ユウトは意識をそらすようにして思った事を口に出した。
同じくしてケランもユウトに気づいたようで箱を持ったまま身体の動きが止まる。すぐに動き出したケランは手に持った箱を姉妹たちに渡し、荷台から飛び降りるとユウトの元に駆け足で近づいてきた。
「よお、ユウト。ようやく目覚めたって聞いたが、大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫だ。身体がちょっとなまってしまっているけど、すぐに元に戻すよ」
「そうかそうか。いやぁ良かった、一安心だ。なぁレナ」
ユウトの返事にケランは満足そうに荒い笑顔を作ってレナに顔を向ける。ユウトが見上げたレナの表情はきょとんとしたものだった。
「おい、レナ。もっと喜んでやってもいいんじゃないか?心配してたろ。まぁほとんど愚痴みたいなもんだったが」
「ええッ!聞こえてたの?」
ユウトはレナの掴む力が瞬間的に強くなったのが痛いほどわかるが声に出さない。
「なんだ、荷台のあれは独り言だったのか。聞いてほしいのかと思ってたぞ。まぁともかく願いは届いたんだ。喜べるうちに喜んでおけよ。はっはっは!」
そう言ってケランは豪快に笑った。
レナはユウトの手をそっとおろすと前にでる。そしてケランの肩をぱんと叩いた。
「それはもういいの!ほらっ水樽はまだおろしてないんでしょ!行くよっ!」
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