伴奏曲

necropsy

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伴奏曲5

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 ポルトガル語で書かれたメモ用紙の一文。安藤はどこか担がれた気がした。
 これが本当にパスポートなのか、インターネットで調べてもまったく安藤は意味がわからなかった。ようやく見つけた海外のHPに亜熱帯に多い野生種の花。日本でいうなら桜のようなものだろうか。
 どこか狐につつまれた気がしたがなにかが安藤を強く惹きよせた。
 そしていざ、ここに来ようとすると交通がない以前にこの島に来ることができない。
 ここまで高い旅費を使って来たのにやはり騙されたのか、安藤は大きく落胆をした。しかし「あずさ」と安藤が言い、ポルトガル語で書かれたメモ用紙の一文をみせるとじっと相手が安藤を訝るようにみた。

 内戦が激しい国が多かったためなかなか入国すらできないことが多かった。安藤はどれだけ大回りをしたことであろう。
 旅費を削る意味でバスからこぼれ落ちそうな定員オーバーを軽々と超えたバスに揺られる。さいしょは怖かったがバスの屋根も遠くが見渡せて見晴らしがいいものだ。
 治安が悪い国と内戦が多い国を渡り歩くしかない安藤は商売道具であるノートパソコンだけは奪われまいと腹部にガムテープで何重にもぐるりと巻いて固定していた。
 着替えなどを入れたリュックサックはいつ奪われてもいい。カメラ代わりのスマートホンは胸にしっかりとガムテープで貼り付けてもおいた。日本人感覚そのままで行けば身包みを剥がされる。
 それ以前に生きて次の国に行けるかもわからない無謀な旅でもあった。
 非常食代わりの乾パンと角砂糖に雑草。食べて安全なのかさえわからない食糧事情と難民で溢れかえった惨状は痛ましい限りであった。
 濁りきった河の水を飲むしかないときはタオルで濡らすと安藤はタオルを絞り濾過をした。濾過とはいえないだろうがそのまま飲むよりはいい。死体が流れる河だ。
 さいしょはジャーナリスト気分の安藤であったが銃撃戦に巻き込れるのは日常茶飯事だ。浮かれ気分ではいられなかった。
 靴を脱がずそのまま就寝する。
 おちおちと寝てもいられない。どれだけ日本が平和なのかを安藤は思い知らされた。
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