伴奏曲

necropsy

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伴奏曲26

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 教会の鐘が鳴り響いている。

 鼓動が高鳴る。
 もし自分の勘違いだったら――
 そう思いながらも、安藤はジュリアを待っていた。
 安藤を見つけるなりやジュリアが走り出す。
 たどたどしい日本語で「会いたかった」と言ってくれた。
「あの、これ」
 安藤は昨日買った紺瑠璃の耳飾りを両手に載せ差し出した。
「俺と付き合ってください」
 安藤は頭を下げ、人生ではじめて女性に交際を申し出た。
 告白をしたことはあったが、すべて日本では玉砕していた。
 でもここまで誰かを思ったことはない。
 鐘の音が高鳴る鼓動とあわさる。
 しばらくの沈黙に安藤はやはり勘違いであったのかと、そっと頭を上げた。
「ジュリア?」
 涙ぐんだジュリアが安藤に抱きついた。
「待ってた。ずっと、ずっと――」
 安藤は恐る恐るジュリアを抱きしめた。
 こんなに細い身体。
 いまにも折れそうなほどに腕にちからを入れると安藤はジュリアを強く抱きしめた。

 そっと、二人はくちびるをよせる。

 こんな自分を好きだと言ってくれる女性に俺はようやく巡り合えました。
 俺は元気に楽しく毎日を過ごしています。母さん。心配しないでください。


     *



 いよいよ近づいて来る収穫祭。
 隠れてジョンが畑を手伝ってくれているのをあずさは気づいていた。
 収穫祭の前に井戸を掘る。
 第二の人生。
 楽しく過ごそうじゃないか。
 必死にあずさは日本人をみつけると頭を下げる。
 この島の復興を願うあずさの思いはこの島の美しさに魅了された日本人にしだいに届きだす。
 畑を耕す光景を日本人はどこか、物珍しくみていた。
 まるで海原のようだ。
「どうせ私は動物園の熊ですよ」
 あずさは「ふん!」と鼻を鳴らした。
「真島さん」
 真島はジョンの住む掘っ立て小屋の崖の真上に住んでいた。
 あずさの一番の協力者だ。
「みてください。この光景を」
 一面に広がる畑に真島は満足そうに眺めてくれる。
 近々掘られる井戸も真島の協力がなければ実現しなかった。
 感謝を伝えるあずさに真島の息子は「金にもならないことをして楽しいのか? お前は熊じゃなくてただの猿。ゴリラだ」
「なによ!」
 あずさがくちを尖らす。
「雅治。よさないか」
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