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第5話~え?あの人も?~

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ハハハ…
乾いた笑いだけしか出てこない俺を尻目にどんどん話しが進んでいく

とりあえずギルドカードを貰ったが銀色で大きく「B」と書かれている。
途中で血を出せと言われたが偽造や悪用されないように必要みたいであれよあれよと血を抜かれた

ギルドカードも発行されて目的を果たしたので、
これから城に向かうとストロフさんが言ってきていよいよかと思うとまた胃が痛くなってきた…

冒険者ギルドを出るとすぐに城があってそのまま城門まで向かうと兵士がストロフさんに気づき一礼した

「ストロフ騎士団長!お戻りになられたのですね!」
「うむ、ご苦労。先に部下に伝令を任せたが伝わっているか?」
「はっ!知らせは聞いております。騎士団長が戻られたらすぐに王宮に通すよう陛下から言付かっております。」
「そうか、ではすぐにでも陛下に会いに行こう」

と、少し会話をして城門が開き中に入ったしばらく進むと目の前には映画や本でしか見たことがない城が佇んでいた。
…だが何だろう?妙に日本の城っぽい雰囲気があるような?縦長で瓦のような屋根みたいなのもあるし?

「見事な城だろう?その昔当時の国王がとある人物に設計を頼んだらしい」

何でも昔レナール王国は魔物との戦場になっていたみたいでずっと戦ってたみたいだ。
戦いの末魔物の軍勢を倒すことはできたが街や城はボロボロになってしまいその時に軍師だった人物が城の設計に携わり今の街や城が出来そこから発展していったようだ。

「出来上がった城を見たときに誰もが今までにない城だと言ってこの国の再興に一役買ったらしい。だがその人物のことはあまり詳しく記録が残っていなくてな、おそらく戦いで消失したのだろうが、今は名前のみが残っているのみだ」
「へぇ~、そうなんですね因みに何て言う名前なんですか?」
「確か「ノブナガ」と言う名前だった気がするが」
「ファッ!?!!!」

ノ、ノブナガ!?

「ん?どうしたのだ急に変な声を出して」
「あ、いい、いえ、何でも…ただ何か聞いたことのある名前だなっと思って…」
「そうか、確かにアオイ殿と似た名前っぽくもないからもしかしたら同郷だったのかもしれぬな」

あ、焦ったぁ!ノブナガって絶対あの「織田信長」だよね…
本能寺の変で死んだって言われてるけど、まさかこんなところに来てたなんて…ってかあの猫背女神、何とんでもない人物を送ってるんだよ!
もしかして色んな人間を送り込んでるのか?

「おっと話しが長くなってしまったな。さぁもたもたして陛下を待たせるわけにはいかぬ早く城内に入るぞ」

そう言われて俺は城の中に入っていった。
中に入ると中身は和の感じよりかは西洋の雰囲気も混じっていて不思議な空間だが居心地がいい場所だった。
そのまま城の奥に進むと王様がいる部屋の前に到着した。
扉の前にいる兵士にストロフさんが話しかけると

「どうぞお入りください。」

扉が開かれ中に入る
中には鎧を着た人や、大臣っぽい人達が左右に別れていてその真ん中にある玉座に五十代くらいの映画俳優のような渋い感じの王様が座っていた。

ストロフさんがその場で膝掛けたので俺も慌てて同じように膝掛ける

「陛下!騎士団長ストロフ只今戻りました!」
「うむ、ストロフよ、よく無事に帰ってきたな」

王様は思ってたよりも優しい声で話しかけてきた

「して、隣にいる者か?こたびあのファングベアを1人で倒した者とは?」
「ハ!その通りですBランクの冒険者でアオイ殿です。さぁアオイ殿陛下にご挨拶を」

とストロフさんがいきなり俺に振ってきた。
いやいや、俺そんな礼儀とか知らないですよ!
ってか何さりげなく冒険者として紹介してるんですか?!
そもそも俺は冒険者じゃなくてただの整体師ですからね!

あぁでも、と、とりあえず思いつく限りの挨拶をしなくちゃ!

「へ、陛下!お初にお目にかかりますアオイと申します。こ、この度は陛下にお会い出来ること大変光栄でご、ございます!」
「アオイと言ったか?そう緊張せずともよい。それにそのままでは辛かろうストロフともに顔を上げよ」

そう言われ俺とストロフさんは立ち上がり顔をあげ王様を見た。
よく見ると本当に威厳が半端ない人だと思って何度もまばたきをしながら見ていたが、その時俺はあることに気づいた。

~な、何だ?王様の肩の横に文字が見えるけど~
よく見るとその文字は俺が普段見慣れていた言葉だった。

「こ、広背筋?」

な、何でこの筋肉の名前が?





「広背筋」

背中から腰、腕へと繋がっている大きな筋肉です
開いた腕を閉じるときや、後ろに挙げるときに働き、また腕を上・前に伸ばした状態からカラダを引っ張る動作で使われたりします。
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