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第10話~え?どうしてここに!?~

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俺は王様にこの事を伝えなければと決心し話す事を決めた。

「あ、あの王様1つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ん?どうしたのだアオイよ?いいぞ何でも申してみよ」

俺の言葉に王様やストロフさんをはじめ全員が俺に注目した。

「は、はい…王様今日の料理はいつも召し上がっているのですか?」
「どうしたのだ急に?そんなに今日の料理が気に入ったのか?そうだなこの料理は普段は食べないが似たような物は毎日食べているな」

な!毎日かよ!?
こんなの毎日食べてたら本当にヤバイぞ!

「そ、それでしたら最近腰の辺りに痛みが出ているなんて事はないですか?」
「腰か?確かにここ数年腰に痛みや違和感を覚えることがあるが、どうしてそなたがそのような事を聞くのだ?」

俺が思った通りというか、スキルに出ている通り王様は腰を痛めていた。
でも突然そんなことを聞いたから王様が訝しげに俺の事を見て他の人達も疑問に思っている。確かにそんな風に思うかもしれないが今はそれどころではない。

「王様、大変言いにくいのですが、明日からこの料理を食べるのは控えていただきたいんです。」

「…?どういうことだ?」

俺の一言で場が騒がしくなった
お城の人達がひそひそと俺に対して何か喋ってるようだが知ったことじゃない。
この国で医学がどれだけ進んでいるかは分からないがこれだけは確実に伝えないと。

「王様の今の腰の痛み、実はこの料理から起きてる可能性があるんです。味の濃い料理を食べる頻度が多いと身体への負担が強く体内に異変が起こる可能性があるんです!このままだと王様の命も危険なんです。」

「無礼者!!」

その言葉と同時に1人の中年男が立ち上がった

「貴様!何を言うだすかと思ったら何と不届きな!我が国の伝統料理を愚弄するばかりかその上陛下の命まで危険と言いおって!無礼にも程があるぞ!」
「大臣殿落ち着いてください!アオイ殿も何故急にそのようなことを言い出すのだ?」

大臣って言う人がものすごい剣幕で怒っているのをストロフさんがなだめてくれるが大臣の怒りは全く収まらない。

「ストロフよ!貴様この男を庇うつもりか?我が国を愚弄し陛下の事を貶めているのに黙っていろと言うのか?!」
「その通りだ!ましてやただの冒険者ごとぎが何を根拠にそのような畏れ多いことを言う!?無礼にも程がある万死に値するぞ!」

大臣を筆頭に他の人達も言ってきた。
そりゃそんなこと言われたら国のお偉いさんは黙ってちゃいないよな。
ストロフさんも何か言ってるがもう収拾がつきそうにない。

ってか万死に値するって本当に言うんだな。
こんな時なのに冷静になってる自分がいる

「陛下!このような不届き者すぐにこの国から追放を!いえ極刑にすべきです!」
「そうです陛下!直ちにそうすべきです!」

言い過ぎちゃったかなと思うけどまさかの極刑かよ、流石にやばいかな俺ここで死んじゃうのかな?

「静まれぃ!」

急な叫び声に誰もが黙り声の主の方を見る。
王様だ

「アオイよそなたに聞く。何を根拠にそのような事を言う?そなたは薬師の心得でもあるのか?」
「(薬師って何だ?漢方医みたいなものか?)は、はい。全てではないのですが昔学んだことがあります。」
「陛下!お聞きになりましたか?多少学んだだけでこのような事を言う者ですぞ?!耳を傾ける必要などございません!」
「大臣よ、少し黙れ…」
「へ、陛下!」
「何を…」
「他の者達もだ。お前達以前にも召し抱えた者が同じような事を話し、同じような事を言っていた事を忘れたのか?その時お主らは反論され何も言わなくなったではないか?」
「う…それは」
「その者と同じことを言った者がもう1人現れたのだぞ?それなのにお前達はまた同じことを繰り返すのか?」
「…」

大臣とか他の人達がみんな黙ってしまった。
王様おっかねぇな。

どうやら以前にも俺と同じような事を言った人がいたようだ。その人も俺と同じことを言われてたみたいだが今どうしているのだろう?

「あ、あの王様その人は今は?」
「その者か?街での評判を聞いてな王宮に呼びよせたのだ。その者の知識は普通の薬師よりも多く薬ではなく手で身体に触れ治す者だ。」

手を使う?身体を治す?
何だそれ、まるで整体みたいじゃないか?
この世界には整体師はいないと思ってたけど

「あ、あのその人は整体師とかですか?」
「せいたいし?何だそれは?聞いたことがない言葉だな」

聞いたことないってことはやっぱりいないのか?

「まぁよい。その者を呼んだ方がよかろう。その方が一体誰が言っていることが正しいのか分かるからな。誰かミチをここに呼べ!」

何か変な方向にいっているな…
そのミチって人が俺と同じ事を言ったって事か。
でも大丈夫だろうか、俺はあくまで整体として解剖学や身体の構造を学んだだけだし、完全に全てを網羅してる訳じゃない
実際にその人と話した時上手くいくかわからない。


そう考えているとメイドの人が誰かと一緒に現れた。
よく見るとその人は女性みたいで、俺よりも少し年上のように見えたのだ…が…

「…!?」

「陛下お呼びでしょうか?」
「うむ、よく来てくれたなミチ。実はのう…」

王様がその人を呼んだ理由を話していた。が。
それよりも俺はもっと別の事に驚いていた!
いやむしろ俺は恐怖を覚えた…
そして向こうも俺の方を向いて気づいたようだ。

「…!お前は…どうしてここにいる?」
「な、何であなたがこんなところにいるんですか…師匠!」

そこにいた「ミチ」という女性、いや悪魔は、かつて俺を育ててくれた。
整体師の師匠「道村理代」だった!!
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