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第一章 後編
第46話 リィズvsルヴィー 前編
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「足を止めてきいてやがる」
ルヴィーさんは思惑通りに事が進み、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「竜接近を開始しました」
ミハエルさんが焦る気持ちを抑え、ルヴィーさんに報告する。
「流石に警告まで聞き入れてくれんか、まぁ分かり切ってたことだが」
ルヴィーさんが真面目な顔付きに戻し、すぐさま次の手を打つ。
「ミハエル、これより竜を迎撃する。武装の全てを展開させろ」
「了解です、大砲と機関銃共に展開します。武装操縦員は攻撃開始に備えて下さい」
「リィズさん艦に動きが」
私は艦の異変に気付きリィズさんに言った。
「奴ら攻撃してくるつもりだ。お前たち今よりスピードを上げるぞ。振り落とされるなよ」
「はい」「クー」
リップと私は気を引き締め返事を返したが、カイトだけはなんのことだかわからずにいた。私達の反応からそれが重要なことだということは理解しており、慌てて私に確認を取った。
「えっなんだって?」
「カイト踏ん張らないと振り落とされるわよ」
私は風切り音に負けないくらいの声でカイトに言った。
「分かった」
カイトが大急ぎでしがみつく腕を強め、リィズさんがリンドセル号に急加速する。
「ルヴィー司令、攻撃いつでも可能です」
艦内にミハエルさんの声が響いた。
「アサ警告はしたぞ、悪く思うな」
ルヴィーさんが小さく呟き、そして手を大きく振り上げミハエルさんに告げた。
「大砲撃ち方始め」
ミハエルさんがスイッチを押し、攻撃合図のブザーを鳴らし大砲による一斉攻撃が始まった。
リィズさんの元に大量の砲弾が放たれ、カイトは生きてる心地がしなかった。
「あの量の攻撃をかわすのかよ」
それでも360度の空間が存在する空の上では、どんなに砲弾が撃ち込まれようと必ず隙間は出来る。リィズさんはその隙間を掻い潜り、砲弾を次々と避けていった。
しかしそれもルヴィーさんの計算の内。ルヴィーさんが声を大にして言った。
「いくらかわされようとも攻撃の手を緩めるな、目的は奴等の足止めだ。弾は腐る程あるのだからな」
ルヴィーさんのその言葉通り、リィズさんは弾を避けることで精一杯で、リンドセル号に近付けずにいた。
この時間稼ぎこそがルヴィーさんの真の狙いだったのだ。
「これだけの数でも奴に一発も当たらんか。流石にやるな」
それでも数発はあたるものだと思っていたルヴィーさんは、リィズさんを流石と称賛した。
弾を撃ち続けること10分、先程言い負かされたことでもう何も言うまいと決めこんでいたバルバロスさんだったが、この状況に痺れを切らしたのか、ルヴィーさんの作戦に遂に口を出した。
「ルヴィー、弾を消費し過ぎだ。竜のアジトを攻めることを忘れた訳ではあるまいな」
バルバロスさんの言う通り、ルヴィーさんの思惑通り、竜のアジトにたどり着けたとしても、このまま残弾数を消費し続ければ、竜のアジトを攻め落とすには不安が残るものがあった。
「くっ、わかったさ。攻撃を機関銃に切り替える。ミハエル」
ルヴィーさんは渋々バルバロスさんの意見をのみ、攻撃手段を機関銃へと切り替えた。
「機関銃操縦員、竜が射程に入り次第攻撃開始です。大砲操縦員は指示が出るまで待機です」
ミハエルさんがまたブザーを鳴らし攻撃ののろしをあげた。
「ミハエル、機関銃にあまりはあるか?」
「あると思われますが、今お調べします」
ミハエルさんがパソコンを操作して戦艦の状況を記したマップを開いた。
「1階左舷の機関銃に空きが1つあります」
それを聞きルヴィーさんがバルバロスさんに向き返った。
「バルバロス一時指揮はお前に任せる」
「なんだと?」
ルヴィーさんの予想外の指示にバルバロスさんは拍子が抜けたような声をあげた。
「私は機関銃で竜の足止めをする。奴らだけでは心もとないからな」
ルヴィーさんは引き出しから2つの通信機を取りだし、ひとつを自身のポシェットと入れると、もう片方を机の上に荒々しく音をたてておいた。
「困ったことがあれば通信機で指示を仰げ」
ルヴィーさんの真剣な眼差しに、バルバロスさんは「分かった。こっちは任せておけ」とルヴィーさんの背中を押した。
「ミハエルもう竜のアジトの位置はマップで掴めているか?」
「はい、データに記憶しておきました」
「ではこれは持っていくぞ」
そういうとルヴィーさんは机に置かれた2つのイヤリングを自身の耳に取り付けた。ルヴィーさんの意思によるものなのか、青く放たれた光はルヴィーさんがイヤリングを両耳着けると同時にその光を失った。そして機関銃操縦室へ足早へと向かった。
「バルバロス副官、私達だけで本当に大丈夫でしょうか?」
ミハエルさんはルヴィーさんが居なくなったことで、急に心細くなった。相手が竜でもルヴィーさんがいれば何とかしてくれると心の支えにしていたからだ。
「ルヴィーは何も私達を陥れるために、この場を離れた訳じゃない。奴ならこの艦に竜など決して近付けさせはせんだろう。だからミハエル何も心配するな、お前はお前に与えられた仕事をこなせばいい」
「はい」
ミハエルさんはバルバロスさんの言葉に励まされ、失いかけた自信を取り戻すことが出来た。
ルヴィーさんは思惑通りに事が進み、嬉しそうに笑みを浮かべた。
「竜接近を開始しました」
ミハエルさんが焦る気持ちを抑え、ルヴィーさんに報告する。
「流石に警告まで聞き入れてくれんか、まぁ分かり切ってたことだが」
ルヴィーさんが真面目な顔付きに戻し、すぐさま次の手を打つ。
「ミハエル、これより竜を迎撃する。武装の全てを展開させろ」
「了解です、大砲と機関銃共に展開します。武装操縦員は攻撃開始に備えて下さい」
「リィズさん艦に動きが」
私は艦の異変に気付きリィズさんに言った。
「奴ら攻撃してくるつもりだ。お前たち今よりスピードを上げるぞ。振り落とされるなよ」
「はい」「クー」
リップと私は気を引き締め返事を返したが、カイトだけはなんのことだかわからずにいた。私達の反応からそれが重要なことだということは理解しており、慌てて私に確認を取った。
「えっなんだって?」
「カイト踏ん張らないと振り落とされるわよ」
私は風切り音に負けないくらいの声でカイトに言った。
「分かった」
カイトが大急ぎでしがみつく腕を強め、リィズさんがリンドセル号に急加速する。
「ルヴィー司令、攻撃いつでも可能です」
艦内にミハエルさんの声が響いた。
「アサ警告はしたぞ、悪く思うな」
ルヴィーさんが小さく呟き、そして手を大きく振り上げミハエルさんに告げた。
「大砲撃ち方始め」
ミハエルさんがスイッチを押し、攻撃合図のブザーを鳴らし大砲による一斉攻撃が始まった。
リィズさんの元に大量の砲弾が放たれ、カイトは生きてる心地がしなかった。
「あの量の攻撃をかわすのかよ」
それでも360度の空間が存在する空の上では、どんなに砲弾が撃ち込まれようと必ず隙間は出来る。リィズさんはその隙間を掻い潜り、砲弾を次々と避けていった。
しかしそれもルヴィーさんの計算の内。ルヴィーさんが声を大にして言った。
「いくらかわされようとも攻撃の手を緩めるな、目的は奴等の足止めだ。弾は腐る程あるのだからな」
ルヴィーさんのその言葉通り、リィズさんは弾を避けることで精一杯で、リンドセル号に近付けずにいた。
この時間稼ぎこそがルヴィーさんの真の狙いだったのだ。
「これだけの数でも奴に一発も当たらんか。流石にやるな」
それでも数発はあたるものだと思っていたルヴィーさんは、リィズさんを流石と称賛した。
弾を撃ち続けること10分、先程言い負かされたことでもう何も言うまいと決めこんでいたバルバロスさんだったが、この状況に痺れを切らしたのか、ルヴィーさんの作戦に遂に口を出した。
「ルヴィー、弾を消費し過ぎだ。竜のアジトを攻めることを忘れた訳ではあるまいな」
バルバロスさんの言う通り、ルヴィーさんの思惑通り、竜のアジトにたどり着けたとしても、このまま残弾数を消費し続ければ、竜のアジトを攻め落とすには不安が残るものがあった。
「くっ、わかったさ。攻撃を機関銃に切り替える。ミハエル」
ルヴィーさんは渋々バルバロスさんの意見をのみ、攻撃手段を機関銃へと切り替えた。
「機関銃操縦員、竜が射程に入り次第攻撃開始です。大砲操縦員は指示が出るまで待機です」
ミハエルさんがまたブザーを鳴らし攻撃ののろしをあげた。
「ミハエル、機関銃にあまりはあるか?」
「あると思われますが、今お調べします」
ミハエルさんがパソコンを操作して戦艦の状況を記したマップを開いた。
「1階左舷の機関銃に空きが1つあります」
それを聞きルヴィーさんがバルバロスさんに向き返った。
「バルバロス一時指揮はお前に任せる」
「なんだと?」
ルヴィーさんの予想外の指示にバルバロスさんは拍子が抜けたような声をあげた。
「私は機関銃で竜の足止めをする。奴らだけでは心もとないからな」
ルヴィーさんは引き出しから2つの通信機を取りだし、ひとつを自身のポシェットと入れると、もう片方を机の上に荒々しく音をたてておいた。
「困ったことがあれば通信機で指示を仰げ」
ルヴィーさんの真剣な眼差しに、バルバロスさんは「分かった。こっちは任せておけ」とルヴィーさんの背中を押した。
「ミハエルもう竜のアジトの位置はマップで掴めているか?」
「はい、データに記憶しておきました」
「ではこれは持っていくぞ」
そういうとルヴィーさんは机に置かれた2つのイヤリングを自身の耳に取り付けた。ルヴィーさんの意思によるものなのか、青く放たれた光はルヴィーさんがイヤリングを両耳着けると同時にその光を失った。そして機関銃操縦室へ足早へと向かった。
「バルバロス副官、私達だけで本当に大丈夫でしょうか?」
ミハエルさんはルヴィーさんが居なくなったことで、急に心細くなった。相手が竜でもルヴィーさんがいれば何とかしてくれると心の支えにしていたからだ。
「ルヴィーは何も私達を陥れるために、この場を離れた訳じゃない。奴ならこの艦に竜など決して近付けさせはせんだろう。だからミハエル何も心配するな、お前はお前に与えられた仕事をこなせばいい」
「はい」
ミハエルさんはバルバロスさんの言葉に励まされ、失いかけた自信を取り戻すことが出来た。
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