65 / 102
第二章
第5話 サリサ侵入
しおりを挟む
私はマカの村を出てサリサまでの道も分からないまま、感覚のままで走っていると後方から男性の声が聞こえてきた。
「おいアサ待ってて」
声の主はミコットさんで、息を切らしながら苦しそうに後方からやってくる。
立ち止まった私にミコットさんがようやく追いつくと私はミコットさんに言った。
「ミコットさんついてきたんですか?」
「ああ村長のいいつけで仕方なくな。少し冷静になれ、お前一人じゃサリサの行き方もわからんだろ」
ここまできて嫌味でも言いに来たんだと思ったら、どうやらジョセ、リップ救出に手を貸してくれるみたい。
「じゃーミコットさんが教えてくれるんですね」
「しゃーねーがそういう事になるなわ。アサついてきな」
ミコットさんが先頭に立って案内してくれたが、その足取りはゆっくりだった。
私は文句も言えずに、黙ってミコットさんの跡をついていくと、ミコットさんは突然立ち止まり私に物陰に隠れるよう指示をした。
「誰かくる隠れるんだ」
ミコットさんは2つ並んだ木の裏、私は自分の背丈程の木の茂みの裏に隠れた。
「ミコットさん熊か何かですか?」
私が小言でミコットさんに聞いたがミコットさんは「黙って静かにしていろ」っと何が迫ってるのかは教えてくれなかった。
耳を澄まして待っていると、ぞろぞろと重なり合う足音が聞こえてきた。
相手は一人じゃなかった、そして何より野生の獣じゃなく人間だった。
6人の鎧を纏った取り巻きに囲まれ、一人だけ全て黒の装飾(髪色、鎧、ブーツ、ローブ)に褐色の肌に長い髪、そしてその髪の間から覗かせる紫色の瞳の男に私は視線を奪われた。
そしてその集団はマカ村の方角に向かって過ぎ去ったいった。すぐに私はミコットさんに聞いた。
「あれ誰ですか?」
「サリサのトップのアーロイさ。マカに交渉しにいったに違いない」
「交渉ってサリサは何を交渉するんですか?」
「お前は何も心配することはない。村長がうまくやってくれるさ。それにアーロイや重役がいない今なら、乗り込むにはチャンスかもしれんぞ」
ミコットさんに話をはぐらかされてしまったけど、もっと仲良くなれたらもう一度聞いてみようと私は思った。
「そうですか、彼等が戻るまでに済ませてしまいましょう」
私がそう言うとミコットさんはようやく走ってサリサの案内をしてくれた。
程なくしてサリサの村についた。サリサは正面入口以外は有刺鉄線で囲まれており、正面の看守の目をなんとか盗んで村に入らないといけなかった。
「ミコットさん見張りの兵が一人ですね。二人で羽交い締めにしちゃいましょう」
私が腕を回して張り切って進んでゆくとミコットさんに首根っこを掴まれ、頭を小突かれてしまった。
「バカ垂れ、そんなことして奴が騒いだりしたらどうする。
ここは俺に策がある。あの兵士をよーく見てみろ。あの虚ろな目、今にも寝そうじゃねーか。
ここはマカ村の知恵を教えてやる」
するとミコットさんはポシェットの小さなバッグから乾燥した黒い草を取り出し、風に飛ばされないよう地面を掘りそこに葉を入れるとマッチで火を付けた。
乾燥した葉からは薄い煙が勢いよくモクモクと中に広がっていった。
「アサ衣服で鼻を塞いでおけ」
「ミコットさんこれってヤバい薬じゃないでしょうね」
「そこまで害があるものじゃないさ、多少の睡眠作用があるくらいさ」
煙はまたたく間に一帯を包み込み、これが決定打になったのか見張り兵は尻を地面につけ完全に眠りについてしまった。
「よしアサ突入するぞ」
「はい」
私とミコットさんは足早にサリサの門をくぐった。
「ミコットさん見張り番の人、本当に眠ってるだけですか?」
「アサ、敵のことまで心配してどうする?奴は10分もすれば効き目が切れて目を覚ますさ」
「ならいいんですが」
こうして私達は無事にサリサの村に侵入することが出来た。
「おいアサ待ってて」
声の主はミコットさんで、息を切らしながら苦しそうに後方からやってくる。
立ち止まった私にミコットさんがようやく追いつくと私はミコットさんに言った。
「ミコットさんついてきたんですか?」
「ああ村長のいいつけで仕方なくな。少し冷静になれ、お前一人じゃサリサの行き方もわからんだろ」
ここまできて嫌味でも言いに来たんだと思ったら、どうやらジョセ、リップ救出に手を貸してくれるみたい。
「じゃーミコットさんが教えてくれるんですね」
「しゃーねーがそういう事になるなわ。アサついてきな」
ミコットさんが先頭に立って案内してくれたが、その足取りはゆっくりだった。
私は文句も言えずに、黙ってミコットさんの跡をついていくと、ミコットさんは突然立ち止まり私に物陰に隠れるよう指示をした。
「誰かくる隠れるんだ」
ミコットさんは2つ並んだ木の裏、私は自分の背丈程の木の茂みの裏に隠れた。
「ミコットさん熊か何かですか?」
私が小言でミコットさんに聞いたがミコットさんは「黙って静かにしていろ」っと何が迫ってるのかは教えてくれなかった。
耳を澄まして待っていると、ぞろぞろと重なり合う足音が聞こえてきた。
相手は一人じゃなかった、そして何より野生の獣じゃなく人間だった。
6人の鎧を纏った取り巻きに囲まれ、一人だけ全て黒の装飾(髪色、鎧、ブーツ、ローブ)に褐色の肌に長い髪、そしてその髪の間から覗かせる紫色の瞳の男に私は視線を奪われた。
そしてその集団はマカ村の方角に向かって過ぎ去ったいった。すぐに私はミコットさんに聞いた。
「あれ誰ですか?」
「サリサのトップのアーロイさ。マカに交渉しにいったに違いない」
「交渉ってサリサは何を交渉するんですか?」
「お前は何も心配することはない。村長がうまくやってくれるさ。それにアーロイや重役がいない今なら、乗り込むにはチャンスかもしれんぞ」
ミコットさんに話をはぐらかされてしまったけど、もっと仲良くなれたらもう一度聞いてみようと私は思った。
「そうですか、彼等が戻るまでに済ませてしまいましょう」
私がそう言うとミコットさんはようやく走ってサリサの案内をしてくれた。
程なくしてサリサの村についた。サリサは正面入口以外は有刺鉄線で囲まれており、正面の看守の目をなんとか盗んで村に入らないといけなかった。
「ミコットさん見張りの兵が一人ですね。二人で羽交い締めにしちゃいましょう」
私が腕を回して張り切って進んでゆくとミコットさんに首根っこを掴まれ、頭を小突かれてしまった。
「バカ垂れ、そんなことして奴が騒いだりしたらどうする。
ここは俺に策がある。あの兵士をよーく見てみろ。あの虚ろな目、今にも寝そうじゃねーか。
ここはマカ村の知恵を教えてやる」
するとミコットさんはポシェットの小さなバッグから乾燥した黒い草を取り出し、風に飛ばされないよう地面を掘りそこに葉を入れるとマッチで火を付けた。
乾燥した葉からは薄い煙が勢いよくモクモクと中に広がっていった。
「アサ衣服で鼻を塞いでおけ」
「ミコットさんこれってヤバい薬じゃないでしょうね」
「そこまで害があるものじゃないさ、多少の睡眠作用があるくらいさ」
煙はまたたく間に一帯を包み込み、これが決定打になったのか見張り兵は尻を地面につけ完全に眠りについてしまった。
「よしアサ突入するぞ」
「はい」
私とミコットさんは足早にサリサの門をくぐった。
「ミコットさん見張り番の人、本当に眠ってるだけですか?」
「アサ、敵のことまで心配してどうする?奴は10分もすれば効き目が切れて目を覚ますさ」
「ならいいんですが」
こうして私達は無事にサリサの村に侵入することが出来た。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる