拒絶者の行く世界

蒼華 スー

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魔妖学園

学園二日目!

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    私達は準備を終え、学園の校舎へと向かっていた。




    「ねぇ、羅泉。やっぱり少し妖力抑えてくれない?レストランでも、かなりの人が威圧されてて動けなかったでしょ?さすがに、仕事に影響が出るのは避けたいんだけど………。」
    「フッ。何故、俺程の妖が気を使わなくてはいかんのだ?」
    「仕事に支障が出るから。向こうに仕事の支障が出たら、こっちまでとばっちりを食らう可能性が高いじゃん?」
    「ふむ………。」
    「そうしたら残業が増えて、羅泉の好きなお菓子とか、お助けアイテムを錬金する時間が取れなくなる可能性が出てくるよ?」
    「むむっ。それは困るな。ヒョウの菓子は美味いからな。それが無くなっては困る………。
    分かった。学園に居る時だけは少し、抑えてやろう。」
    「そう。良かった。ありがとう、羅泉。」
    「ふんっ。別に俺が困るのは嫌なだけだ。気にするな。」
    「それでもね。あっ、そろそろ職場に着くけど、羅泉はどうする?また昨日みたいに、散歩してくる?」
    「いや、もう散歩はいい。ヒョウの傍に居る方が余程、面白い事が起きそうだからな。」
    「ん。了解。」





    そんなことを話しながら、学園の保健室の扉を開いた。




    「おはようございます。」




    奥には少し、顔色を悪くした深瀬先生がいた。彼は、机に置かれたパソコンを見ながら挨拶を返した。




    「おう。おはよう。昨日は悪かったなー。会議が長引いちまってな。」
    「いえ、私の方は大丈夫です。何か緊急の会議だったのですか?」
    「あぁ、そうだ…………………な?」





    深瀬先生はそう言いながら、椅子に座った私の方を見た。すると、私の頭の方を見て固まってしまった。




    あぁ、そっか。羅泉の方を見て驚いたのか。
    うーん。今の所は気づいていない振りをしておこうかな?後で、なんで見える事を黙っていたんだ?と聞かれても何とか言い訳は出来るしな。
    ……………というか、後から知った時の反応を少し見てみたいしな。





    なので私は少し、不思議そうに深瀬先生に聞いた。




    「ん?どうしたんですか?深瀬先生。」
     「……………ん?あぁ、いや、その………。白崎、お前頭が重いとか痛いとか無いか?」
    「いえ、そういった事はありません。」
    「そ、そうか。ならいいんだ。」
    「そうですか。分かりました。」





    私はそう言い、仕事に取り掛かった。






    ……………視線が痛い。というか、ウザイ。
    さっきからずっと、深瀬先生がチラチラとこちらを見ているのは分かっている。そしてその視線は、頭に乗っている羅泉と私を交互に見ている。
    はっきり言って、仕事の邪魔だな。




    「深瀬先生?先程からこちらを見ていますが、何かありましたか?」




    思い切ってそう聞くと、深瀬先生は少し慌てた様子で応えた。




    「ん?い、いや。特にないけど………本当に頭とか重くない?疲れとか出てない?」
    「いえ、大丈夫ですよ。もしかして私、そんなに顔色悪いですか?」
    「いや、顔色はいいよ。うん。やっぱり、思い過ごしだと思うから気にすんな。」
    「分かりました。後、こちらの仕事は終わったので、薬品棚の整理をしておきます。」
    「あぁ。分かった。」




    私はそう言い、薬品棚の前へと移動した。
    その時保健室の扉が開き、誰かが入ってきた。






    「すんませーん。肘、切っちゃったんで絆創膏くださーい。」






    あっ、陰陽師来た。
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