二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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家族+2です

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 強引な2人により受付奥の部屋に連行された縁は、現在ソファーに座る両脇を年配のニコニコとした笑顔の2人組に固められている。
 年齢的には前世の縁ぐらいではあろうが、こんな状況では喜ぶこともできない。
 むしろ怖い。

 「いや~、怪我してなくて本当によかったよ。では、丁度いいから少しお話ししようか」

 何が丁度よくて、何をお話しするのだろうか。
 逃げることもできず、助けを呼ぼうにもこのギルドの天辺である2人から救出できるような人間がここにはいないのであった。
 アズとエルも一応縁の後を付いてきてはいたのだか、どうしたらいいのか分からないようで入り口近くでこちらを注意しなが様子を窺っている。
 アズがこちらへ来たそうではあるがエルが何とか止めている。
 ナイスですエル。

 「えーと、お話しというのはなんでしょうか?とくに何か違反した覚えはないのですが…」

 呼び出しに合うぐらいなのだから何か理由があるのだろうが、最近はあまりギルドに来ることがなかった縁にはその理由が思い当たらなかった。

 「あぁ、何か勘違いしてるね。確かに君が来るのを待ってはいたけど何も規定違反を怒るためではないんだよ」

 「そうそう。むしろアンタにお願いがあって待ってたんだよ」

 お願い?
 ギルドのトップが?
 Fランクの冒険者の1人でしかない自分に?
 ……なぜ?
 首を傾げる縁に……なぜか頭を撫でられた。
 それも両脇から。

 「あの……」

 「ああ、ごめんごめん。で、そのお願いってのがアンタ…じゃなくてエニシへの指名依頼なんだよ」

 「指名依頼?私にですか?もしかして…また薬草採取ですか?」

 指名というのであれば以前受けたものにそんなものがあったが。

 「ちがうちがう。いや、その依頼はまたきてるからちがいはしないんだけど…今回のは別の依頼さね」

 別の依頼?
 指名されるほど縁にはまだ知り合いは少ないはずだが。

 「そう、ですか。私にできるかは分かりませんが、話しを聞いて大丈夫なようであればお受けします」

 「エニシくんならそう言ってくれると思ったよ。もちろん無理なら断ってもらっていいからね。私たちも何度かやんわり断ろうとしたんだけど相手も諦めなくてねぇ。正直うるさくて仕方がなかったんだよ」

 面倒くさそうな気配に早速断りたくなってくる。
 嫌だなぁと思いつつも聞くだけならと覚悟を決めればーー

 「やだやだ、ママのとこ行くの!」

 我慢できなかったらしいアズがエルの制止を振り切り縁に抱きついてくるのであった。

 「アズのママだもん。ママとらないでっ」

 まさかのそちらを心配されているとは。
 ママをいじめないでではなく、とらないでと言われるとは思わなかった。
 どうやら2人して縁を可愛いがる様子にママをとられると思ったらしい。

 「「ママ?」」

 驚く2人に改めて自己紹介する。

 「私は冒険者登録してあるので分かってると思いますが、この子は訳あって引き取った子で今は私の子のアズライトと言います。そちらがお兄さんでエルビスです。安全のため首輪はつけてますが私の大切な家族なので理解できないようであれば先程の話しはなかったことにして下さい」

 「……それは、まぁ、構わないけど……なんでママなんだい?まさかアンタの性別分かってない、ってわけじゃないんだろ?」

 やはりそこを突っ込まれるかと苦笑いする。

 「ちゃんと分かってますよ。まぁ、私はパパと呼んでもらっても構わないんですけど…たぶん私の伴侶が男性だからですね。この子の中で私はママの立ち位置なんでしょう」

 縁はもうママ呼びにも慣れはしたが、マーガレットたちはかなり驚いてるようでこちらを凝視してくる。
 やはり人間の中でも珍しいのだろう。
 それも相手が獣人で3人もいるとなればもっと驚くであろうが、聞かれてもいないので答えることはしない。

 「アズはママはママがいい」

 「そうですか。私もアズが私の子になってくれて嬉しいですよ」

 やはり縁がパパになることはないようで少々残念ではあったが、アズがママになってほしいというのであれば縁に文句はない。
 アズを引き取ると決めたのは縁で、幸せにしてあげたいと思っているためそれぐらいでアズが喜ぶならば呼び方くらいはどうでもよかった。
 離れる気配のないアズを膝に抱えるとポンポンと背を叩いてやる。

 「申し訳ありませんがこのままでお願いします。今日は話しを聞くだけ聞いていきますので」

 「あ、ああ」

 「……分かったよ。アンタにも色々事情があるんだろ。とりあえず今日は依頼内容だけ教えておくよ」

 ジンはまだ驚いているようだったが、マーガレットは意外にも落ち着いており話しを戻した。

 「依頼内容は王子の教育係。期間は一ー」

 「お断りして下さい」

 やはり碌な依頼ではなかった。
 即座に断るとアズを抱え部屋を出ようとする。

 「理由は?」

 「何とでも?私個人の意見としては馬鹿な王子の教育なんてしたくないのが第一ですが、それよりも私なんかに教わらずとも他に幾らでも教えてくれる方はたくさんいるだろうというのも理由ですね。態々一介の冒険者に頼む理由が分かりませんし、そんな後々面倒になりそうな依頼受けたくありません」

 王子と言われ真っ先に浮かんだのが、アレンたちを蔑むあの男の顔だった。
 あんなことをした縁に何故そんな依頼をしてきたかは分からないが、逆に分からないこそ怪しく怖い。
 とてもじゃないが受ける気になどなれなかった。

 「やはり知り合いか。なんで冒険者にこんな依頼をとは思ってたんだが……まぁ、嫌なら仕方ない」

 馬鹿王子と言った縁にとくに咎めるような言葉がないあたりマーガレットたちもそう思ってはいるのだろう。
 無理だと言えば納得してくれたマーガレットたちに謝ると部屋を後にするのであった。
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