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さらば
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「あー、あ、まん、ま、まんま」
「はいはい。ちゃんと見てますからいっぱい食べなさい」
縁を呼びながら差し出されるご飯を一生懸命食べる繋。
「……これで、終わり。よし、よく食べたな」
空になった器を縁に渡しつつ、ロンがよく出来たとばかりに繋の頭を撫でていた。
きゃっきゃっと楽しそうに笑う繋の様子に随分慣れたものだと思う。
つわりが酷い縁の代わりに率先して繋の面倒を見てくれたのは意外にもロンだった。
弟で慣れているのか、元々面倒見がいいのか、少しずつ喋り摑まり立ちまでするようになった目が離せない繋の面倒をよく見てくれる。
「ルーもロンを見習って下さい」
「えー、オレはエニシに甘えてたーい」
座る縁に膝枕されているルーはここぞとばかりに甘えてくる。
「………今はそれでもかまいませんが、いざという時に困るのは貴方ですよ?」
「なんで?」
ここまで言って分からないとは。
呆れながらも繋を抱っこしているロンを見れば、話しを聞いていたのだろう、こちらも呆れたようにルーを見ている。
「お前のその性格は竜族とは思えないほど自堕落だな」
「少しはマシになったかと思ったんですが……我が子を可愛いがれないかもしれない人とは番はやめた方がいいですかねぇ」
「うそうそ!オレ頑張るっ!」
縁の言葉に慌てて立ち上がったルーは繋に手を伸ばすが、突然のことに驚いたのかロンに抱きつき繋は泣いてしまった。
「泣かすなバカ!」
「ご、ごめんなさい。ごめんね繋、繋ちゃーん」
必死に謝るが、一度火がついた繋は中々泣き止まず仕方なく縁が抱っこしあやす。
「分かりましたか?我が子にも泣かれたくなかったら今からでもロンに習って練習なさい」
「……はい」
今度こそ反省出来たのかルーにしては真面目にロンに色々習っていた。
彼らにもやることがある以上、無理にでも子育てを手伝えとは言わないが、自身の子であるならば少しは手伝って欲しいというのが縁の意見だ。
先程までの感じでは子が出来てもロン任せになりそうだった。
それではどちらが父親か分からず、ルーの子である必要がなくなってしまう。
「繋も少しずつ慣れていきましょうねぇ」
泣き疲れたのかうとうとしている繋の背中をポンポン叩いてやる。
「まずはアズで慣れてもらった方がいいですかねぇ。でも精神年齢は一緒だからあまり勉強にならないかな?」
かなり失礼なことを言っているが、真剣に学んでいるルーたちには声は届いていなかったようだ。
「………何やってんだよ」
「ジーク」
繋を抱えながらオムツ替えを習うルーたちを見ていた縁に何をしているんだとジークが寄ってきた。
「今後のために練習中です。繋に泣かれてショックだったみたいですね」
「繋を泣かすってどんだけだよ」
隣に腰かけたジークに繋を渡しつつ腹の調子を聞かれ大丈夫だと答えればホッと息をついたのが分かった。
最近ジークは以前にも増して過保護になった気がする。
「もうすぐですかね?繋の時と比べたらあまり膨らみはありませんが、獣人はこれぐらいが標準なんですよね?」
すでに6ヶ月に入る腹はそれなりに膨らみはしているが人間である繋を産んだ時を思えばそれほどでもない。
小さく産んで大きく育てる獣人では産まれる直前でもそれほど膨らみはしないため楽ではあるのだが、その代わり…かは分からないがつわりがかなり辛かったりする。
子のためと縁も頑張ってはいるのだが、食べたはしから栄養を持っていかれている気がする。
「いや、本当ならもう少し小さいはずなんだよな……縁が人間だからか?」
「前例がないですからねぇ。産んでみないことには分かりませんか」
「だな」
いくら心配していても産んでみないことには分からないのだ。
特に異常は感じてないので大丈夫だと思うが、心配顔になっているジークに微笑むと片手を掴み腹に添えてやる。
「大丈夫ですよ。ほら、元気に蹴っているでしょう?」
応えるようにドンドンと腹を蹴る我が子に笑ってしまう。
「元気すぎんだろ。こりゃ男だな」
「早く出せって言っているのかもしれないですね。私は熊耳の女の子も捨てがたいです」
腹の成長速度から獣人であることは確かだが、性別はまだ分かっていないため縁は熊耳女の子を希望している。
「それこそ俺は嫁に出せねぇぞ」
親バカ発言に笑いつつ、しかしそこまで愛してくれているのが嬉しい。
「男の子ならジークぐらい大きくなっちゃうんですかねぇ。と言っても私は獣人の女性にすら勝てる気はしませんが」
人間の中では平均ほどではあると思うが、いかんせん周りには獣人だらけの筋肉モリモリ連中しかおらず、縁は少々子ども扱いされることがある。
成人している上、男であるのだからやめろと言いたいのだが、明らかに劣る体力体格の違いにそれを言うことも出来ない。
「どうだろな。縁似たらそうでもないだろ」
そうであると願いたい。
仲間が欲しいと願う縁であった。
「はいはい。ちゃんと見てますからいっぱい食べなさい」
縁を呼びながら差し出されるご飯を一生懸命食べる繋。
「……これで、終わり。よし、よく食べたな」
空になった器を縁に渡しつつ、ロンがよく出来たとばかりに繋の頭を撫でていた。
きゃっきゃっと楽しそうに笑う繋の様子に随分慣れたものだと思う。
つわりが酷い縁の代わりに率先して繋の面倒を見てくれたのは意外にもロンだった。
弟で慣れているのか、元々面倒見がいいのか、少しずつ喋り摑まり立ちまでするようになった目が離せない繋の面倒をよく見てくれる。
「ルーもロンを見習って下さい」
「えー、オレはエニシに甘えてたーい」
座る縁に膝枕されているルーはここぞとばかりに甘えてくる。
「………今はそれでもかまいませんが、いざという時に困るのは貴方ですよ?」
「なんで?」
ここまで言って分からないとは。
呆れながらも繋を抱っこしているロンを見れば、話しを聞いていたのだろう、こちらも呆れたようにルーを見ている。
「お前のその性格は竜族とは思えないほど自堕落だな」
「少しはマシになったかと思ったんですが……我が子を可愛いがれないかもしれない人とは番はやめた方がいいですかねぇ」
「うそうそ!オレ頑張るっ!」
縁の言葉に慌てて立ち上がったルーは繋に手を伸ばすが、突然のことに驚いたのかロンに抱きつき繋は泣いてしまった。
「泣かすなバカ!」
「ご、ごめんなさい。ごめんね繋、繋ちゃーん」
必死に謝るが、一度火がついた繋は中々泣き止まず仕方なく縁が抱っこしあやす。
「分かりましたか?我が子にも泣かれたくなかったら今からでもロンに習って練習なさい」
「……はい」
今度こそ反省出来たのかルーにしては真面目にロンに色々習っていた。
彼らにもやることがある以上、無理にでも子育てを手伝えとは言わないが、自身の子であるならば少しは手伝って欲しいというのが縁の意見だ。
先程までの感じでは子が出来てもロン任せになりそうだった。
それではどちらが父親か分からず、ルーの子である必要がなくなってしまう。
「繋も少しずつ慣れていきましょうねぇ」
泣き疲れたのかうとうとしている繋の背中をポンポン叩いてやる。
「まずはアズで慣れてもらった方がいいですかねぇ。でも精神年齢は一緒だからあまり勉強にならないかな?」
かなり失礼なことを言っているが、真剣に学んでいるルーたちには声は届いていなかったようだ。
「………何やってんだよ」
「ジーク」
繋を抱えながらオムツ替えを習うルーたちを見ていた縁に何をしているんだとジークが寄ってきた。
「今後のために練習中です。繋に泣かれてショックだったみたいですね」
「繋を泣かすってどんだけだよ」
隣に腰かけたジークに繋を渡しつつ腹の調子を聞かれ大丈夫だと答えればホッと息をついたのが分かった。
最近ジークは以前にも増して過保護になった気がする。
「もうすぐですかね?繋の時と比べたらあまり膨らみはありませんが、獣人はこれぐらいが標準なんですよね?」
すでに6ヶ月に入る腹はそれなりに膨らみはしているが人間である繋を産んだ時を思えばそれほどでもない。
小さく産んで大きく育てる獣人では産まれる直前でもそれほど膨らみはしないため楽ではあるのだが、その代わり…かは分からないがつわりがかなり辛かったりする。
子のためと縁も頑張ってはいるのだが、食べたはしから栄養を持っていかれている気がする。
「いや、本当ならもう少し小さいはずなんだよな……縁が人間だからか?」
「前例がないですからねぇ。産んでみないことには分かりませんか」
「だな」
いくら心配していても産んでみないことには分からないのだ。
特に異常は感じてないので大丈夫だと思うが、心配顔になっているジークに微笑むと片手を掴み腹に添えてやる。
「大丈夫ですよ。ほら、元気に蹴っているでしょう?」
応えるようにドンドンと腹を蹴る我が子に笑ってしまう。
「元気すぎんだろ。こりゃ男だな」
「早く出せって言っているのかもしれないですね。私は熊耳の女の子も捨てがたいです」
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「それこそ俺は嫁に出せねぇぞ」
親バカ発言に笑いつつ、しかしそこまで愛してくれているのが嬉しい。
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人間の中では平均ほどではあると思うが、いかんせん周りには獣人だらけの筋肉モリモリ連中しかおらず、縁は少々子ども扱いされることがある。
成人している上、男であるのだからやめろと言いたいのだが、明らかに劣る体力体格の違いにそれを言うことも出来ない。
「どうだろな。縁似たらそうでもないだろ」
そうであると願いたい。
仲間が欲しいと願う縁であった。
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