306 / 475
欲求
しおりを挟む
「お肉が食べたいです」
「「「「「………………」」」」」
こいつ何言ってんだという顔をされたが、1度浮かんだ想いはそれぐらいでは消えはしない。
「いつも食ってんだろ?」
確かに獣人であるアレンたちのためにと毎日のように何かしら肉料理は出てはいるが縁が求めているのはそうではない。
なんかこう………………あれだ。
考え過ぎて自分でも何がいいのか分からなくなってきた。
まさかこの歳にして既にボケが始まってしまったか?
「えーと、焼いたものではなくこう…………煮た?いや、揚げた?」
食べたいという欲求と、どちらの方が手間がかからないだろうかと天秤にかけてしまう。
煮込むには時間も火加減も難しいだろうからと揚げることにした。
手間を惜しんだ。
「今日の夜は唐揚げにしましょうか。きっと愛依は気に入りますよ」
「たべる!」
「シンない?」
自分は食べられないのかと悲しい顔をする真に微笑むとちゃんとみんなの分を用意すると約束する。
真はどちらかというと魚派だが別に肉が苦手というわけではなく、愛依が美味しそうに食べていれば自分もと一緒に食べている。
「なのでお昼ご飯が終わったら一緒にお肉を獲りに行きましょう」
「「「いく!」」」
ん?
何故か3人分の声が聞こえた。
愛依は分かる。お肉が大好きだから。
アレンも分かる。彼もお肉が大好きだから。
ならばあと1人は誰かと後ろを振り向けば………
「リルも食べたいんですか?」
縁が座っていた椅子に身を乗り出し自分にも食べさせろと迫ってきていた。
朝から姿が見えなかったためまた出掛けているのかと思っていたのだが、戻ってきていたようだ。
「当たり前だろう!もしや我には用意せぬ気か!?」
そんな焦らずとも。
何故だろう?最近リルが本当は犬だったのではと思えてきた。
あれほど太ったかもしれない、運動不足だと慌てていたのにいざ目の前にご飯を差し出されれば反射的に齧り付いている。
フェンリルの理想体重など知らないが気にしているならばと縁も余計なことは言わないようにしている。
「なら散歩がてらリルも一緒に行きましょう。リルがいてくれれば美味しいお肉も獲れそうですし」
「任せておくがいい!」
かなりご機嫌なようなのでこの後の狩りも頑張ってくれることだろう。
張り切るリルにアレンたちも早々に食べ終えると素早く支度を済ませ森に向かう。
「繋は置いてきてよかったのか?」
「本人がいいと言っていたので大丈夫でしょう」
そう、今回繋は一緒には来ていない。
珍しい行動にアレンは驚いていたが縁からすれば特に驚くことでもなかったためすんなりとお留守をお願いしてきた。
「繋はあまり狩りが得意ではないんですよ」
「そこは慣れだろ」
初めは誰でもそうだとアレンが言ってきたが縁は違うというように首を振る。
慣れる慣れない以前の問題なのだ。
「上手く狩りが出来ないという意味じゃなくて動物たちが傷つけられるのを見るが好きじゃないってことです」
「あぁ。そういうことか」
これもある意味慣れではあるが今はまだ無理にそれをさせる必要はないだろうと縁も無理強いはしていない。
本人がやりたいと思った時でいいと思う。
愛依に関しては獣人だからかもしれないとしか言いようがないが、確かに女性で進んで狩りをしたいと思う人はそういないだろう。
そこは男女差もあるかもしれないと縁も納得している。
「塊にでもなってれば平気なんですよ。ご飯を作る時は普通に手伝ってくれますし」
皮を剥ぎ、処理された肉の塊にさえなってしまえば繋も嫌だとは言わない。
ならばそれでいいと縁も思う。
「なので夕飯作りはきっと頑張ってくれますよ。そのためにもたくさん狩って行きましょう」
「だな」
愛依たちほどではないが繋もお肉は好きだ。
出されれば食べるし文句を言うこともない。
こと野菜と味噌に関しては拘りが強いが。
我慢して家で待っていてくれる繋のためにも夜はお味噌にしてあげようと思うのだった。
「唐揚げ定食ですね。漬け物が欲しいな」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ。唐揚げはご飯がすすむ食べ物なのでどれだけあれば足りるかなと」
普段もそれなりに食べるアレンたちにどれだけ用意すれば満足してくれるだろうかと悩む。
揚げた端から食べて終わるのでは?
アレンをジッと見つめ考えてみたが答えが出るはずもなく頑張ろうと覚悟だけしておくのだった。
「って、リルそれはやり過ぎです」
「俺の出番もなかったな」
いつの間にか積み上げられたそれらに自分たちの出番はなかったようだと鞄にしまい込むと元気よく尾を振るリルを感謝を込めて撫でておくのだった。
彼は本当に痩せる気があるのか?
思っていても言わないのが大人なのであった。
「「「「「………………」」」」」
こいつ何言ってんだという顔をされたが、1度浮かんだ想いはそれぐらいでは消えはしない。
「いつも食ってんだろ?」
確かに獣人であるアレンたちのためにと毎日のように何かしら肉料理は出てはいるが縁が求めているのはそうではない。
なんかこう………………あれだ。
考え過ぎて自分でも何がいいのか分からなくなってきた。
まさかこの歳にして既にボケが始まってしまったか?
「えーと、焼いたものではなくこう…………煮た?いや、揚げた?」
食べたいという欲求と、どちらの方が手間がかからないだろうかと天秤にかけてしまう。
煮込むには時間も火加減も難しいだろうからと揚げることにした。
手間を惜しんだ。
「今日の夜は唐揚げにしましょうか。きっと愛依は気に入りますよ」
「たべる!」
「シンない?」
自分は食べられないのかと悲しい顔をする真に微笑むとちゃんとみんなの分を用意すると約束する。
真はどちらかというと魚派だが別に肉が苦手というわけではなく、愛依が美味しそうに食べていれば自分もと一緒に食べている。
「なのでお昼ご飯が終わったら一緒にお肉を獲りに行きましょう」
「「「いく!」」」
ん?
何故か3人分の声が聞こえた。
愛依は分かる。お肉が大好きだから。
アレンも分かる。彼もお肉が大好きだから。
ならばあと1人は誰かと後ろを振り向けば………
「リルも食べたいんですか?」
縁が座っていた椅子に身を乗り出し自分にも食べさせろと迫ってきていた。
朝から姿が見えなかったためまた出掛けているのかと思っていたのだが、戻ってきていたようだ。
「当たり前だろう!もしや我には用意せぬ気か!?」
そんな焦らずとも。
何故だろう?最近リルが本当は犬だったのではと思えてきた。
あれほど太ったかもしれない、運動不足だと慌てていたのにいざ目の前にご飯を差し出されれば反射的に齧り付いている。
フェンリルの理想体重など知らないが気にしているならばと縁も余計なことは言わないようにしている。
「なら散歩がてらリルも一緒に行きましょう。リルがいてくれれば美味しいお肉も獲れそうですし」
「任せておくがいい!」
かなりご機嫌なようなのでこの後の狩りも頑張ってくれることだろう。
張り切るリルにアレンたちも早々に食べ終えると素早く支度を済ませ森に向かう。
「繋は置いてきてよかったのか?」
「本人がいいと言っていたので大丈夫でしょう」
そう、今回繋は一緒には来ていない。
珍しい行動にアレンは驚いていたが縁からすれば特に驚くことでもなかったためすんなりとお留守をお願いしてきた。
「繋はあまり狩りが得意ではないんですよ」
「そこは慣れだろ」
初めは誰でもそうだとアレンが言ってきたが縁は違うというように首を振る。
慣れる慣れない以前の問題なのだ。
「上手く狩りが出来ないという意味じゃなくて動物たちが傷つけられるのを見るが好きじゃないってことです」
「あぁ。そういうことか」
これもある意味慣れではあるが今はまだ無理にそれをさせる必要はないだろうと縁も無理強いはしていない。
本人がやりたいと思った時でいいと思う。
愛依に関しては獣人だからかもしれないとしか言いようがないが、確かに女性で進んで狩りをしたいと思う人はそういないだろう。
そこは男女差もあるかもしれないと縁も納得している。
「塊にでもなってれば平気なんですよ。ご飯を作る時は普通に手伝ってくれますし」
皮を剥ぎ、処理された肉の塊にさえなってしまえば繋も嫌だとは言わない。
ならばそれでいいと縁も思う。
「なので夕飯作りはきっと頑張ってくれますよ。そのためにもたくさん狩って行きましょう」
「だな」
愛依たちほどではないが繋もお肉は好きだ。
出されれば食べるし文句を言うこともない。
こと野菜と味噌に関しては拘りが強いが。
我慢して家で待っていてくれる繋のためにも夜はお味噌にしてあげようと思うのだった。
「唐揚げ定食ですね。漬け物が欲しいな」
「ん?何か言ったか?」
「いいえ。唐揚げはご飯がすすむ食べ物なのでどれだけあれば足りるかなと」
普段もそれなりに食べるアレンたちにどれだけ用意すれば満足してくれるだろうかと悩む。
揚げた端から食べて終わるのでは?
アレンをジッと見つめ考えてみたが答えが出るはずもなく頑張ろうと覚悟だけしておくのだった。
「って、リルそれはやり過ぎです」
「俺の出番もなかったな」
いつの間にか積み上げられたそれらに自分たちの出番はなかったようだと鞄にしまい込むと元気よく尾を振るリルを感謝を込めて撫でておくのだった。
彼は本当に痩せる気があるのか?
思っていても言わないのが大人なのであった。
41
あなたにおすすめの小説
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる