二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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今のおれ

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 手を引かれ連れて来られたのは薄暗く、首輪をつけられた人間たちが詰め込まれている檻がいくつも並ぶ部屋の中。
 初めて間近で見た奴隷という存在に戸惑い、こちらをジロジロと見てくるいくつもの視線に足が竦んだ。

 「怖いですか?」

 「……………少し」

 かけられた優しい声と繋がれた温かい手の平に詰めていた息を吐く。
 こんなことで怯えるなどかっこ悪いとも思ったが、彼は馬鹿にすることなく笑ってそれでいいと頷いた。

 「この光景を当たり前だなんて思わないで下さい。奴隷というものを否定するわけではありませんけど、この中には何の罪もないのに閉じ込められている人たちもいるんです。全てを助けてあげることなんて私にも君にも出来ませんがそれでも彼らを見下すようなことはしないであげて」

 奴隷という立場ではあるが彼らも自分たちと同じ人なのだと彼は言う。

 「確かに私も以前奴隷としてセインとアズを買いはしましたが、それでも彼らをこき使う気も無下にする気も初めからありませんでした」

 獣人を連れてはいたので何となくそうだろうとは思っていたが、確かに彼の性格から言ってもそれはないだろう。

 「今回もこうして買いに来てはいますがだからと言って彼らを雑に扱って欲しくはないです」

 「わかってる」

 両親が死に、親戚には厄介者扱いされ、毎日盗みを働いてはその日を必死に生きるのがやっとだった自分と彼らではそう違いはないだろう。
 下手をすれば汚い大人にでも捕まり奴隷として売り飛ばされる可能性もあったのだ。

 「ではサウルがいいなと思う人がいたら教えて下さいね。出来れば獣人の方がいいですけど人間でも問題はありません」

 「うん」

 今日ここへ来たのはあの家に人手を増やすため。
 サウル自身それほど助けは求めていなかったのだがーー

 「お婆さんが足が痛いと言っていたでしょう?今はまだ大丈夫そうですが、転んだりして起き上がれなくなった時にそれを助け起こせる人が欲しいんです」

 そう言われ、ならばいいかと頷いた。
 お婆さんのことはサウルもずっと心配だったため、それを手助けしてくれるならば有り難い。
 その上その相手を選ぶのをサウルに任せると言われ驚いた。

 「奴隷の方を買おうと思うんです。誰か雇おうとも思ったんですけど……はっきり言って信用出来ないでしょう?」

 金を払い雇うのは一般的ではあるがそこに信用も裏切りもないかと聞かれれば、どこにでも悪いことを考える汚い大人はいるものだとサウルも分かっていた。
 だが奴隷ならばその心配もぐっと減る。
 従わせたいとは思わないが、首輪があれば怒りに暴力を振るわれることも見知らぬ怪しい奴らを連れ込んでくることもない。

 「私が選んできてもいいんですけど、結局一緒に生活するのはサウルたちでしょ?サウルが、他の子たちが一緒に暮らしても大丈夫だろうと思える人を選んで欲しいんです」

 その結果奴隷商人の所に連れて来られたのだが、これほど多くの人が無理矢理檻に入れられている光景は何とも異様だった。
 まだ少し怖いが繋がれた手に勇気をもらうとゆっくりと周りを見て回る。

 「男がいいの?女?」

 「人間なら男性がいいですけど、獣人ならどちらでも構いませんよ。彼らはかなり力持ちですからね。女性でも私ぐらい軽々抱えてくれます」

 「え……マジ?」

 確かに彼の側にいるアレンと呼ばれている獣人は体格も大きく力があるのは見て分かるが、まさかそれが女もだとは思わなかった。

 「ならあんたの子どももデカくなったらそんなに強くなんの?」

 「たぶん」

 「…………」

 以前抱えた彼の赤ん坊の感触を今も覚えている。
 全てがふにふにと柔らかく、話すことも自分の力で歩くことも出来ないあの赤ん坊がまさかそんなに強くなるとは……

 「すごいでしょ?なのでサウルたちの安全も考えればいてくれるとかなり心強いです」

 「女に守られるなんてやだ」

 いくら力があり強いと言われようが、男として女に守られるなんて情けないのはイヤだと言えば、笑って流石は男の子ですねと言われた。

 「そう思えるサウルはとてもかっこいいです。強くなってみんなを守るかっこいいお兄ちゃんになって下さいね」

 「わかった」

 かっこいいと言われ顔がニヤケそうになったが何とか堪えると檻を1つずつ見ていく。
 流石に赤ん坊こそいなかったが、明らかに自分よりも年下の子どもから腰が曲がった年寄りまでいる。
 もしかしたら自分もここに入れられていたかもしれないと思うと身体が震えた。

 「とりあえず獣人から見てみましょうか。サウルとも仲良く出来そうな人がいいんですけど……」

 大丈夫。今はこうして手を繋いで一緒に歩いてくれる人がいる。
 抱きしめてくれる腕も、手を取り合って助け合える家族もいるんだから大丈夫だと自分に言い聞かせればいつの間にか震えは止まっていたのだった。

 「サウルはどれぐらいの子がいいですか?あまり幼くても大変ですし、だからと言って年がいき過ぎていても困ーー」

 「あっ」

 「「?」」

 突如横から聞こえてきた声に2人で振り返るのだった。


  

 

 
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