二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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どうでしょう?

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 眺めること数分…
 
 「え?それだけですか?」

 再び黙り込む2人に思わず突っ込んでしまった。
 
 「………何はなせばいいの?」

 「うーん。褒めてくれたんですからありがとうとか…………」

 確かに奴隷として売られている子と普通にお喋りは難しいかと今さら気が付いた。

 「そういえば2人は何故こんな部屋奥に?その容姿と年齢なら店先にいてもいいものでは?」

 妹の方はまだ幼く力はそれほどないかもしれないが、姉の方だけ言うならば店先に置かれていても不思議ではない年齢と容姿である。

 「ハッ、やっぱりね。アンタもどうせお飾りか道具として私たちみたいなのを買いに来たんでしょ。残念だけど私は妹と一緒じゃなきゃ誰にも買われないわ。この子に何かしようものなら殴ってでも止めるから」

 随分気が強いだ。
 この性格も理由の1つかもしれないが、だとしてもそれだけで買うのを躊躇うだろうか?

 「あ、あの…ちがうんです。お、おねぇちゃんはわたしのせいで、ここからはなれられない、んです」

 「離れられない?」

 ………られない、ということは離れたいという意思は勿論あるということだ。

 「わ、わたし、むかしからあしが、わ、わるくて。だ、だから……なにもできない、やくたたずって。そ、そのせいでおねぇちゃんもたたかれて、けられて………ごめんね、おねぇちゃん」

 「シャイアのせいなんかじゃない!そんなこと言う奴らがクズなだけよ。大体その足だって捕まった時アイツらが蹴ったせいでしょ。シャイアは悪くない。悪いのはシャイアを怪我させたアイツらで、獣人だからって捕まえてくる人間たちよ」

 聞いているだけで耳に痛い話しである。
 彼女らが言う人間たちと同じだというつもりはないが、これがこの世界の当たり前だと思えばやはり悲しいものがある。

 「…………サウル、どうしますか?」

 あくまで選ぶのはサウルであり、縁の意見に左右されていけないだろうと黙っておく。

 「………でも、足がわるいって。いたいならオレたちとしごともできないだろ?」

 確かに足が悪いというならば味噌作りも畑仕事の手伝いも難しくはあるだろう。
 だがーー

 「もしそれだけが彼女たちを諦める理由なら解決策は色々あります。そうではなく、サウルが一緒にやっていけそうだと思える子を私は選んでほしい」

 必ずしも希望通りの相手に出会えるとは限らない。
 むしろその可能性はかなり低く、妥協することが殆どだ。

 「でも……あの子かったらあの女もくるんだろ?」

 未だに縁への態度の悪さが引っかかっているらしい。
 
 「嫌ですか?けど彼女も今まで色々あって人間を信用出来ないんですよ。昔のサウルと同じでね。でもサウルが変わったみたいに、彼女もそのきっかけをあげれば変わってくれるかもしれません」

 「かわんねぇかもしれねぇじゃん」

 即座にそう言い返してくる辺り流石サウルだ。
 
 「ならやめますか?」

 「………アンタがだいじょうぶだと思うならいい」

 結局のところサウルも少女のことが気になっていたのだろう。
 やめる選択肢もあると言えば渋りながらも彼女たちがいいと頷くのだった。
 ならばあとは………

 「良ければ私たちと来てくれると嬉しいです。衣食住は保証しますし、暴力を加えることもありません。ただこの子たちと一緒に畑仕事などを手伝ってほしいんです」

 「あ、あの、でもわたし…あしがーー」

 「お断りよ。そう言って私たちをいたぶりたいだけでしょ」

 姉の方には一刀両断されてしまったが、それまでの反応から反対されることは分かっていたためそれほど気にはしていない。

 「貴方には他に頼みたいことがあります。大丈夫、力がなくても出来る仕事は他にいくらでもありますよ」

 主に期待しているのは手芸である。
 はっきり言って不器用な縁に縫い物は難しく教えてあげられない。
 子どもたちも育ち盛りのため、遊んでいて服を破いてしまった、穴が開いたなどした時繕いものが出来る人は大歓迎なのである。

 「私には無理ですが教えてくれるだろうお婆さんもいますし…どうですか?」

 足が悪いから役立たずというなど愚かだ。
 獣人はその力が有用とされているのだろうが、では他に何もないのかと聞かれればそんなことない。
 力が強いと言うだけであって人間に出来ることも彼らは出来るのだから優秀である。

 「お姉さんにはそのお婆さんのお世話をお願いしたいんです。お歳なので足や腰の痛みがあって倒れた時とか手助けしてくれたら嬉しいです」

 「そんなことアンタがすればいいでしょ」

 「一緒に住んでいればそうするんですが、それも難しいので。他にはまだ身体が出来上がっていない子どもたちばかりで支えるには無理があります。………どうでしょう?」

 あくまで彼女たちの意見を尊重する。
 やりたくないというのをやれと命令するのも嫌だし、命令されてやることに良い結果が出るとも思えない。
 
 「妹さんもこのままここにいても身体に悪いでしょう?温かい部屋で、美味しいご飯をお腹いっぱい食べて体力をつければ、治るとは言いませんが少しはマシになるかもしれません」

 この寒い部屋で檻に押し込められていても治るものも治らないだろう。むしろ悪化しかしない。

 「………………………妹に何かしたらアンタを殺すから」

 過激な言葉ではあるがどうやら了承は得られたようで契約の手続きを始めるのだった。



 

 
 

 
 

 
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