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ふれあい
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「ふふ、変わった子でしょ?エニシさんって」
「え、あ、あの……」
突如かけられた言葉に戸惑った。
とても楽しそうに笑いながらそう話すお婆さんの視線を追っていけば、姉と一緒に洗濯するあの男の人がいた。
「いえ、優しい子と言った方がいいのかしら。そう……優しくて、優し過ぎて、でもとても強い子だわ。彼のおかげで子どもたちにも、貴方たちにも出会うことができた」
とっても嬉しいわと優しく頭を撫でてきたその手は温かく、これが夢ではなく現実だと教えてくれている。
確かにあの人は自分が知る人間とは全く違った。
見た目は人間なのに、しかし自分たちに接する彼の態度はまるで……
「私もね、昔貴方たちと同じ奴隷だったのよ」
「え………」
他の子たちには内緒よと話してくれたが、楽しそうに話すその姿と奴隷という言葉が結び付かず混乱した。
「昔ね。昔の話しよ。そう………もう随分昔だけど両親に売られてね、あの時は本当に辛かったわ。何度死にかけたか分からない」
昔を思い出しているのか、どこか懐かしむように遠くを見つめる姿に本当なのだと分かった。
「でも歳を取るにつれて用無しだと森に捨てられてね。そこである人に出会ったの」
「あ、あるひと?で、すか?」
「ふふ。そう、私の命の恩人で、私の大切な大切な旦那様」
それはそれは嬉しそうに笑う彼女にとても大切な人なのだと分かった。
更に話しを聞いていけば、その相手は獣人であったと知り驚く。
ここへ来てからと言うもの驚くばかりで、今まで自分たちが知っていた人間というものが彼女らとは別の生き物のように感じた。
「一緒に逝くことは出来なくて寂しかったけど、エニシさんのおかけで今はこうしてみんなと楽しく暮らせてとても幸せなの。可愛い女の子も2人増えたことだしね。私で出来ることがあれば何でも聞いてちょうだい」
「…………………で、でも…わ、わたしたち、ど、どれいで…」
彼女の言葉はとても嬉しいが、自分たち姉妹は彼らに買われた身であり奴隷なのだ。
役立たずだと捨てられたわけではなく、金で買われた自分たちはその役目を果たさねばならない。
「エニシさんがそう言ったの?」
言ってない。ふるふると首を振れば、やっぱりねと彼女は笑った。
「み、みんなみたい、に、く、くらせば、いいって」
「でしょう?」
「で、でもっ」
「信じるのが怖い?」
「っ」
あの人が優しいのはすぐに分かった。そう言ってくれたのも泣きたいくらい嬉しかった。
けど……けど…………
「そうよね。そう思って当たり前だわ。私も元は奴隷だったから少しはその気持ちも分かってあげられる。でもね、私エニシさんほど温かい人見たことないわ」
「あ、あったかい、ですか?」
彼は人間のため自分たち獣人より体温が低いはずだが……
「身体のことではなくてココ。心がね、とても温かいの」
ポンポンと胸を叩く彼女。
「彼は子どもたちに生きる方法を、喜びを教えてくれた」
元気に畑を耕す彼らは大変そうだったが辛そうには見えなかった。
「私と同じで獣人である彼らを心から愛している」
可愛いでしょ?と見せてくれた赤ん坊を思い出す。
獣耳があったのにあの人はそんなこと気にしていなかった。
「私の大切な人を大切だと言ってくれた。1人死ぬのを待つだけだった私に貴方たちという幸せを運んできてくれた」
「で、でも………」
自分たちなんかが幸せになれるわけない。
「勿論貴方たちがどうしても無理だと思えば言ってくれていいわ。買ったのはサウルみたいだけど、エニシさんなら他にもきっと貴方たちの幸せになれる方法を探してくれるだろうから」
幸せ、になれる方法……
「私は元奴隷で、あの子たちは孤児だった。けどエニシさんは普通に笑いかけてくれたわ。こんにちはって、初めて会った時なんか泥だらけになりながらも笑って挨拶してくれたわ。奴隷だったことを話した時も辛かったですねって見下すこともバカにもしなかった。私たちを1人の人として見てくれたわ」
初めて会った時のことを思い出す。
普段なら欠陥品と言われ見下ろされ殴られることもあるのに、あの人は笑ってこんにちはと言ってくれた。
ゆっくりでいいからと怒ることなく待ってくれた。
それがどれだけ凄いことか、普通ならあり得ないことか。
「あの子たちを頼まれた時もお願いしますって頭を下げられたわ。大変なことを頼んですいませんって。確かにこの歳で子育てなんて大変ではあったけど、それ以上に楽しくもあるのよ。1人じゃないって、人の温かを改めて知ることが出来たから」
「わ、わたし…………わたし、にも、わかりますか?」
「きっと。ここはもう貴方たちの家なんだもの」
家。助け合える仲間だと彼女も言う。
未だ戸惑いと、信じていいのかという不安もあるが、もしかしたらと思う気持ちもある。
ならばそれまで信じてみてもいいかもしれない。
「あ、あの…わ、わたしにも、おしえて、くれませんか?」
「ええ。よろこんで」
優しい微笑みと共に渡された針と糸に頑張るぞと気合を入れるのだった。
「え、あ、あの……」
突如かけられた言葉に戸惑った。
とても楽しそうに笑いながらそう話すお婆さんの視線を追っていけば、姉と一緒に洗濯するあの男の人がいた。
「いえ、優しい子と言った方がいいのかしら。そう……優しくて、優し過ぎて、でもとても強い子だわ。彼のおかげで子どもたちにも、貴方たちにも出会うことができた」
とっても嬉しいわと優しく頭を撫でてきたその手は温かく、これが夢ではなく現実だと教えてくれている。
確かにあの人は自分が知る人間とは全く違った。
見た目は人間なのに、しかし自分たちに接する彼の態度はまるで……
「私もね、昔貴方たちと同じ奴隷だったのよ」
「え………」
他の子たちには内緒よと話してくれたが、楽しそうに話すその姿と奴隷という言葉が結び付かず混乱した。
「昔ね。昔の話しよ。そう………もう随分昔だけど両親に売られてね、あの時は本当に辛かったわ。何度死にかけたか分からない」
昔を思い出しているのか、どこか懐かしむように遠くを見つめる姿に本当なのだと分かった。
「でも歳を取るにつれて用無しだと森に捨てられてね。そこである人に出会ったの」
「あ、あるひと?で、すか?」
「ふふ。そう、私の命の恩人で、私の大切な大切な旦那様」
それはそれは嬉しそうに笑う彼女にとても大切な人なのだと分かった。
更に話しを聞いていけば、その相手は獣人であったと知り驚く。
ここへ来てからと言うもの驚くばかりで、今まで自分たちが知っていた人間というものが彼女らとは別の生き物のように感じた。
「一緒に逝くことは出来なくて寂しかったけど、エニシさんのおかけで今はこうしてみんなと楽しく暮らせてとても幸せなの。可愛い女の子も2人増えたことだしね。私で出来ることがあれば何でも聞いてちょうだい」
「…………………で、でも…わ、わたしたち、ど、どれいで…」
彼女の言葉はとても嬉しいが、自分たち姉妹は彼らに買われた身であり奴隷なのだ。
役立たずだと捨てられたわけではなく、金で買われた自分たちはその役目を果たさねばならない。
「エニシさんがそう言ったの?」
言ってない。ふるふると首を振れば、やっぱりねと彼女は笑った。
「み、みんなみたい、に、く、くらせば、いいって」
「でしょう?」
「で、でもっ」
「信じるのが怖い?」
「っ」
あの人が優しいのはすぐに分かった。そう言ってくれたのも泣きたいくらい嬉しかった。
けど……けど…………
「そうよね。そう思って当たり前だわ。私も元は奴隷だったから少しはその気持ちも分かってあげられる。でもね、私エニシさんほど温かい人見たことないわ」
「あ、あったかい、ですか?」
彼は人間のため自分たち獣人より体温が低いはずだが……
「身体のことではなくてココ。心がね、とても温かいの」
ポンポンと胸を叩く彼女。
「彼は子どもたちに生きる方法を、喜びを教えてくれた」
元気に畑を耕す彼らは大変そうだったが辛そうには見えなかった。
「私と同じで獣人である彼らを心から愛している」
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獣耳があったのにあの人はそんなこと気にしていなかった。
「私の大切な人を大切だと言ってくれた。1人死ぬのを待つだけだった私に貴方たちという幸せを運んできてくれた」
「で、でも………」
自分たちなんかが幸せになれるわけない。
「勿論貴方たちがどうしても無理だと思えば言ってくれていいわ。買ったのはサウルみたいだけど、エニシさんなら他にもきっと貴方たちの幸せになれる方法を探してくれるだろうから」
幸せ、になれる方法……
「私は元奴隷で、あの子たちは孤児だった。けどエニシさんは普通に笑いかけてくれたわ。こんにちはって、初めて会った時なんか泥だらけになりながらも笑って挨拶してくれたわ。奴隷だったことを話した時も辛かったですねって見下すこともバカにもしなかった。私たちを1人の人として見てくれたわ」
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