418 / 475
ママどこ?
しおりを挟む
膝の上で眠り続ける息子に苦笑いする。
「ママ早く帰ってくるといいね」
最近は人間の姿をとるのも安定してきたようで、外で遊ぶ以外はそのままでいることが殆どだ。
窓から入ってくる風が気持ちよく、お昼寝には丁度いいだろう。
「なんだ。翔はまた寝てるのか?」
「うん。いじけてる」
「は?」
意味が分からんと言いながら近付いてきたロンにルーも笑うしかない。
「またママがいないっていじけてんの」
「それは……まぁ泣かれるよりはいいか」
以前置いていかれた時の数日のことを思えば、いじけて眠るぐらい可愛いものだ。
「にしても最近多くないか?寂しいなら外で遊ぶなりすればいいだろ」
その方が気分転換にもなり気も紛れると言われたが、自分はどちらでも構わなかった。
翔が遊びたいと言うならば一緒に遊ぶし、寂しいから寝ると言うのであれば膝に乗せ頭を撫でてやるぐらい簡単なものだ。
「たぶんだけど……探してるんじゃないかな」
「探す?何をだ?」
「縁」
「………………は?」
本人に確認したわけではないため確実にそうかは分からないが、たぶんそう間違っていないと思う。
普段なら仰向けでぐーぐー眠る翔だが、縁がいない日に限ってネコのように丸まって寝るのだから。
「無意識だと思うけど魔力探知で縁を探してるんだと思う。微妙に魔力の流れみたいなの感じるし」
「バッ、バカ!今すぐやめさせろっ!」
「ちょっと大声出さないでよ。翔が起きちゃう」
「起こせと言ってるんだ!」
うるさいなぁ。
ルーとてそこまでバカではな………いや、バカではあるかもしれないが我が子が危険かどうかぐらいは判断出来る。
ロンがやめさせろと言うのも魔力探知により魔力不足に陥らないか心配してのことだろう。
無意識にしろ、そうでないにしろ寝ている間ずっと魔法を展開していれば魔力不足に陥っていても不思議ではない。
「大丈夫だよ。オレもいるし、縁にも話したらお守りっていうのも作ってくれたから」
繋たちはすでにしていた腕輪を縁は翔やルー、ロンにも作ってくれた。
特に翔のことを心配してか、魔石も飾り付けられており中には縁の魔力がかなり詰め込まれている。
「それに元々翔の魔力はかなりデカいみたいだよ。縁ほどじゃないみたいだけど今のところ息切れとかも起こしてないし」
むしろモリモリご飯を食べ、繋たちが暇な時は一緒に走り回って遊ぶなど元気いっぱいだ。
夜には探索も諦めているのかぐっすりと眠っている。
「変なところばっかり似やがって」
ロンは苦い顔をしているが、ルーからすれば縁に似てくれて嬉しい限りだ。
だが、だからこそ心配でありロンに止めろと言われても止めていない理由でもある。
「オレはさ、魔力調整苦手だったからさ。もしこれで翔がちょっとでも楽に出来るようになればいいなぁと思って」
「……………そう、だな」
両親を、仲間を失い心の余裕を無くしたルーは自分を抑えるのも難しく苦手だった。
何度暴走しかけロンに心配させたか分からない。
自分たちより多いだろう魔力を持つ翔なら尚更早く慣らしておくべきだろう。
「縁もね、翔はパパに似て寂しがり屋だからその方がいいだろうって」
「変なところばかり似るな」
「はははははっ、うん、縁も言ってた。けど嬉しいんだ。変でも何でもオレと縁、どっちにも似てくれてすごく嬉しい」
だって翔は2人の子なのだから。
「…………オレ、兄貴には感謝してる。オレのこと見捨てないでくれて、すっごい迷惑ばっかりかけたけどずっとそばにいてくれて。兄貴がいてくれたから縁にも会えた。翔にも会えた。だから……ありがと。兄貴がいてくれて……兄貴が兄貴で本当によかった」
以前縁にも言われた。
兄弟だからといって必ずしも一緒にいてくれるわけではないと。
ロンがこんな自分のそばにいてくれたのは家族として、兄弟として本当に愛してくれていたからなのだと今ならよく分かる。
「………………バカ野郎。そんなの当たり前だろ。俺はお前の兄貴なんだから。今じゃ母親に似て心配ばかりかける甥も姪もいるし毎日大変だがな」
言葉とは裏腹に笑っているのはそんな毎日を嫌がってはいないからだろう。
彼も彼なりに今を幸せだと感じてくれている。
「そういえばさっき何か外で騒いでなかった?」
遠くの方で声だけは聞こえてきていたのだが翔が膝で眠っていたため動けず何があったのか知らなかったのだ。
「あー、なんだ、その……どうやら真と愛依がクマになったらしいぞ」
「は?」
意味が分からない。
「ママ早く帰ってくるといいね」
最近は人間の姿をとるのも安定してきたようで、外で遊ぶ以外はそのままでいることが殆どだ。
窓から入ってくる風が気持ちよく、お昼寝には丁度いいだろう。
「なんだ。翔はまた寝てるのか?」
「うん。いじけてる」
「は?」
意味が分からんと言いながら近付いてきたロンにルーも笑うしかない。
「またママがいないっていじけてんの」
「それは……まぁ泣かれるよりはいいか」
以前置いていかれた時の数日のことを思えば、いじけて眠るぐらい可愛いものだ。
「にしても最近多くないか?寂しいなら外で遊ぶなりすればいいだろ」
その方が気分転換にもなり気も紛れると言われたが、自分はどちらでも構わなかった。
翔が遊びたいと言うならば一緒に遊ぶし、寂しいから寝ると言うのであれば膝に乗せ頭を撫でてやるぐらい簡単なものだ。
「たぶんだけど……探してるんじゃないかな」
「探す?何をだ?」
「縁」
「………………は?」
本人に確認したわけではないため確実にそうかは分からないが、たぶんそう間違っていないと思う。
普段なら仰向けでぐーぐー眠る翔だが、縁がいない日に限ってネコのように丸まって寝るのだから。
「無意識だと思うけど魔力探知で縁を探してるんだと思う。微妙に魔力の流れみたいなの感じるし」
「バッ、バカ!今すぐやめさせろっ!」
「ちょっと大声出さないでよ。翔が起きちゃう」
「起こせと言ってるんだ!」
うるさいなぁ。
ルーとてそこまでバカではな………いや、バカではあるかもしれないが我が子が危険かどうかぐらいは判断出来る。
ロンがやめさせろと言うのも魔力探知により魔力不足に陥らないか心配してのことだろう。
無意識にしろ、そうでないにしろ寝ている間ずっと魔法を展開していれば魔力不足に陥っていても不思議ではない。
「大丈夫だよ。オレもいるし、縁にも話したらお守りっていうのも作ってくれたから」
繋たちはすでにしていた腕輪を縁は翔やルー、ロンにも作ってくれた。
特に翔のことを心配してか、魔石も飾り付けられており中には縁の魔力がかなり詰め込まれている。
「それに元々翔の魔力はかなりデカいみたいだよ。縁ほどじゃないみたいだけど今のところ息切れとかも起こしてないし」
むしろモリモリご飯を食べ、繋たちが暇な時は一緒に走り回って遊ぶなど元気いっぱいだ。
夜には探索も諦めているのかぐっすりと眠っている。
「変なところばっかり似やがって」
ロンは苦い顔をしているが、ルーからすれば縁に似てくれて嬉しい限りだ。
だが、だからこそ心配でありロンに止めろと言われても止めていない理由でもある。
「オレはさ、魔力調整苦手だったからさ。もしこれで翔がちょっとでも楽に出来るようになればいいなぁと思って」
「……………そう、だな」
両親を、仲間を失い心の余裕を無くしたルーは自分を抑えるのも難しく苦手だった。
何度暴走しかけロンに心配させたか分からない。
自分たちより多いだろう魔力を持つ翔なら尚更早く慣らしておくべきだろう。
「縁もね、翔はパパに似て寂しがり屋だからその方がいいだろうって」
「変なところばかり似るな」
「はははははっ、うん、縁も言ってた。けど嬉しいんだ。変でも何でもオレと縁、どっちにも似てくれてすごく嬉しい」
だって翔は2人の子なのだから。
「…………オレ、兄貴には感謝してる。オレのこと見捨てないでくれて、すっごい迷惑ばっかりかけたけどずっとそばにいてくれて。兄貴がいてくれたから縁にも会えた。翔にも会えた。だから……ありがと。兄貴がいてくれて……兄貴が兄貴で本当によかった」
以前縁にも言われた。
兄弟だからといって必ずしも一緒にいてくれるわけではないと。
ロンがこんな自分のそばにいてくれたのは家族として、兄弟として本当に愛してくれていたからなのだと今ならよく分かる。
「………………バカ野郎。そんなの当たり前だろ。俺はお前の兄貴なんだから。今じゃ母親に似て心配ばかりかける甥も姪もいるし毎日大変だがな」
言葉とは裏腹に笑っているのはそんな毎日を嫌がってはいないからだろう。
彼も彼なりに今を幸せだと感じてくれている。
「そういえばさっき何か外で騒いでなかった?」
遠くの方で声だけは聞こえてきていたのだが翔が膝で眠っていたため動けず何があったのか知らなかったのだ。
「あー、なんだ、その……どうやら真と愛依がクマになったらしいぞ」
「は?」
意味が分からない。
42
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
【本編完結】転生したら、チートな僕が世界の男たちに溺愛される件
表示されませんでした
BL
ごく普通のサラリーマンだった織田悠真は、不慮の事故で命を落とし、ファンタジー世界の男爵家の三男ユウマとして生まれ変わる。
病弱だった前世のユウマとは違い、転生した彼は「創造魔法」というチート能力を手にしていた。
この魔法は、ありとあらゆるものを生み出す究極の力。
しかし、その力を使うたび、ユウマの体からは、男たちを狂おしいほどに惹きつける特殊なフェロモンが放出されるようになる。
ユウマの前に現れるのは、冷酷な魔王、忠実な騎士団長、天才魔法使い、ミステリアスな獣人族の王子、そして実の兄と弟。
強大な力と魅惑のフェロモンに翻弄されるユウマは、彼らの熱い視線と独占欲に囲まれ、愛と欲望が渦巻くハーレムの中心に立つことになる。
これは、転生した少年が、最強のチート能力と最強の愛を手に入れるまでの物語。
甘く、激しく、そして少しだけ危険な、ユウマのハーレム生活が今、始まる――。
本編完結しました。
続いて閑話などを書いているので良かったら引き続きお読みください
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
僕だけの番
五珠 izumi
BL
人族、魔人族、獣人族が住む世界。
その中の獣人族にだけ存在する番。
でも、番には滅多に出会うことはないと言われていた。
僕は鳥の獣人で、いつの日か番に出会うことを夢見ていた。だから、これまで誰も好きにならず恋もしてこなかった。
それほどまでに求めていた番に、バイト中めぐり逢えたんだけれど。
出会った番は同性で『番』を認知できない人族だった。
そのうえ、彼には恋人もいて……。
後半、少し百合要素も含みます。苦手な方はお気をつけ下さい。
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
小学生のゲーム攻略相談にのっていたつもりだったのに、小学生じゃなく異世界の王子さま(イケメン)でした(涙)
九重
BL
大学院修了の年になったが就職できない今どきの学生 坂上 由(ゆう) 男 24歳。
半引きこもり状態となりネットに逃げた彼が見つけたのは【よろず相談サイト】という相談サイトだった。
そこで出会ったアディという小学生? の相談に乗っている間に、由はとんでもない状態に引きずり込まれていく。
これは、知らない間に異世界の国家育成にかかわり、あげく異世界に召喚され、そこで様々な国家の問題に突っ込みたくない足を突っ込み、思いもよらぬ『好意』を得てしまった男の奮闘記である。
注:主人公は女の子が大好きです。それが苦手な方はバックしてください。
*ずいぶん前に、他サイトで公開していた作品の再掲載です。(当時のタイトル「よろず相談サイト」)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる