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ママも補給
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匂いにも気配も敏感な獣人だからか、遊び心もあり少し驚かそうと静かに背後から近付いていったのだがあっさりと見破られ捕まえられてしまった。
「俺を驚かそうと思うなんてしょうがないママだな」
「くやしい」
まだまだ訓練が必要なようだ。
エルがいれば確実に無駄な努力と言っていたことだろう。
「……にしてもどうした?子どもたちはもういいのか?」
帰ってきてからというもの縁に張り付いて離れない子どもたちにセインたちも仕方がないと見守ってくれていた。
「甘えん坊は済んだみたいです。なので今度はママがパパに甘えにきました」
それほどの日数を離れていたわけでも、1人だったわけでもないが、やはり大切な人たちが側にいないことが縁には少々堪えていた。
自分でそうしたいと思い行動してはいたが、心のどこかで疲れみたいなものがあったのだろう。
捕まえられたまま逞しい胸元に擦り寄れば、応えるようにそっと頭を撫でられた。
「なら存分に甘やかしてやらないとな」
大好きなセインの匂いを胸いっぱい吸い込む。
自分が帰る場所はやはり彼らの腕の中なのだ。
そのままセインの膝に乗せられ一緒にお茶にすることにした。
「繋はちゃんと練習頑張ってたみたいですね」
「俺はしてほしくなかったけどな。縁に頼まれてなきゃ止めてた」
どこか拗ねたようにそう言うセインは、まだまだ子離れは難しいらしい。
それでも縁が頼んだ通り練習に付き合って上げていたのだから頼りになるパパだ。
「ありがとうございます。でもね、パパの名前を書きたいと言い出したのは繋なんですよ。みんなのお名前も書きたいって。で、自分の次にパパとママを書いてくれました」
「……………そうか」
気のない返事をしながらもどこか嬉しそうなセインに笑ってしまう。
「繋はみんなに愛されてますね。私たち家族にもそうですけど、ジンさんやマーガレットさん、ランにガンズさん、アル爺に宰相様。最近はエリックや王女様にも。私たちの宝物はみんなに愛されてます」
「そう、だな。俺たちの自慢の娘だ」
必ずしも名前通り育つわけではないだろうが彼女は彼女なりに皆を惹きつけ元気に育ってくれた。
「繋がね、どうしてパパみたいな可愛い耳繋にはないの?って」
「可愛いか?」
流石に可愛いは複雑なようだ。
「愛依たちとの違いを教えるか迷いました。けど言わなかった。繋はママに似たんですって……」
何が正しいのか分からない。
誤魔化したわけではないが、それが全てというわけでもない。
人間だから、獣人だからとその言葉で決めるのが嫌だったのだ。
「いいんじゃないか?俺もこの前似たようなことを聞かれたが同じことを言ったからな」
繋の存在は何とも複雑だ。
確かに人間ではあるのだが、獣人であるセインの体質も多少受け継いでいる。
だからこそ普通なら人間なんだから仕方がないと諦めるだろうことも繋ならば出来るかもしれない。
教えて彼女の可能性を狭めるかもしれないと思うと躊躇いがあったのだ。
「きっとそこまで深く考えてるわけじゃないと思うぞ。単純にみんなと一緒がいいってだけだろ。もし本当に悩んでどうしようもないってなったらでもきっと遅くはない」
大丈夫だとポンポンと背を叩くセインの手が心地良い。
この手があるからまた頑張ろうと思えてくる。
嬉しくなり抱き付く腕に力に込めれば、小さな笑い声と共に頭にキスされた。
「頭だけ?」
「お望みならいくらでも」
ニヤリと笑ったかと思えば、次の瞬間唇を奪われ激しく舌を絡められた。
セインには少し珍しくもあったが、彼も会えなかった数日を少しは寂しく思っていてくれたのかもしれない。
唇越しに与えられる温もりが不安だった心を少しずつ優しく揉み解してくれる。
自分は欲張りだから、彼らが与えてくれる愛情より更に求めてしまう。
それから数分甘えてたが、段々と腰にあったはずのセインの手が怪しい動きを見せ始めたため止めることにした。
「…………子どもたちに見られたらどうするんですか」
「キスしておいて今更じゃないか?それに求めてきたのは縁からだろ?」
「ぐっ」
確かにきっかけはそうだったかもしれないが、縁としては軽いキスだけで済むと思っていたのだ。
「だって………私だって偶にはみんなに甘えたい」
縁だって人であり、時には誰かに甘やかして欲しいと思うことがある。
「はぁぁ。だからそう煽るな」
大きな溜め息と共にコツンと額を合わせられたが、今の何が彼が言う煽るなのかが分からない。
「………イヤ?」
もしや男の自分が甘えるなと怒っているのかと不安になり見上げればーー
「ああもう、くそっ!煽ったのは縁だからな。俺はちゃんと言ったぞ。止めてやろうと思ったのに……」
いきなり横抱きに抱え上げられたかと思うと急ぎ足で家へと運ばれるのであった。
その後数時間離してもらえなかったのは言うまでもない。
「俺を驚かそうと思うなんてしょうがないママだな」
「くやしい」
まだまだ訓練が必要なようだ。
エルがいれば確実に無駄な努力と言っていたことだろう。
「……にしてもどうした?子どもたちはもういいのか?」
帰ってきてからというもの縁に張り付いて離れない子どもたちにセインたちも仕方がないと見守ってくれていた。
「甘えん坊は済んだみたいです。なので今度はママがパパに甘えにきました」
それほどの日数を離れていたわけでも、1人だったわけでもないが、やはり大切な人たちが側にいないことが縁には少々堪えていた。
自分でそうしたいと思い行動してはいたが、心のどこかで疲れみたいなものがあったのだろう。
捕まえられたまま逞しい胸元に擦り寄れば、応えるようにそっと頭を撫でられた。
「なら存分に甘やかしてやらないとな」
大好きなセインの匂いを胸いっぱい吸い込む。
自分が帰る場所はやはり彼らの腕の中なのだ。
そのままセインの膝に乗せられ一緒にお茶にすることにした。
「繋はちゃんと練習頑張ってたみたいですね」
「俺はしてほしくなかったけどな。縁に頼まれてなきゃ止めてた」
どこか拗ねたようにそう言うセインは、まだまだ子離れは難しいらしい。
それでも縁が頼んだ通り練習に付き合って上げていたのだから頼りになるパパだ。
「ありがとうございます。でもね、パパの名前を書きたいと言い出したのは繋なんですよ。みんなのお名前も書きたいって。で、自分の次にパパとママを書いてくれました」
「……………そうか」
気のない返事をしながらもどこか嬉しそうなセインに笑ってしまう。
「繋はみんなに愛されてますね。私たち家族にもそうですけど、ジンさんやマーガレットさん、ランにガンズさん、アル爺に宰相様。最近はエリックや王女様にも。私たちの宝物はみんなに愛されてます」
「そう、だな。俺たちの自慢の娘だ」
必ずしも名前通り育つわけではないだろうが彼女は彼女なりに皆を惹きつけ元気に育ってくれた。
「繋がね、どうしてパパみたいな可愛い耳繋にはないの?って」
「可愛いか?」
流石に可愛いは複雑なようだ。
「愛依たちとの違いを教えるか迷いました。けど言わなかった。繋はママに似たんですって……」
何が正しいのか分からない。
誤魔化したわけではないが、それが全てというわけでもない。
人間だから、獣人だからとその言葉で決めるのが嫌だったのだ。
「いいんじゃないか?俺もこの前似たようなことを聞かれたが同じことを言ったからな」
繋の存在は何とも複雑だ。
確かに人間ではあるのだが、獣人であるセインの体質も多少受け継いでいる。
だからこそ普通なら人間なんだから仕方がないと諦めるだろうことも繋ならば出来るかもしれない。
教えて彼女の可能性を狭めるかもしれないと思うと躊躇いがあったのだ。
「きっとそこまで深く考えてるわけじゃないと思うぞ。単純にみんなと一緒がいいってだけだろ。もし本当に悩んでどうしようもないってなったらでもきっと遅くはない」
大丈夫だとポンポンと背を叩くセインの手が心地良い。
この手があるからまた頑張ろうと思えてくる。
嬉しくなり抱き付く腕に力に込めれば、小さな笑い声と共に頭にキスされた。
「頭だけ?」
「お望みならいくらでも」
ニヤリと笑ったかと思えば、次の瞬間唇を奪われ激しく舌を絡められた。
セインには少し珍しくもあったが、彼も会えなかった数日を少しは寂しく思っていてくれたのかもしれない。
唇越しに与えられる温もりが不安だった心を少しずつ優しく揉み解してくれる。
自分は欲張りだから、彼らが与えてくれる愛情より更に求めてしまう。
それから数分甘えてたが、段々と腰にあったはずのセインの手が怪しい動きを見せ始めたため止めることにした。
「…………子どもたちに見られたらどうするんですか」
「キスしておいて今更じゃないか?それに求めてきたのは縁からだろ?」
「ぐっ」
確かにきっかけはそうだったかもしれないが、縁としては軽いキスだけで済むと思っていたのだ。
「だって………私だって偶にはみんなに甘えたい」
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「はぁぁ。だからそう煽るな」
大きな溜め息と共にコツンと額を合わせられたが、今の何が彼が言う煽るなのかが分からない。
「………イヤ?」
もしや男の自分が甘えるなと怒っているのかと不安になり見上げればーー
「ああもう、くそっ!煽ったのは縁だからな。俺はちゃんと言ったぞ。止めてやろうと思ったのに……」
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その後数時間離してもらえなかったのは言うまでもない。
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