歌劇する大将

ながめ

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歌劇する大将

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「あああ!!!クソがぁ!!!」

 前略、馬鹿に巻き込まれた。
 こちとら散々に、深追いをするな、さっさと引け、専守防衛すべし、と進言したのだ。
 そこに馬鹿な老軍師が「いや、敵を追って壊滅させるべし!」と言い放ったのだ。で、若い、これまた阿呆な殿様はその譫言に乗ってノリノリで追って行ったのだ。

 で、現在。

 絶賛、敗走の真っ只中。
 流石にギリギリでは引き返せたものの、馬鹿の老軍師を始めとして味方に死人が多数出てしまった…まぁ、馬鹿一人が死んだのは不幸中の幸い。南無阿弥陀仏。
 しかしである。
 残念ながら、この作戦の参謀が死んだばっかりに責任の所在が分からなくなってしまった。そして、多数決その他もろもろの結果で殿が私になってしまった。
 おい?
 オレは反対したよな?
「まぁでも、そなたの先見に掛かれば何とかなるじゃろ」
 おい、誰かあの阿呆の殿様を黙らせろ!
 …と言うわけにも行かず、殿をさせて頂くことになりました…
  
 クソがぁ!!!!!!!
  
 何で、こっちが身を削ってやらなきゃならんのだ!!!
 他にやるべき人がいるだろ!!!
  
 …と、言いたいところなのだけれど、面子を見てもオレよりマシな人が居なさそうなのが実情。うーん、人に頼って下手に自分の兵を減らすよりも、自らの手で策を打った方が良さそう…
  
 良さそうなのだけれども!!!
  
 あー、ダメだ、埒が開かない。
 改めて、状況としては以下の通りである。
 まず、自陣の安全圏はここから7日で着く土塵である。ただ、7日と言うのは我が軍が万全を持って引き返した場合であり、敵の勢いづいた軍勢ではおそらく6日、ともすると5日で追いついてしまう可能性がある。
 最悪の場合を想定して5日で我が軍に追いつく場合、一つ手前の奴留で追いつくことになる。ここは開けた土地であり、正直逃げながら戦う分には全くと言って良いほど向いてない。軍も散り散りでロクな統制も取れておらず、士気もダダ下がりななか攻められたら、それこそお家存続の危機である。
 と言うわけで、奴留で追いつかれる前に何処かで時間稼ぎをしなければならない。
 現在居る通田を北として南の土塵までの間には東西に二つの山がある。
 まずは西。ここから凡そ2日くらいで着く場所に色波山がある。ここは小ぶりな山ではあるが迅速に手勢を迂回させて潜めるにはもってこいである。
 そして東、色波山よりは少し遠く3日ほど掛かるもののの、大きな仁保辺山があり、割と装備が大きくても充分隠せる。
 そこにそれぞれ手勢一千人のうち、色波山に三百人、仁保辺山に四百人、また急ぎ奴留に先発する二百人に分け、奴留で敵が追いついた場合、西の色波山からの部隊と東の仁保辺山からの部隊、そして奴留先発部隊の三方向から出向いた敵を叩いて一泡吹かそうという寸法である。
 ただし、問題は残りの一百をどうするかである。
 相手も馬鹿ではないので、色波山、仁保辺山には警戒するだろう。何なら、先発隊をそこに送っても不思議ではない。そこで、陽動部隊の一百人で色波山と仁保辺山の間、奴留から土塵へと直線で向かっていると思わせる部隊が必要になる。
 ただしこの陽動、問題となるのは、上手くいけばいったらで直線で土塵に向かってしまう結果、我が軍に追いついてしまい、さいあく本軍もろとも壊滅に陥る。しかし、手勢一百で虚しく抵抗しても時間は稼げても1日か、長くて2日。上手くいけば確かに奴留で敵軍を叩けるが、呆気なく早々に散れば全てが壊滅するみたいな博打だ。
 とはいえ、一千で真っ向から抵抗して全滅してまで殿様に報うなんぞ、めっぽう御免だ。オレは生きねばならぬ。そのためには勝つしかない。
 と言うわけで、他の部隊はそれぞれの山々と奴留へ既に出立させ、残るはオレが直々に統率する一百人のみである。
 しかし、一百人でどうしろと言うのだ…?
  
「…殿!」
 大声が自陣に響く。活きが良いのは自分の置かれている状況を理解できていないからだろうか。阿呆が羨ましい。
「なんじゃい!てか、いきなり入ってくんじゃねぇ!今、考えてる最中じゃ!もうしばらく待て!」
「いえ!すみません!ただ、行商のものが通りかかりまして!」
「行商…?」
「はい!正確には、舞踊団ですが…」
「こんな時にか…?」
 おかしい。ここが合戦の場であることはわかっているはずである。どんな命知らずがこんなところに来るのだ…?てか、どいつもこいつも呑気で羨ましくなってきた。はたまたオレが生き急いでいるのか…?
「…通せ!」
 と、口から咄嗟に出たのは呑気さへの憧れからだったのかもしれない。
  
「いやぁ、びっくりしましたぁ~。もう緊張感が凄くて~」
 中肉中背の呑気な初老が目の前にいる。
「いやはや!我々は村から村への祭りで舞踊を披露する旅団でございます。この辺りではそれなりにご贔屓にさせてもらっておりまして、今年もこの辺りの祭りへと出向かおうとしたところ、ご覧の通り捕まってしまい、このザマでございます。お金は特に持っていませんが全て投げ渡すゆえ、我ら一団のお命だけは!どうかご勘弁を」
 飄々としている。
 それでいて、命乞いの仕方は完璧である。
 正直なところ、コイツらの命を取るだけ時間の無駄なので、そのまま無視でも良いのだが、こちらはこちらで煮詰まってる最中である。何か有益な情報があればと探る。
「まぁ、命を取る気はない…が、間も無くこの地では戦が起こる。どちらにしろ命の保証は危ういだろうな」
「まぁ、そうでございますか~それは困りました~」
 なんとも気の抜ける会話だ。もう少し緊迫感が欲しいが、この国家騒乱の情勢不安定なご時世で村から村へと行き渡っているのであれば、多少の無茶をしてきたのかもしれない。それでいてこの余裕を出しているとすれば、寧ろ信頼すら置ける気がしてくる。
「因みに、オマエらはどこへ向かっていたのだ?」
「はい、尾羽でございます」
「尾羽?」
「はい、ここから南に進んだところに色波山と仁保辺山がありましょう。そこの間に小さな村ではございますが尾羽村と言うのがあるのでございます。この尾羽ですが、小さいながらも立派な神社がございまして、この時期には神社がある尾羽はもちろん、色波と仁保辺の人も集まり、大きな祭りが催されるのであります」
「そうなのか?」
「ええ。それで、その一興として我が舞踊団が呼ばれたのであります…が、この調子だと難しそうですかね…仕方ありませんが、我々が各村々には伝えますので何卒お見逃してくださいませ…」
「いや、少し待て。」
「はい?」
「その尾羽までは何日掛かる?」
「凡そ2日で有りましょうか?」
「祭りはいつからだ?」
「3日後でございます」
「…」
「どうされました?」
「いや、祭りは続行で大丈夫だ。我々の部隊が貴公らを守り、尾羽まで向かおう」
「そうでございますか」
「ただし、1日で尾羽までは向かう」
「はい?」
「大丈夫だ。馬などを用意し、貴公らの負担は極力減らす。そして、もう一つだけ条件がある」
「何でしょうか?」
「貴公らの舞踊に我々も参加する」
  
 …急いで、色波、仁保辺、奴留へと向かう部隊に伝令を送り、以下のことを伝える。
 「尾羽を経由して、色波、仁保辺の村の民たちとは話をつけ、山と村一帯を自由に使えるようにしておく。これで落武者狩りに合わず、安全に走行出来るはずだ。
 そして、尾羽で行われる祭りに陽動部隊は参加するが、残りの3部隊は参加せず、じっと敵が通り過ぎるのを待て。上手くいけばこちらからも伝令を送る。これで迎え打つ機会がズレることはなくなるはずだ。
 では、奴留にて。」
  
 尾羽の祭りの盛況っぷりは予想外のものであった。このような祭りがあれば、もっと知られて良いものの、山と山に挟まれた場所であったから、見つかりづらかったのだろう。一千には満たないが、多くの人々がごった返している。
「おおい!何を呑気にしている!今から軍隊が通る!この祭りを即刻やめて我が軍を通せ!」
 敵の軍隊が尾羽に追いついたのは我々が通田を経ってちょうど3日後のことであった。我々も知らないからと言って敵が知らないとは限らないのだけれど、この様子だと知らなかったようだ。
「いやぁ、どこへお向かいで…?」
「土塵だ!今し方、軍隊が通って行ったはずだ!あの軍隊に追いつかねばならぬ、こんなところで祭りなどしている場合ではない!」
「まぁまぁ、焦らないでください。その軍隊なら息も絶え絶えに大損害を負った様子で、ここを通っていきました…」
「そうなのか?」
「へぇ…大将首は獲れなかったものの、何人かの首はこのように取ってございます…とはいえ、我々は武士として取り立てられようと思わないので、鎧など金になるものを取っているだけでございますが…」
「ほほう…むむむ…!これは!この兜は確かに敵の殿の大将の物ではないか!おい!首は!首はどこだ!」
「ははぁ、そうでございましたか…!誠にすみませぬ…これがそんなたいそうなものと分からず…山に捨て置いてございます…」
「そうか…」
「おそらく、あの様子ですと土塵に着くのは3日と言ったところでしょう…しかも息も絶え絶え…ならば、貴方様方に置かれましてはここで休息して、万全の状態で向かうのはいかがでございましょう?」
「ふむ…確かに」
「そうと決まれば、宿を用意しましょう。なに、今宵は祭りでございますから民草は家には帰りませぬ。その家々を自由に使ってくださいませ…」
「そうか!ありがたい!」
「あ、なお宜しければですが、尾羽神社で戦勝祈願とはいかがございましょう?小さな社では御座いますが、ご利益はあると思いますが」
「ほう」
「また、宜しければ舞踊も素晴らしく御座いますので、是非ご覧あれ…」
  
 …と、会話が上手く進んだのか分からないが、敵の幹部が尾羽の社に来てオレを見ている。
 オレはと言うと、舞踊団に混じって舞っている最中である。
 煌々と火は焚かれているものの、顔が分かるほどではあるまい。無論、その危険性も承知の上だが、同時にオレも向こうの顔をしれると言うものだ。
 結局、陽動をかけた結果は上手く行き、色波、仁保辺両山に敵部隊は分散することなく真っ直ぐ尾羽へとやってきた。元の情報とも照らしつつ、仁保辺山頂の部隊からも観測報告が来てほぼ間違いないと言える。
 尾羽の社は仁保辺の麓にある。ここからは、敵の軍隊の様子がわかるようになっており、そこで休んでいる様子が手に取るようにわかる。
 しかし、夜襲を仕掛けないというのが結論であった。集結した敵の軍勢は三千とも見え、これではやはりどう考えても勝ち目はない。また、ここの民に迷惑をかける訳にも行かない。ならば、オレは堂々と舞うだけである。
  
「せっかくならば、殿が舞うのは如何でしょうか?」
「はい?」
 予定通り陽動を行い、そのまま一日で尾羽に着き、自らの手勢一百人をどのように尾羽の村に配置するのかを話していた最中、何がどう転んだのか、手勢の誰が舞台で舞うのかという話になっていた。
「なので、せっかくならば、殿が舞えば宜しいではないですか?」
 舞踊団の中肉中背が呑気に言う。
「何をおっしゃるのだ、それでは下手したら敵に見つかるではないか?」
「いやいや、鎧兜を見せれば、流石にそのようなことは思わんでしょう。寧ろ、下手に探されるよりも良いと思いますよ?ほら、木を隠すなら森の中と言うではありませんか?」
 と、これまた呑気な部下が言う。
「いや、オマエは馬鹿か?見つかったら、オマエもろとも終わりなんだぞ?」
「…しかし良い案かもしれませぬぞぉ~」
 と、この村の村長が口を開く。イヤな予感がする。あの、殿を決められた時と同じ展開だ。この場にいる4人のうち3人がオレを陥れようとしている。
「せっかくならば、戦勝祈願ということで、思い切って舞われては如何かな?なぁに、難しいことはない!」
「いや、流石に鍛錬を積んだ舞踊団の方々では流石に見劣りして、流石にバレてしまうでしょう…」
「いやいやいやいや!ウチの殿はこう見えても舞が上手いのでございます!時に!都からの好事家を唸らせるほどの腕前!」
「バカが!!!ここの舞踊と合うかどうかはわからぬであろうが!!!オマエはもう少し考えてから話せ!!!」
「えぇ~そういうことでしたか!そういうことでしたなら、我々舞踊団が殿に合わせるというのは如何でしょうか~?」
「おお!それは良いですな!」
「いやぁ、今年は一段と盛り上がるのぉ~」
 あーっという間に決まってしまった。
 何で、こんなに呑気な人たちは、こういうことを決めるのだけは早いのだろうか。もう少し身の安全とかを考えた方が良いのだ。てか、そういうことを考えてる人がいるお陰で生かされているのが分からないのだろうか?
「さ!そうと決まれば、稽古ですな!行きますぞ、殿!」
 と、中肉中背が調子よく言う。毒を食らわば皿までというが、本当にこんなことで良いのだろうか、オレの人生。

 見渡せば敵の大将がいる。ありがたいことに、すっかり祭りの雰囲気に飲み込まれてしまっており、刀も何も持っていないことがここから見える。御付きのヤツラも何も持っていない。呑気。
 無論、遠くから弓で狙われているかもしれないが、ここまで来たら恐れていても仕方が無かろう。思い切って、一歩、足を踏み出す。
 太鼓にしても、笛にしても、流石に洗練されていた。おそらくこの荒れ果てた時代により良い娯楽を届けるために鍛錬を重ねたのであろう。ならば、我々は一刻も早く、安寧の世を作るために急ぐべきだろう。そのためにはヤツラを倒さねばならぬ。次は、御家を立て直すか、下剋上か。今の国の体制では到底無理であろう。戦うべき敵と、味方を見極める必要も出てくる。誰かの傘下に入ることも必要だろう。人間五十年、考えると残り十数年。老いてもないが、若くもない。やるべき事をやろう。どうか、この命が果てる前に、万事が無事、生き残れますよう、よろしくお願い申し上げる。そして、重ね重ね、我らに勝利を。
  
 …その願いが通じたのかは分からないが、結果として奴留への作戦は成功、何ならば陽動部隊も後方から攻めることで四方向から攻められた敵は見事に壊滅してしまった。
 その後、その戦績でもって御家での格を上げたのだが、そんなことは関係なく主君への下剋上を果たし、お国を丸ごと頂いたのは僅か一年後のことである。
 更に、五年後には天下人へと下り、大名にも取り立てられ六十の年に大往生したという。
 このような経緯があるからか、今でも尾羽では祭りが盛大に行われる。戦勝祈願のお祭りなので、かの大戦の頃にも厚く祀られた。戦後に入るとやや下火にはなったものの、地方創生の大名義の下、祭りは未だに盛大に行われているという。
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