職業・種付けプレス士ですが、貴方の奥さん寝取っても大丈夫ですか?

黒瀬るい

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「えーと、……夫とは言いましたけど、俺と椿さんはちょっとだけ歳の差がありますから。だからこう、石井さんと……本当の旦那様と区別するためにも、夫って設定ではあるんですが、敬語のままでいさせてください」
「えと、それは、大丈夫なんですが……」
「ありがとうございます。――では椿さん。前々から思ってましたけど、椿さんって、とっても綺麗ですよね」
「えっ……」

 戸惑う彼女の頬をそっと撫でる。
 目が大きく見開かれ、それから、戸惑いを表すようにそっと伏せられた。

「椿さん、こっちを見てください」
「あっ、……いえ、そんな、……」
「……これはロールプレです。あくまでお手本なんです。だから他意はありません。……これは椿さんのことを思っての言葉なんです。だから、ほら、俺を見て? 椿さん」

 伏せられて、泳いでいた目が、ゆっくりとこちらに向いた。
 その目はもうしっとり濡れていた。拒絶の色は、ない。
 ――堕とせる、と。
 確信めいたものが胸の中に芽吹く。

「思えば貴方はずっと綺麗でした。結婚する前から、ずっと。俺は貴方の姿にずっと魅了されてるんです。口元のほくろ、健康的な足……、……貴方を見ていると、どうにも自分の欲求が抑えられなくなる」
「あ、あの……」
「……ロールプレイです。椿さんも、俺が夫だと思い込んで返事をしてもらえると助かるんですが……」
「……あ、……は、はい。すみません……」

 右手で頬をゆったり撫でながら、布団を掻き分けて椿さんの太ももに触れる。思わせぶりに撫でれば、椿さんの体が震える。唇が半開きになって、は、と浅く吐いた吐息がこれ以上なく色っぽかった。

「椿さん、可愛い」
「あ、……あ、貴方、に、そんなこと言われたのは初めて、ね……」
「……ごめんね。本当はずっとそう思ってたのに、恥ずかしくて言えなかったんです。ね、椿さん、キスしてもいいですか?」
「あ……」

 こちらを見ていた椿さんの視線が逸らされて、俺の背後を向こうとして――それを遮るように、唇を重ねた。

「どこ見てるんですか」

 ちょっとだけ唇を離して囁く。

「椿さん、こっちを見てくださいよ。貴方の夫は俺でしょう?」

 返事の前に唇を塞ぐ。
 目は瞑らず、じっと、椿さんの方を見ながら。
 椿さんの瞳には困惑が滲んでいる。けれど、やがてなにかに耐えられなくなったのか、俺の視線から逃げるように瞼を下ろした。

 太ももを撫でていた手も、彼女の頬に添える。
 キスから逃げられないように顔を固定してから、固く結ばれた唇を舌先でつっつく。

「……口、開けれませんか」
「……」
「……お話ししながらずっと思ってたんです。少しでも早く、椿さんとえっちなキスがしたいな、って」
「……っ……」
「椿さん、口、開けて。その可愛い舌、早く俺にくださいよ」

 恐る恐る、というふうに、椿さんが唇を震わせながらそっと口を薄く開いた。
 顔の角度を変えて舌を入れる。怯えるように固まる舌を絡め取れば、艶のある吐息が聞こえてきた。

 そういえば石井さん、キスもへったくそだったな。
 ベロベロやりゃ良いと思ってる。
 椿さん、すげ~嫌そうだった。
 キスなんてゆっくりでいいのに。特にこういうときのキス。これから抱きますよって教えるための最初の合図みたいなものなのに。

「……んっ……」

 俺の形を覚えこませるように、緩慢に、ゆっくりと、焦らず、舌を絡める。
 椿さんの舌は思いの外小さくて、絡めがいがあった。俺の舌に食べられそうだな、と馬鹿なことを思う。

「……どうですか、俺とのキス」
「ぁ……っ……」

 頬を上気させた椿さんは、もう上手く言葉を紡げないらしかった。可愛い。あの椿先輩の、こんなに蕩けた顔が見れるなんて。取っててよかった種付けプレス士。

「舌ってねぇ、すごく敏感なんですよ」

 どちらのものともつかない、唾液で濡れた唾さんの唇をなぞる。キスの続きを求めるみたいに小さく開かれた唇を割って、ずるりと、その舌を引き摺り出す。

「あ、ひ、ぁ……」
「上手く使えば指先と同じぐらい感覚を拾えるんです。まぁそれもそうですよね。ご飯を食べたら、熱い、冷たい、なめらから、ざらざらしてる……そういう、微細なものがわかる器官だ」

 真っ赤に熟れた舌。舌の真ん中を親指で撫でる。

「だから舌ってすごく敏感でえっちなものなんです。……だからね、舌で体を愛撫するのって、すごく興奮するんですよ」

 今俺は、手も舌も動かせない。だから視線だけを、椿さんの体に向ける。

「椿さんの体。舐めたらきっと馬鹿みたいに興奮すると思う」
「ぁ……」
「今ちょっと汗かいてますよね? その汗ごと、俺の舌で舐め取ってあげるんです」
「……ぁ、ゃ、……」
「……椿さんのおまんこ。俺の舌で舐めたらどうなると思います?」

 顔を上げて、べろ、と見せつけるように舌を出す。
 椿さんの瞳は俺に釘付けだった。真っ黒な瞳の中に、俺の舌が冴え冴えと反射している。

「だから椿さん。早く覚えてくださいね。俺の舌の形。これからこの舌が、自分の体中を這い回るんだ、って」

 ではもう一度キスを――といったところで。

「――もうやめてくれ!」

 邪魔をしたのは、他でもない石井さんだった。

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