愛、淡々と。

クライングフリーマン

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愛、淡々と。

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 愛、淡々と。
 先日、母の命のカウントダウンを主治医に言い渡されました。
「余命宣告」です。「2週間から1ヶ月」。
 主治医の先生は、私が冷静に受け止めている様子に驚いていました。
 決して冷静ではありません。
 実は、母の余命宣告は初めてじゃありません。2回目です。
 母は、「余命1週間」と、施設の訪問医師に言われました。
 点滴はしていても、高熱にうなされている母を見て、「やはり施設で看取る」のは無理がある。ダメ元で救急車を呼ぼう。
 救急病院では、「肺炎を起こしている。まずは点滴治療をします。」と担当医に言われ、「今宵今生の別れ」の為に親族に面会させました。
 母は回復し、1ヶ月後、救急病院から療養型病院に転院しました。それが、今の病院。
 食事を体が拒否し、衰えて行く。あの時と同じことが起りました。
 あの時は、おかゆを食べるのを本人が嫌がり、悪化していきました。
 今は、鼻チューブの液体制です。鼻チューブとは、鼻から栄養剤を送り込むことです。
 施設では、点滴までは用意出来ても、鼻チューブは用意出来ませんでした。
 だから、施設に戻らず病院生活になりました。
 約3年間、療養型病院で、まともな「くちのききかた」をしたのは、たった3回でした。
 その内の1回は、自分の状況を私からの説明で理解した後、「殺してくれ!」でした。
 今でも、そのシーンは回想します。
 私は「残酷なことをしてのではないか?私と母の道は『修羅の道』ではないのか?」と、
 何度も自問自答しました。時間は残酷です。後戻りはあり得ない話。
『杜子春』という作品を知っておられるだろうか?
 私は金持ちでもなく、「いい思いをした上に転落人生」になった訳でもなければ、『救い』を与えられる人間でもない。
 だが、あの『究極の選択』は、いつも目の前に現れる。
「親を見捨てる」なんて不可能なのである、私には。
「こころを落ち着かせる」為にも文章を書いてきたが、やはり「千々に乱れるこころ」は、なかなかコントロール出来ない。
 明日は、母の誕生日。98歳を乗り越えられるのだろうか?
 仏壇の父に対峙して問いかけても、答は返ってこない。
 葬儀を終えれば終わり。それは他人事の場合。父の時に学んだ。
 明日は、父の月命日。また、父に勇気を分けて貰おう。
 ―完―

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