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240.デプスの『本気』(前編)

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======== この物語はあくまでもフィクションです =========
============== 主な登場人物 ================
大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。
馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。
結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
青山(江南)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。
青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。
馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。
久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
原田正三警部・・・新宿風俗担当の潜入捜査官だったが、EITO出向。
永井哲朗巡査部長・・・警視庁サイバーセキュリティ班からEITO出向。
渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
高峰圭二・・・元警視庁巡査部長。みちるの義兄。警察を退職後、警備員をしている。
南原龍之介・・・伝子の高校のコーラス部の後輩。高校の国語教師だったが、今は妻の文子と学習塾を経営している。
依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。宅配便ヤマトネのドライバーだったが、今は、やすらぎほのかホテル支配人。
依田(小田)慶子・・・ホテル社長の姪。依田と結婚。やすらぎほのかホテル副支配人。
福本英二・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。大学は中退して演劇の道に進む。今は、建築事務所準社員。
福本(鈴木)祥子・・・福本が「かつていた」劇団の仲間。後に福本と結婚する。
松下宗一郎・・・福本の元劇団仲間。
服部源一郎・・・伝子の高校のコーラス部後輩。
服部(麻宮)コウ・・・服部と見合い結婚。
早乙女愛・・・元白バイ隊隊長。EITOに出向していたが,娘の轢き逃げ以降、退職していたが、EITOに就職。
市橋早苗・・・移民党総裁。内閣総理大臣。
麻生島太郎・・・移民党副総裁。副総理。
志田前総理・・・移民党前総理。
大泉元総理・・・移民党元総理。
野口元総理・・・政権交代時の違憲異種党総理。
姿元総理・・・移民党元総理。
池上葉子・・・池上病院院長。学の卓球部後輩彰の母親。彰は他界している。
河村善子・・・国賓館SP隊隊長。柔道が得意。
中津敬一警部・・・警視庁テロ対策室勤務。
中津健二・・・中津興信所所長。中津警部の弟。
高崎八郎所員・・・中津興信所所員。元世田谷区警邏課巡査。
泊哲夫所員・・・中津興信所所員。元警視庁巡査。元夏目リサーチ社員。
根津あき所員・・・中津興信所所員。元大田区少年課巡査。
利根川道明・・・TV欲目の社員コメンテーター。後にフリーのMCになる。EITO協力者。
田尾美緒子・・・白バイ隊隊長。巡査部長。EITOと協同作戦をとる。

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==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==
==EITOガーディアンズとは、EITOの後方支援部隊である。==========

午後8時。伝子のマンション。
高遠と伝子が筒井に送られて、帰宅すると、待っていたかのように、EITO用のPCが起動した。
ディスプレイには、斉藤理事官と草薙が緊張した面持ちで映っている。
「Base bookの投稿がありました。どうやら、ナチュラル・デプスは、『本気』を出したようです。これを見て下さい。リール動画です、アバターの。」

もう、お遊びは終わりだ。腹心の『枝』に裏切られた悲しみが、君たちに分かるかな?EITOの諸君。明後日は天皇誕生日、『天長節』と言う人もいるようだが、このワードは気に入らないね。我々が、皇室を認めないことは、言うまでもないことだ。一時休戦なんて言う訳ないよな。ばしょ?自分らで探せよ。明るいうちにな。待ってるぜ。

「理事官。江東区に『芭蕉記念会館』があります。そして、近くに『芭蕉庵史跡展望庭園』というのがあります。記念館別館です。近くの遊歩道は、映画やテレビの撮影によく使われます。詰まり、明後日午後1時。ここに来い、ということです。」高遠が、いきなり答を言った。
「大丈夫か?高遠君。いきなり決めつけて。」と、横から夏目警視正が言った。
「一昨年、行ったことがあるんです。今回、文字でなくて、アバターでしゃべっていましたよね。『ばしょ』ではなく『ばしょう』って発音してますよね。取り敢えず、立ち入り禁止にして下さい。」「了解した。」
画面は、すぐに消えた。
「ホントに大丈夫か?高遠。」と、筒井は言った。
「多分。」高遠は、目眩を起こして倒れた。
午後9時。池上家。
ストレッチャーで、高遠は目を覚ました。
「起きたか?ダーリン。」高遠のストレッチャーの横には、点滴が刺さっている。
「過労ね。高遠君。仕事が混んでたの?それとも、EITOにエーアイを使い過ぎた?」
「やだなあ、先生。僕は人間ですよ。」
「体の部品はね。丁度いい機会だわ。夜明けまで、親子水入らずでいなさい。おさむちゃんがママやパパの顔を忘れないようにね。朝、筒井君が迎えに来てくれるって。変な関係ね、貴方たち。筒井君、伝子さんの元カレなんでしょ?で、一緒にEITOで働いている。亭主公認で。あり得ないわよ、普通。」
池上院長は出て行った。
「私も仮眠を命じられたから、私は先生のベッドを借りる。学。さっき聞いたんだが、池上先生も若い頃は、コスプレに凝ったらしい。」と、伝子は言った。
「初耳だな。『人は見かけによらぬもの』って言うからね。そうだ。伝子。芭蕉庭園の方は陽動かも知れないよ。」と、高遠は心配そうに言った。
「譫言で、それ、言ってた。筒井が手を打ったよ。」「そうか。いい元カレだ。」
「変な夫だ。まあ、『手込め』にして正解だったとは思っているが。う、、うん。本心よ、あなた。愛してる。立派な子供を産めたわ。大事に育てましょ。」
伝子は、久しぶりの『おんなことば』を使った。
午前9時。総理私邸。
書斎に入ろうとした総理は,秘書官が、1人の女性を連れて来るのを見た。
「まあ。早乙女さん。」
午前9時。麻生島副総裁の家。
国賓館から来たSP隊の隊長と、麻生島は打ち合わせをしていた。
「じゃ、河村さん。敵はEITOと一戦を構えるのと別の部隊を繰り出す、と言うんですか?総理の方は?陛下が式典を辞退されたから、私も総理も出掛けないのですが。」
麻生島の言葉に、「総理の方は、EITOから警護に出たそうです。」と、河村は応えた。
「では、他の要人は?」「元総理だけですが、SP隊とSATとEITOで手分けして警護に当たります。」
「そうですか。では、ゆっくり読書でも楽しんでいましょう。」
午前9時。野口元総理の家。リビング。
「他の違憲異種党に元総理は、辞退されたようです。それで、市橋総理は、民間の警備会社から急遽警備員を派遣されました。」中津警部は、そう説明をした。
「移民党の元総理は?」「やはり、辞退されました。敵が予告した訳ではありませんからね。でも、EITOでは、今回が今の敵幹部との最終決戦と考えているようですね。」
「ナチュラル・デプスですか。確かに、Base bookの投稿には、我々の事には言及していないが。」「敵の最終目標は、我が国、いや、国民の分断です。分断して、弱体化したところを和平会議に見せかけた植民地にするんです。イーグル国みたいに。」
「成程。よろしくお願いします。」と、野口元総理は中津警部に深くお辞儀をした。
午前9時。野口元総理の家の外。
1台の車が止まっている。庭では、植え込みの中で、SAT隊員と高崎がその車を見張っている。
「動きませんね。やはり怪しいですね。」とSAT隊員は言った。
午前9時。志田元総理の家の外。
ヤマトネ運輸の車に、福本と松下が乗っている。
「ウチの車より目立たないかも。よく手配出来たね。」と松下が言い、「依田を忘れないでやってくれ。『日本の平和の為だ』って言って、元上司に頼み込んだらしい。この車は車検に出す予定の車、後ろの荷物はダミーだ。流石、ヤマトネ運輸だね。いきなり配達に行けないから、研修用のものが用意してあるんだ。」と、福本が応えた。
そうこう言っている内に、志田元総理の車が出て行き、後を追う車があったので、その車を福元達は、追った。
午前9時。姿元総理の家の外。
ある引っ越しセンターの車に、中津興信所の根津が服部夫妻と乗って見張っている。
歌手である、姿元総理の孫の車が入ってくる。服部はレコード会社を通じて、その孫とコンタクトを取った。
『レコード会社の人』という『体裁』で、服部はチャイムを押した。
午前9時。大泉元総理の家の外。
中津健二と泊は、利根川のスタッフ然として、門の外に立ち、チャイムを押した。
午前9時。国会議事堂周辺。
高峰圭二は、会社の仲間の警備員と共に『張り込み』に入った。
高峰の車を、白バイ警官がノックした。
「準備完了です。」「来ますかね?」という田尾隊長に、「万全を期す、が信条なんでしょう。何も無ければ笑って済ませればいい。」と、高峰は軽く言った。
「一本やられました。では、我々も待機します。」田尾は去って行った。
午後0時半。芭蕉庵史跡展望庭園。芭蕉翁の像の前。
「いつも、約束より早めのデータかな?」
エマージェンシーガールズの前に現れたのは、般若の面を被った男女だった。そして、50人の、拳銃を持ち、刀を腰にさしたビジネススーツの男女。やはり、般若の面を被っている。
「じゃあ、早めに片づけて、帰るとするか。」そう言った、なぎさは皆と共に散開した。
「ここは『雑魚』しか残っていないようだからね。」と、言って稲森は投げ縄と鞭で、拳銃を弾き跳ばした。
田坂、安藤、浜田は先端がグミ弾の矢を放った。大空と七尾が電動キックボードに乗って登場、拳銃をフリーズガンで次々と使用困難にして行った。フリーズガンとは、文字通り冷凍銃である。
集団の男女は抜刀した。エマージェンシーガールズはフリーズガンをバトルスティックに持ち替え、もう片でバトルロッドに持ち替える者と,バトルシールドに持ち替える者とに別れた。

―完―
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