大文字伝子が行く

クライングフリーマン

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341.【生きる】

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 大文字伝子(だいもんじでんこ)・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字[高遠]学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 橘なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。ロバートと婚約してから、姓を戻している。
 久保田[渡辺]あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 愛宕[白藤]みちる・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。あつこと警察学校同期。警視庁丸髷署からのEITO出向。警部補。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。『片づけ隊』班長をしている。
 橋爪警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。
 西部警部補・・・『片づけ隊』を手伝っている。

 斉藤長一朗理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目房之助警視正・・・EITO東京本部副司令官。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
 渡伸也一曹・・・空自からのEITO出向。GPSほか自衛隊のシステム担当。
 中島[増田]はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。見合いしたMAITOの中島と事実婚をしていたが結婚した。
 馬場[金森]和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 高木[日向]さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
 高崎[馬越]友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
 青山[江南]美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。
 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
 下條梅子巡査・・・元高島署勤務。警視庁から出向。
 高坂[飯星]満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。
 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。
 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。EITOガーディアンズ。
 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。EITOガーディアンズ。
 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。EITOガーディアンズ。
 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。EITOガーディアンズ。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁警部。警視庁テロ対策室からのEITO出向。EITOガーディアンズ。

 柊安江・・・元マラソンランナー、元やり投げ選手。

 藤井康子・・・伝子のマンションの仕切り隣の住人。モールに料理教室を出している。EITO準隊員。
 大文字綾子・・・伝子の母。介護士。
 谷圭吾・・・結城の恋人(故人)。
 谷美恵子・・・圭吾の母。

 =================================================
 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 午前9時。EITO東京本部。会議室。
「大文字君。結城君は、どうした?警視庁か?」
 理事官は、珍しく欠席の結城のことを尋ねた。
「七回忌です、理事官。」と夏目が言い、「EITOに参加する前、殉職された恋人がいたんです。陸自に入っていたんですが、同僚の銃の手入れの最中に暴発で。」と、あつこが補足した。
「結城にも、幸せになった貰わないとな。原田、誰かいい人いないか?」と筒井が言った。
「俺に聞かないで下さいよ、先輩。」と原田が言うと、「原田は同僚に冷たいんだな。ようし、態度を変えよう。」と、伝子が言った。
 みちるや江南が笑いを堪えている。みちるは、唇を噛んでまで我慢している。
「とにかく、パラ・リヴァイアサンからまた連絡が途絶えた。急変が無い限り、午前中は訓練、午後は自由行動。それで、いいですね、理事官?それでいい?おねえさま。」
 なぎさが言うと、みちるが真似をした。『それで、いいですね、理事官?それでいい?おねえさま。』なぎさっち、相変わらず、露骨に態度が違う。」
「喧嘩売ってんのか?みちる。『下のいもうと』の癖に。」
「それで、いいよ、副隊長。賑やかになったな、夏目君。」と理事官は苦笑いした。
「まあ・・・そうですね。」
 柊がきょとんといるので、金森が『通訳』をした。
 午後1時。伝子のマンション。
 なぎさと金森と柊が来ている。
 3人とも食欲が旺盛だ。
「晩飯の分が無くなったな。藤井さんに何か頼もう。」高遠が呟いた。
「呼んだ?」と、玄関に藤井が立っていた。
「今日の教室は、久しぶりに、お好み焼き。どうせ余るから、持って帰るわ。」
 そう言って、出て行った。
 藤井は、生徒の『お土産』を調整するに違い無い。
「ねえ、おねえさま。」「挑戦状、暫く来ないな。那珂国で何かあるのかもしれないな。」
「そうでなくて、みちるの態度、デカくない?」
「デカくなったのは、オッパイだけじゃないか。子供産んだし。そう言えば、そこで、あかりとグルグル回ってたな。」と、伝子は、なぎさの言葉をはぐらかした。
「んもう。はぐらかさないでよ。新人もいるから、みちるには少し自重して欲しいんだけど。」
 なぎさの言葉に、金森は「先輩。心配ないと思いますよ。柊も慣れて来たみたいだし。」と言った。
 当の柊は、「社風だって、言われました。あつこ副隊長にも金森さんにも。それから、隊長にも。普段、闘いや訓練で気を張っていますから。師範も同じようなことを言われました。『貼りすぎた糸は切れやすい』って。」と返した。
「柊さん、それ、『強く張りすぎた弓の弦は切れやすい』ですよね。」と高遠が注意した。
 午後3時。谷家。七回忌法要。
 僧侶が帰って行く。
「たまきさん。もう来なくていいのよ。遺言通りね。もうお仕舞い。結納も交わしていなかったし、子供も授かっていなかったんでしょ。縁は切れてるのよ。迷惑だから、もうウチの敷居を跨がないで。」
 きつい言葉と裏腹に、美恵子は、溢れ出る涙を抑えることが出来なかった。
 いつしか2人は抱き合って泣いていた。
 暫くして、久保田管理官が、結城の肩に手を置いた。
 玄関を出る時、美恵子はひれ伏していた。親族の者は、戸惑いながら声をかけていた。
 午後3時半。久保田の自動車。
 久保田誠警部補が運転している。
 結城が、あの唄を歌い出した。
 助手席の渡辺副総監が唱和し、久保田嘉三管理官も唱和した。

 ♫いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
 朱(あか)き唇 褪(あ)せぬ間に
 熱き血潮の 冷えぬ間に
 明日の月日は ないものを♫

 それは、結城の、かつての恋人、谷圭吾一尉が好きな歌だった。
 祖父から教わった、と言っていた。
 結城も好きになった歌だった。

 通夜の時、1人口ずさんでいると、美恵子も唱和してくれた。
 あの、心にもない、きつい言葉は、結城を『再出発』させる為だった。久保田も副総監も心中で泣いていた。
 故人は、陸自の人間だった。だが、結城は警察官として部下だから理解出来た。

 ♫いのち短し 恋せよ少女
 いざ手をとりて 彼(か)の舟に
 いざ燃ゆる頬を 君が頬に
 ここには誰れも 来ぬものを♫

 EITO出向を決めたのも、副総監と管理官だった。
『大文字伝子の指導力』を信じて。
「結城さん、ウチに寄って行く?あつこに連絡したら、徹夜で特訓してやる、業務命令だって言ってた。」
 運転しながら、久保田警備補は言った。勿論、事前に打ち合せ済みだ。

「業務命令に逆らっちゃいかんな。」と、副総監はニヤリと笑った。

「了解しました。」と、結城は下を向いて言った。

 いのち短し 恋せよ少女
 波に漂(ただよ)う 舟の様(よ)に
 君が柔手(やわて)を 我が肩に
 ここには人目も 無いものを

 いのち短し 恋せよ少女
 黒髪の色 褪せぬ間に
 心のほのお 消えぬ間に
 今日はふたたび 来ぬものを

 午後5時。久保田家。
 副総監は、新里の自動車で帰って行った。
 早い晩餐が始まった。
 午後6時。
 特訓と言っておきながら、健太郎の世話で忙しい、あつこは結城を客室に1人残した。
 目をつぶった結城は、暫く泣いていたが、自然と眠りに入った。

 午後7時。伝子のマンション。
 柊は金森が送って帰った。
 あつこからのメールを、なぎさと伝子が夕食を採りながら声に出して読んでいる。
 高遠は、お好み焼きをじっくり食べながら聞いている。

 今度こそ、と山村編集長は『釣書』を届けてくれた。
 まだ、見ていないが、きっとイケメンだ。
 編集長は顔も広いし、『人を見る目』も肥えている。
 物部の店のウェイター辰巳も、山村が見いだしたのだ。
 きっと、上手くいくさ、と、おさむの写った写真立てを横目で見る高遠だった。

 ―完―

 いのち短し 恋せよ少女(おとめ)
 朱(あか)き唇 褪(あ)せぬ間に
 熱き血潮の 冷えぬ間に
 明日の月日は ないものを

 いのち短し 恋せよ少女
 いざ手をとりて 彼(か)の舟に
 いざ燃ゆる頬を 君が頬に
 ここには誰れも 来ぬものを

 いのち短し 恋せよ少女
 波に漂(ただよ)う 舟の様(よ)に
 君が柔手(やわて)を 我が肩に
 ここには人目も 無いものを

 いのち短し 恋せよ少女
 黒髪の色 褪せぬ間に
 心のほのお 消えぬ間に
 今日はふたたび 来ぬものを

【ゴンドラの唄】
 吉井勇作詞・中山晋平作曲
 楽曲コード(作品コード)031-0512-1(JASRAC)

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