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140.【反転(inversion)】
======== この物語はあくまでもフィクションです =========
ここは『転の国』。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。俺のことを仲間は、仮の名の「五十嵐」と呼ぶことが多い。
俺には聞こえる。殺してくれ、と。
どこの次元でも聞こえている。
跳んで来たのは・・・どこかの公会堂か。
暗い。誰かの講演中だ。
「五十嵐。こっちだ。」
心の声。所謂テレパシーで呼んだのは、ナオだった。
ナオの隣の席に座ると、いきなり股間を握られた。
「おい。大勢、人がいるんだぞ。」
「皆、前を向いている。講演はあと20分だ。」
講演が終ると、2人で外に出て歩き出した。
「今の講演、どう思う?」
「随分、新宗理の悪口を言っていたな。」
「あの有名人は、2日前まで、新総理深町郁夫を応援していたんだ。」
「喧嘩でもしたのか?」
「違う。」公園に着いて、ゴミ箱の中から、綺麗なままの新聞紙を拾い、ナオは俺に記事を見せた。
今の人物とは違うが、急に反深町派になった、と書いてある。
「まさか。」
「その通りだ、五十嵐。今夜たっぷり可愛がってやる。」
俺のオンナ、は皆男のような口をきき、『オトコ妾』のような扱いをする。局長の影響か?
「そうだ。お前は私達の性奴隷だ。ところで、何故『心変わり』というか、掌返しをしたのか?気になるだろう。」
「あ・・・ああ、勿論だ。分かったのか、ナオ。」
「一週間前。『往砂(おうさ)』が降った。隣国から、偏西風に乗って不定期にやってくる自然現象、だ。」
「それが何故?」「ビールスも元々自然現象だけ、と言われて来た。だが、人工物を作って、ばら撒かれた。」
「新種のビールスなのか?あ、それが往砂に混じって?」
「ナノプログラムでも無い限り、人間のロボット化は、無理だ。少なくとも、この時間軸ではな。だが、従順になりやすい物質のビールスなら作れる。他の次元では、流行病がなかなか収束しなかった・・・と思わされていた。だが、金の魅力に逆らえなかった者達の暗躍で、経済が混乱したまま、立ち直るのに時間がかかった。その応用編、という訳だ。」
「暗示にかかり易い状態なら、催眠術にかかり易い人間がいる、という訳か。何か共通するイベントは?彼らが一堂に会したような?」
「新政権、発足してパレードが開かれた。元々の支持派が集まるのは当然だ。」
「よし、跳ぼう、その2人だけでいい。近くの人物に注意しよう。」
一週間前。刻会議事堂前から国民タワー前まで、パレードが行われた。
聴衆の前の方に、2人の人物がいた。そして、背後に異民族がいた。
往砂が降った。10分ほどで止んだ。と言うか、他の地域に飛んで行った。
パレードが終って、新宗理は、党の事務所に帰って来た。
アルバイトで手伝いに来ていた学生の一人が言った。
「満員でしたね。僕は留学生です。感激しました。観劇ならキョウゲキですね。」
笑顔で話したので、皆、聞き逃した。不自然さを。
5日後。隣国に渡って就任の挨拶をした深町。
だが、挨拶をし、会談を済ませた深町宗理が記者会見に臨んだ時、隣国の主席は、突然声が出なくなった。
急いで退席し、政府からの発表で、突然インフルエンザの症状が出た、と発表された。
2日後。深町派のインフルエンサー達は、相変わらず、深町を讃えた。
インフルエンザ流行の兆しはまだ見えなかった。
翌日。ナオは消えた。
俺は、一時的に『性奴隷』から開放された。
敵は、インフルエンサー達を利用し、『深町下ろし』をして、隣国の優位を盛り返そうとしたが、失敗した。
深町新宗理の支持率は99%になった。
俺の名は、加賀見進。別名「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。
敵と直接対峙しなくても、『工作』を未然に防げることもあるのだ。
隣国主席は、公然と『悪魔のキーワード』を言えなくなった。
本人も、何故か分からなかっただろう。キーワードも知らなかったに違い無い。
さ、腕時計が光り出した。
跳ぶぞ。
―完―
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