中年探偵幸田の日記

クライングフリーマン

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96.特殊詐欺現行犯

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 ○月〇日。
「警察官にキャッシュカードを回収する権利も義務もありませんで。」
「な、なんや、お前ら。」
「わし、元警察官。」
「わしも、元警察官。」
 俺と倉持は、当然のように黙っていた。
 駅から少し離れた無人ATMにやつらはいた。
 通報してきたのは、実は、辻先輩の常連さんだ。
 出金した後、入って行った若者2人の挙動がどうも怪しい。
 それで、俺とは旧知の仲なので連絡してきた。
 彼が、そのまま110番すると逃げられる恐れがあった。
 俺と倉持は、それとなく隠しマイクで録音しながら見張っていた。
 10分後。横ヤンと花ヤンが応援に来た。
 警察官役の若者が「警察官」を名乗った時点で、花ヤン横ヤンは2人を取り押さえた。
 俺と倉持は、素早く自分の荷物を片づけ、DDバッジを押した。
 このDDバッジは、EITOが開発したもので、元は陸自が使用していた陸自バッジだ。
 初めは、EITO東京本部に協力する大文字伝子の個人的なグループが危険な目に遭うことがあった為、改良され、所持しているだけでGPS情報がEITOに伝わり、押すと、何らかの「合図」を送ることが出来る。
 EITO大阪支部にも必要だ、と大前さんが申請し、EITO大阪支部にも南部興信所にも配られた。
 予め、踏み込む時は合図します、と俺が連絡していたので、すぐに警官隊が駆けつけた。
 特殊詐欺とは言え、「詐欺」だ。「現行犯」が一番の決め手だ。
 若者は、何か喚いていたが、途中から日本語で無くなった。
 警察官の1人が「自動翻訳機」を出して翻訳させた。
 すぐに、自動翻訳機は機械的に、かつ流暢な日本語で発声した。
「俺は外国人だ。外国人を逮捕する権利がお前らにあるのか?」
 一緒に来た刑事が英語で言った。
 “Of course, we are police officers.”
「ご協力感謝します。二課の忍川(おしかわ)です。お久しぶりです、横山先輩。」
「発音、上手なったやないか、おしかわ。後は頼んだで。」
 忍川は、俺達4人に敬礼をして、去って行った。
 帰り際、横ヤンは話してくれた。
「最初はネクラでな。相棒組んでた時は途方に暮れてた。でも、ある事件をキッカケに立ち直った。人間変わるもんやな。しかし、便利なモン出来たナア。」
 恐らく自動翻訳機の事だろう。
「EITO大阪支部に出向中の神代警視のお陰ですわ。京都では、皆警察官は携行してるらしいです。」
 誰から誘うこともなく、俺達は、澄子の店に直行した。途中で、辻先輩と先輩のお馴染みさんにも報告しておいた。
 横ヤンは、勿体ぶっていたが、やがて、忍川刑事との話をし始めた。
 ―完―


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