96 / 111
96.特殊詐欺現行犯
しおりを挟む
○月〇日。
「警察官にキャッシュカードを回収する権利も義務もありませんで。」
「な、なんや、お前ら。」
「わし、元警察官。」
「わしも、元警察官。」
俺と倉持は、当然のように黙っていた。
駅から少し離れた無人ATMにやつらはいた。
通報してきたのは、実は、辻先輩の常連さんだ。
出金した後、入って行った若者2人の挙動がどうも怪しい。
それで、俺とは旧知の仲なので連絡してきた。
彼が、そのまま110番すると逃げられる恐れがあった。
俺と倉持は、それとなく隠しマイクで録音しながら見張っていた。
10分後。横ヤンと花ヤンが応援に来た。
警察官役の若者が「警察官」を名乗った時点で、花ヤン横ヤンは2人を取り押さえた。
俺と倉持は、素早く自分の荷物を片づけ、DDバッジを押した。
このDDバッジは、EITOが開発したもので、元は陸自が使用していた陸自バッジだ。
初めは、EITO東京本部に協力する大文字伝子の個人的なグループが危険な目に遭うことがあった為、改良され、所持しているだけでGPS情報がEITOに伝わり、押すと、何らかの「合図」を送ることが出来る。
EITO大阪支部にも必要だ、と大前さんが申請し、EITO大阪支部にも南部興信所にも配られた。
予め、踏み込む時は合図します、と俺が連絡していたので、すぐに警官隊が駆けつけた。
特殊詐欺とは言え、「詐欺」だ。「現行犯」が一番の決め手だ。
若者は、何か喚いていたが、途中から日本語で無くなった。
警察官の1人が「自動翻訳機」を出して翻訳させた。
すぐに、自動翻訳機は機械的に、かつ流暢な日本語で発声した。
「俺は外国人だ。外国人を逮捕する権利がお前らにあるのか?」
一緒に来た刑事が英語で言った。
“Of course, we are police officers.”
「ご協力感謝します。二課の忍川(おしかわ)です。お久しぶりです、横山先輩。」
「発音、上手なったやないか、おしかわ。後は頼んだで。」
忍川は、俺達4人に敬礼をして、去って行った。
帰り際、横ヤンは話してくれた。
「最初はネクラでな。相棒組んでた時は途方に暮れてた。でも、ある事件をキッカケに立ち直った。人間変わるもんやな。しかし、便利なモン出来たナア。」
恐らく自動翻訳機の事だろう。
「EITO大阪支部に出向中の神代警視のお陰ですわ。京都では、皆警察官は携行してるらしいです。」
誰から誘うこともなく、俺達は、澄子の店に直行した。途中で、辻先輩と先輩のお馴染みさんにも報告しておいた。
横ヤンは、勿体ぶっていたが、やがて、忍川刑事との話をし始めた。
―完―
「警察官にキャッシュカードを回収する権利も義務もありませんで。」
「な、なんや、お前ら。」
「わし、元警察官。」
「わしも、元警察官。」
俺と倉持は、当然のように黙っていた。
駅から少し離れた無人ATMにやつらはいた。
通報してきたのは、実は、辻先輩の常連さんだ。
出金した後、入って行った若者2人の挙動がどうも怪しい。
それで、俺とは旧知の仲なので連絡してきた。
彼が、そのまま110番すると逃げられる恐れがあった。
俺と倉持は、それとなく隠しマイクで録音しながら見張っていた。
10分後。横ヤンと花ヤンが応援に来た。
警察官役の若者が「警察官」を名乗った時点で、花ヤン横ヤンは2人を取り押さえた。
俺と倉持は、素早く自分の荷物を片づけ、DDバッジを押した。
このDDバッジは、EITOが開発したもので、元は陸自が使用していた陸自バッジだ。
初めは、EITO東京本部に協力する大文字伝子の個人的なグループが危険な目に遭うことがあった為、改良され、所持しているだけでGPS情報がEITOに伝わり、押すと、何らかの「合図」を送ることが出来る。
EITO大阪支部にも必要だ、と大前さんが申請し、EITO大阪支部にも南部興信所にも配られた。
予め、踏み込む時は合図します、と俺が連絡していたので、すぐに警官隊が駆けつけた。
特殊詐欺とは言え、「詐欺」だ。「現行犯」が一番の決め手だ。
若者は、何か喚いていたが、途中から日本語で無くなった。
警察官の1人が「自動翻訳機」を出して翻訳させた。
すぐに、自動翻訳機は機械的に、かつ流暢な日本語で発声した。
「俺は外国人だ。外国人を逮捕する権利がお前らにあるのか?」
一緒に来た刑事が英語で言った。
“Of course, we are police officers.”
「ご協力感謝します。二課の忍川(おしかわ)です。お久しぶりです、横山先輩。」
「発音、上手なったやないか、おしかわ。後は頼んだで。」
忍川は、俺達4人に敬礼をして、去って行った。
帰り際、横ヤンは話してくれた。
「最初はネクラでな。相棒組んでた時は途方に暮れてた。でも、ある事件をキッカケに立ち直った。人間変わるもんやな。しかし、便利なモン出来たナア。」
恐らく自動翻訳機の事だろう。
「EITO大阪支部に出向中の神代警視のお陰ですわ。京都では、皆警察官は携行してるらしいです。」
誰から誘うこともなく、俺達は、澄子の店に直行した。途中で、辻先輩と先輩のお馴染みさんにも報告しておいた。
横ヤンは、勿体ぶっていたが、やがて、忍川刑事との話をし始めた。
―完―
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末
松風勇水(松 勇)
歴史・時代
旧題:剣客居酒屋 草間の陰
第9回歴史・時代小説大賞「読めばお腹がすく江戸グルメ賞」受賞作。
本作は『剣客居酒屋 草間の陰』から『剣客居酒屋草間 江戸本所料理人始末』と改題いたしました。
2025年11月28書籍刊行。
なお、レンタル部分は修正した書籍と同様のものとなっておりますが、一部の描写が割愛されたため、後続の話とは繋がりが悪くなっております。ご了承ください。
酒と肴と剣と闇
江戸情緒を添えて
江戸は本所にある居酒屋『草間』。
美味い肴が食えるということで有名なこの店の主人は、絶世の色男にして、無双の剣客でもある。
自分のことをほとんど話さないこの男、冬吉には実は隠された壮絶な過去があった。
多くの江戸の人々と関わり、その舌を満足させながら、剣の腕でも人々を救う。
その慌し日々の中で、己の過去と江戸の闇に巣食う者たちとの浅からぬ因縁に気付いていく。
店の奉公人や常連客と共に江戸を救う、包丁人にして剣客、冬吉の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる