乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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何やら秘密があるそうです。

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……着かない。



「すみません! 多分この辺だったと思うんですけど……あっちかな?」



「いや、そっちはさっき通ったでしょ! まだ行ってないとしたらあっちの方向じゃないかな」



 よく迷子になると言ってた通り、見事に迷子になりました。ここ神殿から歩いて10分もかからないんだけど。そしてなぜか私が道を探す羽目になっている。

 元来た道を戻ろうとするララさんを呼び戻し、まだ見てない道を進んでいく。



「う――ん、こっちも違うか。林しかない。今日は諦めて神殿に帰ろっか」



「いえ! あれです! あそこでした! さすがユリさん!」



 そうララさんが指さしたのは一見ただの雑木林に見えるのだが、本人曰くそこに建物が隠されているらしい。なぜ隠しているのかと怪しく思いつつ、言われた通り近づくと確かに建物があった。

 建物の周りを木々で囲われており、本当にその存在を隠しているかのよう。そして木々の隙間から見えるその倉庫の屋根には大きなパネルのようなものが載っていた。



 前の世界で見覚えのある黒い板が屋根についている。やっぱりあれは太陽光パネル……?

 しかしそんなことがあるだろうか。この世界で科学は発展していないはず。正確には、以前の落界人が科学を発展させた結果、魔力が澱みムーンの力が弱まって魔王が誕生してしまった。その時に科学で発展した物は全て破棄し、スキルでの魔力中心の世界に戻ったはずなのだ。残っている物は、私が作ったような魔力を通さないと動かないようなものだけのはずだから、電力を必要としないはず。それなのに何故発電用のパネルがあるの?



 さらに建物に近づいていくと、見知った人影が建物に入っていくのが見える。あれは神殿の雑用をしていた人なはず。

 彼にバレないように2人でそっと近づき様子を探る。倉庫には換気口のようなものが建物の上の方についているが、窓はなく外から中の様子を探るのは難しそうだ。



 「ララさん、大丈夫って言ってたのに何でこそこそ探っているのかな?」



 「ほら、こうやってると推理小説の探偵みたいじゃありません? 潜入調査みたいなのに憧れてたんですよ」



 あれだけ自信満々にしていたのに、ここまで来ると急にコソコソと辺りを探り始めたララさんを訝しんだのだが、予想外な回答に脱力する。



 「あっでもちゃんとした理由もあって、ミラー様達が居る間はここに近づかないようにって神官長から言われていたのをさっき思い出したんです。なのでバレたらまずいかなと思って」



 「もっと早く思い出して欲しかったなそれ」



 そうはいってもここまで来たからには何か収穫が欲しい。そう思って中の状況を見ようと試行錯誤するのだがなかなか上手くいかない。倉庫の中を私のスキルを使って透視しようとしたのだが、この倉庫が魔力を弾く素材で出来ているそうで、私のチートスキルも役に立たなかった。

 ララさんによると、低スキルの人達が神官長から仕事をもらい、ここで作業しているとのことだが、なぜその建物に魔力を弾く素材が使われているのか。ララさんに聞いても分からないという。



 「私も詳しくは聞いてないんです。中の様子は見たことあるので、それをユリさんに見せられれば良いんですけど……」



 「う――ん、頭の中をみることはさすがの私でも無理……いや、出来るかも知れない!」



 私はいつも持ち歩いている4次元バックから鏡を取り出す。鏡はもはや必需品になってきている。なにせ何でも映してくれるからね。



 「鏡さん、ララさんが見た建物の中の様子を映して」



 そう私が鏡に問いかけると、鏡の中が水を打ったかのように揺れて、いくつかの場面が映し出される。



 「これは工場? 遺跡?」



 映し出されたのは、建物の中の地下を降りていくと、作業服を着た人がシャベルを持って穴を掘っている様子、そしてその穴から出てきたものが壊れないように特殊なケースに入れられたパソコンやプリンター、洗濯機などさまざまな機械だった。

 それとは別の作業場では、その発掘された機械類をスキルを使って綺麗にしている人、壊れた部分を治している人等、各々作業している様子が映し出されている。



 「すごい! 私が見たの、そのまま映ってます! 神官長は神殿の地下にあった古い遺跡を発掘して、それを低スキルを活かせていない人たちに作業を振り分けて仕事を与えてくれているんです! 昔の遺品を直して使えるように出来ちゃってるんです! この機械すごいのばかりなんですよ! なんでこんなにすごいものがあったのに、今の時代にはなくなっちゃったんですかね? ね!神官長はすごいし良い人でしょう? この遺跡の場所を探し出したのも神官長なんですよ」



 ララさんが興奮気味に話しているが私の耳には彼女の言葉が一切入ってこない。一気に血の気が引いていくのを感じる。

 なぜ神殿地下に古い遺跡があったのか。その遺跡から機械類が発掘されて、それを修理して使えるようにしているってことだよね。あの本には何て書いてあった? 科学が発展して魔王が誕生したから、それらの文明に関するもの破棄されたんじゃなかったの? 神官長の目的は何? そのことを知っていてわざと遺跡を掘り起こしたの……?



 「ユリさん……?」



 「もしかしてあの図書館のバーコード……」



 「そうです! それもあの遺跡から発掘されて神官長が使えるように整えたんです」



 何で違和感を感じた時に早く気づかなかったのか! この世界の文明の発展具合であの機械が使われていることに違和感を感じたのに。前の世界では当たり前に使われていたものだからそのままスルーしてしまった。

 これは一刻も早くミラー様達に伝えないといけないと思い無線機を使おうとするとちょうど誰かからの通信が入った。



 「はい、ユ……」



 「おい! お前いまどこにいるんだ」



 「どこってララさんと一緒に神殿の近くに居るけど」



 通話の相手はユーリだった。普段から乱暴な口調なユーリだが、それにしても焦っていたような様子に悪い予感がする。



 「今すぐ俺んとこ転移してこい! ララも連れて!」



 「きゅ、急にどうしたの? 何があったの」



 「いいから今すぐだ!」



 そう言ったら通話が切れてしまった。とにかく緊急事態が起きているようだ。



 「どうかしたんですか?」



 「ララさん来て!」



 今は言われたとおりにした方がいい。そう思いララさんの手を引くと、ユーリの剣をイメージしてその場所に転移をしようとするが、焦ってしまい上手く転移が発動しない。



 「大丈夫、大丈夫ですよ」



 すっと私の手を胸に引き寄せ、目を瞑りまるで祈るかのように大丈夫だと唱えてくれる。頼りなさそうな年下の女の子だったのが、急激に頼りあるお姉さんになったように感じた。そしてその声を聴くと不思議と安心することが出来た。



 「ありがとう。みんなのところに行くから」



 今度は落ち着いてユーリの剣を思い浮かべることが出来、転移が出来たのを確認して目を開けると、ユーリだけでなくみんなが神殿の祈りの間に集合していた。



 「うそ……なんで」



 「ララさんどうした――」



 ララさんのか細い声を聞き彼女の方を見ると、そこにあったはずのものがなくなっていた。

 祈りの間の中央にある台座、そこにあったはずの魔石がなくなっていたのだ。
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