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第十話:愛する者を守るために
翌朝、王都の貴族サロンにて。
上位貴族たちが集められた場で、アデルは堂々と壇上に立っていた。
「本日は、大切な報告があり、この場を設けさせていただきました」
その声に、会場が静まり返る。
そして、アデルは傍にいた私──リディア・セルヴァンの手を取る。
「私、アデル・クロードは──この度、リディア・セルヴァン嬢との正式な婚約を決定いたしました」
ざわめきが広がる。
一部の貴族たちは目を見開き、驚きに言葉を失った。
「なっ……正式な婚約者は、ロゼリア・バルジェ嬢のはずでは……?」
と、誰かが声を上げる。
その瞬間、アデルは冷たく、それでいてはっきりと告げた。
「ロゼリア・バルジェ嬢とは、私の“記憶喪失を利用した虚偽の婚約”であり、正式な書類は一切存在しない。
加えて、バルジェ侯爵家が私の記憶を魔術的手段で改ざんした証拠が、ここにある」
彼は懐から文書を取り出し、会場に配らせる。
ざっと目を通した貴族たちが、一斉に顔色を変えた。
「記憶干渉なんて……! 王族や貴族への重大犯罪だぞ……!」
「バルジェ家は……終わりか……」
そして──その場に現れた、ロゼリア・バルジェ本人。
完璧だったはずの化粧の下、蒼ざめた顔で、彼女はアデルを見つめた。
「まさか……本当に、リディアを……?」
アデルは彼女を一瞥した。
「君は、僕の“記憶を消せば、心も奪える”と思ったのかもしれない。
でも、君は知らなかった。“心”は記憶ではなく、“魂”に刻まれてるということを」
「……っ……!」
ロゼリアはその場に崩れ落ちた。
誰も助けなかった。
ロゼリアの父──バルジェ侯も、青ざめたまま、何も言えずに立ち尽くしていた。
その日の夕刻。
クロード公爵邸の中庭で、アデルは私をそっと抱き寄せた。
「……本当に、君を守れたかな」
「ええ。私も……あなたを信じてよかったと思ってる」
そして──
「……あの子のこと、ちゃんと公にする?」
「もちろんだ。
“リディア・セルヴァンとの婚約者、そして未来の母として”──堂々と迎え入れるよ」
彼の手が、私の腹にそっと添えられる。
「今度こそ、誰にも奪わせない。君も、この命も」
その眼差しは、もう二度と迷わない。
記憶を取り戻したわけではない。
けれど、それ以上の“確かな愛”がそこにはあった。
上位貴族たちが集められた場で、アデルは堂々と壇上に立っていた。
「本日は、大切な報告があり、この場を設けさせていただきました」
その声に、会場が静まり返る。
そして、アデルは傍にいた私──リディア・セルヴァンの手を取る。
「私、アデル・クロードは──この度、リディア・セルヴァン嬢との正式な婚約を決定いたしました」
ざわめきが広がる。
一部の貴族たちは目を見開き、驚きに言葉を失った。
「なっ……正式な婚約者は、ロゼリア・バルジェ嬢のはずでは……?」
と、誰かが声を上げる。
その瞬間、アデルは冷たく、それでいてはっきりと告げた。
「ロゼリア・バルジェ嬢とは、私の“記憶喪失を利用した虚偽の婚約”であり、正式な書類は一切存在しない。
加えて、バルジェ侯爵家が私の記憶を魔術的手段で改ざんした証拠が、ここにある」
彼は懐から文書を取り出し、会場に配らせる。
ざっと目を通した貴族たちが、一斉に顔色を変えた。
「記憶干渉なんて……! 王族や貴族への重大犯罪だぞ……!」
「バルジェ家は……終わりか……」
そして──その場に現れた、ロゼリア・バルジェ本人。
完璧だったはずの化粧の下、蒼ざめた顔で、彼女はアデルを見つめた。
「まさか……本当に、リディアを……?」
アデルは彼女を一瞥した。
「君は、僕の“記憶を消せば、心も奪える”と思ったのかもしれない。
でも、君は知らなかった。“心”は記憶ではなく、“魂”に刻まれてるということを」
「……っ……!」
ロゼリアはその場に崩れ落ちた。
誰も助けなかった。
ロゼリアの父──バルジェ侯も、青ざめたまま、何も言えずに立ち尽くしていた。
その日の夕刻。
クロード公爵邸の中庭で、アデルは私をそっと抱き寄せた。
「……本当に、君を守れたかな」
「ええ。私も……あなたを信じてよかったと思ってる」
そして──
「……あの子のこと、ちゃんと公にする?」
「もちろんだ。
“リディア・セルヴァンとの婚約者、そして未来の母として”──堂々と迎え入れるよ」
彼の手が、私の腹にそっと添えられる。
「今度こそ、誰にも奪わせない。君も、この命も」
その眼差しは、もう二度と迷わない。
記憶を取り戻したわけではない。
けれど、それ以上の“確かな愛”がそこにはあった。
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