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第19話:理由のない涙、あなたの横顔
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リィナは今日も丘の上で本を開いていた。
けれど、文字はほとんど頭に入ってこない。
胸の奥が、落ち着かなかった。
(また、来てくれるだろうか)
初めて話したあの日から、ずっと彼のことが頭に浮かんでいた。
リアス。
不思議な名前。
初めて出会ったはずなのに、その響きが耳に残って離れない。
「リィナさん、また会えましたね」
その声に、胸が跳ねた。
振り返ると、リアスが微笑んでいた。
「来てくれる気がしてました」
「……僕も、です。きっと、ここに来れば君に会えるって」
それからふたりは、自然に並んで座った。
本の話、村の話、好きな食べ物――
他愛のない会話だったのに、どこか心が満たされていく。
「……でも、不思議ですよね」
リィナがぽつりと呟いた。
「何が?」
「あなたと話していると、初めてなのに……すごく懐かしいような気がするんです。
あなたの声とか、言葉の選び方とか……」
リアスは一瞬、黙った。
そして空を見上げる。
「僕も、同じことを感じていました。
君の笑い声が、どうしようもなく、胸に響くんです。
……まるで、ずっと探していたような気さえする」
風が吹く。
丘の草が揺れ、鳥が遠くで鳴いた。
その瞬間――
リィナの目に、涙が浮かんだ。
「えっ……」
驚いて指先で拭うが、理由がわからなかった。
悲しくないのに、止まらない。
リアスがそっとハンカチを差し出す。
「……泣かせてしまったなら、ごめん。でも、それ……多分、君の中にあった“何か”が、今ふと溢れただけだと思う」
「……リアスさん、私……あなたに会えて、よかった」
それは、恋が始まるときの涙ではない。
もっと、ずっと前から心に積もっていた感情の“解放”だった。
リアスはリィナの横顔を見つめながら、ふと小さく呟いた。
「君を……もう一度、好きになってもいいですか?」
リィナは、涙を拭いながらも、笑って頷いた。
「はい。……もう一度じゃなくて、“初めて”ですけどね」
けれど、文字はほとんど頭に入ってこない。
胸の奥が、落ち着かなかった。
(また、来てくれるだろうか)
初めて話したあの日から、ずっと彼のことが頭に浮かんでいた。
リアス。
不思議な名前。
初めて出会ったはずなのに、その響きが耳に残って離れない。
「リィナさん、また会えましたね」
その声に、胸が跳ねた。
振り返ると、リアスが微笑んでいた。
「来てくれる気がしてました」
「……僕も、です。きっと、ここに来れば君に会えるって」
それからふたりは、自然に並んで座った。
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他愛のない会話だったのに、どこか心が満たされていく。
「……でも、不思議ですよね」
リィナがぽつりと呟いた。
「何が?」
「あなたと話していると、初めてなのに……すごく懐かしいような気がするんです。
あなたの声とか、言葉の選び方とか……」
リアスは一瞬、黙った。
そして空を見上げる。
「僕も、同じことを感じていました。
君の笑い声が、どうしようもなく、胸に響くんです。
……まるで、ずっと探していたような気さえする」
風が吹く。
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その瞬間――
リィナの目に、涙が浮かんだ。
「えっ……」
驚いて指先で拭うが、理由がわからなかった。
悲しくないのに、止まらない。
リアスがそっとハンカチを差し出す。
「……泣かせてしまったなら、ごめん。でも、それ……多分、君の中にあった“何か”が、今ふと溢れただけだと思う」
「……リアスさん、私……あなたに会えて、よかった」
それは、恋が始まるときの涙ではない。
もっと、ずっと前から心に積もっていた感情の“解放”だった。
リアスはリィナの横顔を見つめながら、ふと小さく呟いた。
「君を……もう一度、好きになってもいいですか?」
リィナは、涙を拭いながらも、笑って頷いた。
「はい。……もう一度じゃなくて、“初めて”ですけどね」
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