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朝の光が事務所の窓から柔らかく差し込む。
冷たい空気のなかに、昨夜のぬくもりがまだ少しだけ残っていた。
洗面台の前。
陽翔は、髪を手ぐしで直しながら鏡をのぞき込む。
少し寝癖がついていて、左右がぴょこっと跳ねていた。
「……あー、ひどい」
背後から静かに近づく足音。
鏡越しに、まだ髪の乱れた蓮が映った。
寝起き特有の少しぼんやりとした目つき。
その顔が、陽翔にはたまらなく愛しく見えた。
「……なに笑ってんだ」
「だって、寝起きの蓮さん、めっちゃかわいくて」
「……うるせぇ」
蓮は半分寝ぼけたまま、横に並んだ。
鏡の前に並ぶその姿が、なんだか妙に“夫婦っぽい”感じがして、陽翔は胸の奥がじわっと熱くなる。
「……ほら、これ」
蓮が手に取ったのは陽翔のブラシ。
軽くため息をついたあと、そのまま陽翔の寝癖に手を伸ばす。
「……ちょっ、え、なにしてんの?」
「見てらんねぇ」
「……わ、優しい……!」
ブラシを通す蓮の手は、思っていたよりもずっと丁寧だった。
静かな朝に、髪を梳く音が小さく響く。
ただそれだけなのに、陽翔の心臓はゆっくりと跳ねていた。
(……距離、近い……)
蓮の指先が、首筋のすぐそばをすべる。
触れていないのに、体温がすぐそばにあるのがわかる。
「……お前、髪やわらけぇな」
「え、今それ言った!? 不意打ち!!」
「……うるさい」
「でも今の、破壊力やばいからね?」
蓮は何も返さず、ブラシを下ろして軽く陽翔の頭をぽんと叩いた。
その仕草が、まるで“いってこい”みたいで、胸の奥があたたかくなる。
*
「……歯磨きしてんの、隣で見ると変な感じだな」
「え、どこが」
「……なんか、もう恋人なんだなって」
「……お前な」
陽翔が歯ブラシをくわえたまま笑うと、
蓮は小さく目を細めて、肩で息を吐いた。
それは呆れたようでいて――どこか優しい笑いだった。
「……なあ、蓮さん」
「ん」
「こういう“普通の朝”って、意外といちばん好きかも」
「……ほんと、うるせぇ」
「でも、蓮さんも悪くない顔してる」
「……知らねぇよ」
陽翔は、鏡の中で並ぶふたりをじっと見つめた。
自分の横に、ちゃんと蓮がいる。
それだけで、胸の奥が静かに満ちていく。
*
「……なに見てんだよ」
「え、ふたりのこと」
「は?」
「鏡に映ってるの、なんか……すごい“恋人”って感じして」
「……バカ」
蓮は視線を逸らして、陽翔の額に軽く指先を当てた。
「チッ」と小さく舌打ちしながらも、
その手の力はやわらかい。
「……ほら、顔洗え。遅刻すんぞ」
「はーい。でも、これからも毎朝一緒に起きたい」
「……勝手にしろ」
「勝手にする~」
陽翔が笑うと、蓮の口元もほんの少しだけゆるんだ。
静かな朝支度の時間。
何気ない仕草のすべてが、ふたりの“恋人としての朝”を形づくっていた。
🕊️ 第36話 予告:「朝の出発」
一緒に起きて、一緒に身支度をして――
今度は、一緒に外へ出る。
ふたりの朝が、そのまま“恋人の一日”へとつながっていく。
冷たい空気のなかに、昨夜のぬくもりがまだ少しだけ残っていた。
洗面台の前。
陽翔は、髪を手ぐしで直しながら鏡をのぞき込む。
少し寝癖がついていて、左右がぴょこっと跳ねていた。
「……あー、ひどい」
背後から静かに近づく足音。
鏡越しに、まだ髪の乱れた蓮が映った。
寝起き特有の少しぼんやりとした目つき。
その顔が、陽翔にはたまらなく愛しく見えた。
「……なに笑ってんだ」
「だって、寝起きの蓮さん、めっちゃかわいくて」
「……うるせぇ」
蓮は半分寝ぼけたまま、横に並んだ。
鏡の前に並ぶその姿が、なんだか妙に“夫婦っぽい”感じがして、陽翔は胸の奥がじわっと熱くなる。
「……ほら、これ」
蓮が手に取ったのは陽翔のブラシ。
軽くため息をついたあと、そのまま陽翔の寝癖に手を伸ばす。
「……ちょっ、え、なにしてんの?」
「見てらんねぇ」
「……わ、優しい……!」
ブラシを通す蓮の手は、思っていたよりもずっと丁寧だった。
静かな朝に、髪を梳く音が小さく響く。
ただそれだけなのに、陽翔の心臓はゆっくりと跳ねていた。
(……距離、近い……)
蓮の指先が、首筋のすぐそばをすべる。
触れていないのに、体温がすぐそばにあるのがわかる。
「……お前、髪やわらけぇな」
「え、今それ言った!? 不意打ち!!」
「……うるさい」
「でも今の、破壊力やばいからね?」
蓮は何も返さず、ブラシを下ろして軽く陽翔の頭をぽんと叩いた。
その仕草が、まるで“いってこい”みたいで、胸の奥があたたかくなる。
*
「……歯磨きしてんの、隣で見ると変な感じだな」
「え、どこが」
「……なんか、もう恋人なんだなって」
「……お前な」
陽翔が歯ブラシをくわえたまま笑うと、
蓮は小さく目を細めて、肩で息を吐いた。
それは呆れたようでいて――どこか優しい笑いだった。
「……なあ、蓮さん」
「ん」
「こういう“普通の朝”って、意外といちばん好きかも」
「……ほんと、うるせぇ」
「でも、蓮さんも悪くない顔してる」
「……知らねぇよ」
陽翔は、鏡の中で並ぶふたりをじっと見つめた。
自分の横に、ちゃんと蓮がいる。
それだけで、胸の奥が静かに満ちていく。
*
「……なに見てんだよ」
「え、ふたりのこと」
「は?」
「鏡に映ってるの、なんか……すごい“恋人”って感じして」
「……バカ」
蓮は視線を逸らして、陽翔の額に軽く指先を当てた。
「チッ」と小さく舌打ちしながらも、
その手の力はやわらかい。
「……ほら、顔洗え。遅刻すんぞ」
「はーい。でも、これからも毎朝一緒に起きたい」
「……勝手にしろ」
「勝手にする~」
陽翔が笑うと、蓮の口元もほんの少しだけゆるんだ。
静かな朝支度の時間。
何気ない仕草のすべてが、ふたりの“恋人としての朝”を形づくっていた。
🕊️ 第36話 予告:「朝の出発」
一緒に起きて、一緒に身支度をして――
今度は、一緒に外へ出る。
ふたりの朝が、そのまま“恋人の一日”へとつながっていく。
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