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陽翔が布団から抜け出したとき、
窓の外にはすでに柔らかい朝日が満ちていた。
カーテン越しの光は穏やかで、
部屋の空気はまだ少しひんやりとしている。
後ろを振り返ると、まだベッドの中で
目を細めながら起き上がろうとする蓮がいた。
「……ん」
「おはよ、蓮さん」
「……眠い」
「ふふ、顔が完全に“まだ寝たい”って言ってる」
「うるせぇ」
蓮の寝起きの声は、いつもより少し低くて、
それだけで胸がドキンと鳴る。
こういう“他の誰も知らない姿”を見られるのは、
恋人の特権だと陽翔は思っていた。
*
「先にコーヒー淹れるね」
「……ああ」
蓮がまだ眠そうに髪をくしゃくしゃにしながら
ベッドを出てくるのを、
陽翔はキッチンで湯を沸かしながら横目で見ていた。
パジャマのままの蓮、
ぼさぼさの髪、少しふてくされた顔。
そんな姿が、どうしようもなく愛しい。
「……なに見てんだ」
「ん~、かっこいいな~って」
「寝起きでかっこいいわけねぇだろ」
「あるよ。俺が見てるから」
「……バカ」
蓮はぼそっと呟きながらも、
コップを受け取り、隣に立った。
湯気の上がるコーヒーの香りが、部屋にふんわりと広がる。
*
「今日、取材何時からだっけ?」
「十時」
「けっこう余裕あるじゃん」
「……だからってダラダラすんなよ」
「ダラダラじゃなくて、“ゆっくり”なの」
陽翔が笑うと、蓮は呆れたように肩をすくめた。
でも、その目元は、少し柔らかい。
朝の空気がふたりの間に穏やかに流れていく。
*
「……なあ」
「ん?」
「顔、近ぇ」
「近づいたの、蓮さんじゃん」
「……」
「もしかして、キスしたい?」
「は?」
「図星?」
蓮はほんの一瞬だけ目をそらした。
その仕草が、陽翔の胸をくすぐる。
「……バカ」
「ふふ、バレバレ」
陽翔は蓮の正面に立ち、
少し背伸びをして、そっとその唇に触れた。
「……」
「……朝から、なんでこうなるんだよ」
「朝だからだよ。おはようのキス」
「……」
「ね、もう一回」
蓮は軽く息を吐いたあと、
自分からも陽翔の顎を引き寄せるようにして、
短く、でもちゃんと想いのこもったキスを返した。
唇が触れた瞬間、
小さな音も、光も、部屋の空気も
すべてがふたりだけのものになったように感じた。
*
「……バカ」
「……でも、今、ちょっと笑った」
「してねぇ」
「してる。……ねぇ、蓮さん」
「なんだよ」
「今日も一緒に頑張ろ」
「……ああ」
短い返事。
けれど、その声には、
朝日よりもあたたかい“いつもの気持ち”が込められている。
蓮の指が陽翔の手に自然と絡まり、
何気ない朝が、特別な朝に変わっていった。
🕊️ 第51話 予告:「出勤前の時間」
ふたりで過ごす朝の支度の続き。
仕事へ向かう準備のなかにも、恋人らしさがにじむ――
“行ってきます”の一言が、甘く胸に残る時間。
窓の外にはすでに柔らかい朝日が満ちていた。
カーテン越しの光は穏やかで、
部屋の空気はまだ少しひんやりとしている。
後ろを振り返ると、まだベッドの中で
目を細めながら起き上がろうとする蓮がいた。
「……ん」
「おはよ、蓮さん」
「……眠い」
「ふふ、顔が完全に“まだ寝たい”って言ってる」
「うるせぇ」
蓮の寝起きの声は、いつもより少し低くて、
それだけで胸がドキンと鳴る。
こういう“他の誰も知らない姿”を見られるのは、
恋人の特権だと陽翔は思っていた。
*
「先にコーヒー淹れるね」
「……ああ」
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そんな姿が、どうしようもなく愛しい。
「……なに見てんだ」
「ん~、かっこいいな~って」
「寝起きでかっこいいわけねぇだろ」
「あるよ。俺が見てるから」
「……バカ」
蓮はぼそっと呟きながらも、
コップを受け取り、隣に立った。
湯気の上がるコーヒーの香りが、部屋にふんわりと広がる。
*
「今日、取材何時からだっけ?」
「十時」
「けっこう余裕あるじゃん」
「……だからってダラダラすんなよ」
「ダラダラじゃなくて、“ゆっくり”なの」
陽翔が笑うと、蓮は呆れたように肩をすくめた。
でも、その目元は、少し柔らかい。
朝の空気がふたりの間に穏やかに流れていく。
*
「……なあ」
「ん?」
「顔、近ぇ」
「近づいたの、蓮さんじゃん」
「……」
「もしかして、キスしたい?」
「は?」
「図星?」
蓮はほんの一瞬だけ目をそらした。
その仕草が、陽翔の胸をくすぐる。
「……バカ」
「ふふ、バレバレ」
陽翔は蓮の正面に立ち、
少し背伸びをして、そっとその唇に触れた。
「……」
「……朝から、なんでこうなるんだよ」
「朝だからだよ。おはようのキス」
「……」
「ね、もう一回」
蓮は軽く息を吐いたあと、
自分からも陽翔の顎を引き寄せるようにして、
短く、でもちゃんと想いのこもったキスを返した。
唇が触れた瞬間、
小さな音も、光も、部屋の空気も
すべてがふたりだけのものになったように感じた。
*
「……バカ」
「……でも、今、ちょっと笑った」
「してねぇ」
「してる。……ねぇ、蓮さん」
「なんだよ」
「今日も一緒に頑張ろ」
「……ああ」
短い返事。
けれど、その声には、
朝日よりもあたたかい“いつもの気持ち”が込められている。
蓮の指が陽翔の手に自然と絡まり、
何気ない朝が、特別な朝に変わっていった。
🕊️ 第51話 予告:「出勤前の時間」
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仕事へ向かう準備のなかにも、恋人らしさがにじむ――
“行ってきます”の一言が、甘く胸に残る時間。
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