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部屋の灯りをつけると、
オレンジ色のやわらかな光が、
リビング全体を包み込んだ。
外の夜の冷たい空気とちがって、
ここはふたりだけの静かな空間。
今日も――いつものように。
「……ふぅ~」
陽翔はコートを脱ぐなり、
ソファにぽすんと身を投げ出した。
足を軽く投げ出して、天井を見上げる。
「……今日も疲れた~」
「知ってる」
「え、なんで」
「顔に出てんだよ」
「ええ~……!」
蓮は玄関の鍵をかけ、
コートをハンガーに掛けながら淡々と答える。
その声は冷たく聞こえるのに、
不思議と安心するトーンだった。
*
「ねぇ、蓮さんも座ってよ~」
「……今座る」
靴下を脱いで、
蓮もソファに腰を下ろす。
陽翔の隣、ちょうど肩がふわりと触れるくらいの距離。
テレビはつけていない。
時計の音と外の風の音、
そしてふたりの呼吸だけが、
この空間を満たしていた。
「……こういう時間、好き」
「……またそれかよ」
「だって本当だもん」
「……バカ」
陽翔はくすっと笑いながら、
少しだけ体を傾けた。
蓮の肩に頭を乗せると、
そのぬくもりがゆっくりと全身にしみていく。
(……この温度があると、一日が終わったって感じがする)
*
「重い」
「え~、ほんとに?」
「……嘘」
「ふふっ」
蓮の声は小さくて、
ほんの少し笑いが混じっていた。
それがわかるだけで、
陽翔の胸の奥がじんわりあたたかくなる。
「なぁ」
「ん?」
「お前って、ほんと……」
「ほんと?」
「……うるせぇ」
「ちょ、途中でやめるのやめてよ!」
「……バカ」
蓮は苦笑しながら、
肩に頭を乗せている陽翔の髪をくしゃっと撫でた。
それは、言葉よりもずっとやさしい仕草だった。
*
しばらく、ふたりは何も話さなかった。
ただ、肩と肩が触れ合って、
同じ空気を吸って、
同じ時間を過ごしているだけ。
けれど――それだけで十分だった。
「……ねぇ」
「ん」
「今日、ほんといい日だったな」
「……」
「ごはんも一緒で、帰り道も一緒で、今こうしてる」
「……そうかよ」
「うん」
蓮はため息をひとつついて、
陽翔の手をそっと握った。
その指先から伝わる温度が、
言葉よりも優しく「俺もそう思ってる」と語っていた。
*
「……ねぇ、明日も、こうして隣にいられる?」
「……バカ。聞くまでもねぇだろ」
「……っ」
陽翔の胸の奥が、じんわりと熱くなる。
ゆっくりと目を閉じると、
蓮の肩のぬくもりと、静かな夜の空気が
心地よく全身を包み込んでいった。
この何気ない時間こそ、
ふたりにとっての“特別”だった。
🕊️ 第76話 予告:「おやすみの支度」
夜のリビングのあと、
ふたりで迎える“おやすみ”の時間。
ベッドへ向かう前の、穏やかで少しだけ甘い夜。
オレンジ色のやわらかな光が、
リビング全体を包み込んだ。
外の夜の冷たい空気とちがって、
ここはふたりだけの静かな空間。
今日も――いつものように。
「……ふぅ~」
陽翔はコートを脱ぐなり、
ソファにぽすんと身を投げ出した。
足を軽く投げ出して、天井を見上げる。
「……今日も疲れた~」
「知ってる」
「え、なんで」
「顔に出てんだよ」
「ええ~……!」
蓮は玄関の鍵をかけ、
コートをハンガーに掛けながら淡々と答える。
その声は冷たく聞こえるのに、
不思議と安心するトーンだった。
*
「ねぇ、蓮さんも座ってよ~」
「……今座る」
靴下を脱いで、
蓮もソファに腰を下ろす。
陽翔の隣、ちょうど肩がふわりと触れるくらいの距離。
テレビはつけていない。
時計の音と外の風の音、
そしてふたりの呼吸だけが、
この空間を満たしていた。
「……こういう時間、好き」
「……またそれかよ」
「だって本当だもん」
「……バカ」
陽翔はくすっと笑いながら、
少しだけ体を傾けた。
蓮の肩に頭を乗せると、
そのぬくもりがゆっくりと全身にしみていく。
(……この温度があると、一日が終わったって感じがする)
*
「重い」
「え~、ほんとに?」
「……嘘」
「ふふっ」
蓮の声は小さくて、
ほんの少し笑いが混じっていた。
それがわかるだけで、
陽翔の胸の奥がじんわりあたたかくなる。
「なぁ」
「ん?」
「お前って、ほんと……」
「ほんと?」
「……うるせぇ」
「ちょ、途中でやめるのやめてよ!」
「……バカ」
蓮は苦笑しながら、
肩に頭を乗せている陽翔の髪をくしゃっと撫でた。
それは、言葉よりもずっとやさしい仕草だった。
*
しばらく、ふたりは何も話さなかった。
ただ、肩と肩が触れ合って、
同じ空気を吸って、
同じ時間を過ごしているだけ。
けれど――それだけで十分だった。
「……ねぇ」
「ん」
「今日、ほんといい日だったな」
「……」
「ごはんも一緒で、帰り道も一緒で、今こうしてる」
「……そうかよ」
「うん」
蓮はため息をひとつついて、
陽翔の手をそっと握った。
その指先から伝わる温度が、
言葉よりも優しく「俺もそう思ってる」と語っていた。
*
「……ねぇ、明日も、こうして隣にいられる?」
「……バカ。聞くまでもねぇだろ」
「……っ」
陽翔の胸の奥が、じんわりと熱くなる。
ゆっくりと目を閉じると、
蓮の肩のぬくもりと、静かな夜の空気が
心地よく全身を包み込んでいった。
この何気ない時間こそ、
ふたりにとっての“特別”だった。
🕊️ 第76話 予告:「おやすみの支度」
夜のリビングのあと、
ふたりで迎える“おやすみ”の時間。
ベッドへ向かう前の、穏やかで少しだけ甘い夜。
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