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第1話 ――目覚めた場所は、檻の中でした
薄暗い光が差し込む、石造りの部屋。
かすかに湿った空気が、鼻先をかすめた。
「……ここ、どこ……?」
意識がぼんやりと浮かび上がる。
冷たい床に横たわっていた身体をゆっくりと起こすと、自分が見知らぬ部屋にいることにようやく気づいた。
重厚な鉄格子。
部屋の壁にかかる意味不明な紋章。
そして、遠くから聞こえてくる、獣のような咆哮――。
夢ではない。これは現実だ。
(え、俺……どうなって……?)
たしか、自宅のアパートに帰る途中だった。
電車を降りて、コンビニに寄って、それから……。
記憶が、そこでぷつりと途切れている。
気づけば、ここにいた。
「おい、目が覚めたか」
低く響く声に、びくりと肩を震わせる。
顔を上げると、格子の外に立つ一人の男がいた。
――この世のものとは思えない、威圧感。
黒のローブに身を包み、漆黒の髪と金の瞳を持つその男は、まるで人ではないような存在感を纏っていた。
「……っ、あ、あんたは……?」
「ザディク。竜王だ」
名乗られた瞬間、なぜか身体が勝手に震えた。
脳が危険だと告げている。けれどその一方で、彼の視線に縛られて動けない。
「おまえの名前は?」
「……ユウト。日本から……来た……みたい、です……」
答えながら、自分でも信じられなかった。
日本から異世界に? 竜王? 番?
「ああ。おまえは俺の番だ」
「えっ?」
「運命の番(つがい)。俺が探していた唯一の存在」
突然の宣言に、思考が停止する。
「ま、待ってください。俺、男ですし……っ」
「知っている。だが問題はない」
格子の鍵が、音を立てて開かれた。
ゆっくりと歩み寄ってくるザディク。
その金の瞳は、まるで獲物を見るように細められていて――。
「待て、ちょっと、本当に……っ、やめ――」
腕を掴まれ、引き寄せられた身体はあっさりと宙に浮く。
そのまま抱き上げられるような形で、彼の胸に密着する。
「……やはり、いい匂いだ」
首筋に落ちる吐息に、びくりと背筋が震えた。
本能が、何かを感じ取っている。
目の前の男が、ただの人間じゃないと――。
「安心しろ。すぐにわかる。おまえが俺のものだということを」
「……っ、やだ、離――」
「……もう、遅い」
ふと、その言葉と同時に、身体の奥が熱を帯びた。
空気が変わる。
何か、世界のルールそのものが書き換わっていくような……そんな感覚。
(これが……番契約……?)
なぜか、そう理解してしまった。
誰かに教えられたわけでもないのに、脳内に“記憶”が流れ込んでくる。
――番となれば、心も、身体も、すべてが繋がる。
――拒めない。運命の契約は絶対なのだから。
そして、彼の手が俺の髪を優しく梳いた。
「ようこそ、ユウト。これからは、俺の隣にいろ」
その言葉に、心がほんの少し、揺れた。
かすかに湿った空気が、鼻先をかすめた。
「……ここ、どこ……?」
意識がぼんやりと浮かび上がる。
冷たい床に横たわっていた身体をゆっくりと起こすと、自分が見知らぬ部屋にいることにようやく気づいた。
重厚な鉄格子。
部屋の壁にかかる意味不明な紋章。
そして、遠くから聞こえてくる、獣のような咆哮――。
夢ではない。これは現実だ。
(え、俺……どうなって……?)
たしか、自宅のアパートに帰る途中だった。
電車を降りて、コンビニに寄って、それから……。
記憶が、そこでぷつりと途切れている。
気づけば、ここにいた。
「おい、目が覚めたか」
低く響く声に、びくりと肩を震わせる。
顔を上げると、格子の外に立つ一人の男がいた。
――この世のものとは思えない、威圧感。
黒のローブに身を包み、漆黒の髪と金の瞳を持つその男は、まるで人ではないような存在感を纏っていた。
「……っ、あ、あんたは……?」
「ザディク。竜王だ」
名乗られた瞬間、なぜか身体が勝手に震えた。
脳が危険だと告げている。けれどその一方で、彼の視線に縛られて動けない。
「おまえの名前は?」
「……ユウト。日本から……来た……みたい、です……」
答えながら、自分でも信じられなかった。
日本から異世界に? 竜王? 番?
「ああ。おまえは俺の番だ」
「えっ?」
「運命の番(つがい)。俺が探していた唯一の存在」
突然の宣言に、思考が停止する。
「ま、待ってください。俺、男ですし……っ」
「知っている。だが問題はない」
格子の鍵が、音を立てて開かれた。
ゆっくりと歩み寄ってくるザディク。
その金の瞳は、まるで獲物を見るように細められていて――。
「待て、ちょっと、本当に……っ、やめ――」
腕を掴まれ、引き寄せられた身体はあっさりと宙に浮く。
そのまま抱き上げられるような形で、彼の胸に密着する。
「……やはり、いい匂いだ」
首筋に落ちる吐息に、びくりと背筋が震えた。
本能が、何かを感じ取っている。
目の前の男が、ただの人間じゃないと――。
「安心しろ。すぐにわかる。おまえが俺のものだということを」
「……っ、やだ、離――」
「……もう、遅い」
ふと、その言葉と同時に、身体の奥が熱を帯びた。
空気が変わる。
何か、世界のルールそのものが書き換わっていくような……そんな感覚。
(これが……番契約……?)
なぜか、そう理解してしまった。
誰かに教えられたわけでもないのに、脳内に“記憶”が流れ込んでくる。
――番となれば、心も、身体も、すべてが繋がる。
――拒めない。運命の契約は絶対なのだから。
そして、彼の手が俺の髪を優しく梳いた。
「ようこそ、ユウト。これからは、俺の隣にいろ」
その言葉に、心がほんの少し、揺れた。
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