異世界で竜王の番に選ばれ、夜ごと蕩ける愛を注がれてます

春夜夢

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第65話 ――君の掌で、未来を抱いて

午前。
暖かい陽の光が差し込む王宮の一角――
そこにあるのは、妊婦たちのために設けられた助産院。

「……行ってみたいって言ったけど、なんか、いざとなると緊張するな……」

ユウトの手を握りながら、ザディクは微笑んだ。

「大丈夫。君が“お母さんになっていく”その全部を、
 俺も一緒に感じたいんだ」

助産院では、
穏やかな笑みを浮かべた助産師がふたりを迎え入れた。

「王配様、こちらへどうぞ。
 今日は“赤ちゃんを抱く練習”も、少しだけしてみませんか?」

差し出されたのは――
小さな、柔らかい布人形。
命を模した、練習用の赤ちゃん。

ユウトはそっと両手でそれを抱えた。

「……軽い……のに、ずしっとする……」

腕の中で“命の重み”を実感して、
ユウトの瞳が、ふるふると潤む。

「こわい……でも……この手で、ちゃんと……守りたい……っ」

ザディクは、その隣でそっと肩を抱いた。

「大丈夫。君が揺れたら、俺が支える。
 この小さな命を、ふたりで守ろう」

その夜。
ユウトはベッドの上で、布団にくるまってぽつりと呟く。

「ねえザディク……
 私、ちゃんと“母親”になれるのかな……」

「なれるさ。
 君はもう、こんなにも命に心を寄せている。
 それだけで、十分すぎるほどの“母”だよ」

「……でも、怖いよ……」

「怖くていい。
 その怖さを、俺が愛で包んでいく。
 君が泣いたら、抱きしめて、声でほどいて、
 熱で安心させるから――今夜も、そうさせて」

ユウトの身体がシーツの中で震えるたびに、
ザディクの唇が優しく落ちていく。

「君は、もうすでに“未来を抱いてる”んだ。
 この胸も、このお腹も、このぬくもりも、全部」

「……ザディク……
 今夜だけは……ほんとに、包んで……甘えていたい……」

「うん。優しく、やさしく……君という未来を守るように、触れるから」

挿れられる熱。
まるで胎内に灯る命を確かめるように、
奥深くまで、静かに重なる。

「んっ……やさしい……しあわせで……安心する……」

「君は、もう立派なお母さんだよ。
 “家族を育てる”って、こうして愛を重ねることから始まるんだ」

ふたりの鼓動と、命の静かな拍動。
そのすべてが重なり、
ユウトは「守る」と「守られる」の間で、
確かな未来のかたちを感じていた。
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