異世界で竜王の番に選ばれ、夜ごと蕩ける愛を注がれてます

春夜夢

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第68話 ――この世界で、いちばんあたたかい場所を

午後の陽だまりの中。
ユウトは、リビングのローテーブルに布と糸を広げていた。

「……器用じゃないけど、
 せめて、この子の“最初の持ち物”くらいは……私の手で作りたい」

選んだのは、
淡いミルク色のガーゼ生地と、
まるで空のような水色の縁取り。

針を通すたび、
思い描くのは――
小さな手、小さな口、小さな“家族の始まり”。

「……よし、これで……完成、かな」

スタイの首元には、小さく刺繍した一言。

「だいすき」

「ユウト……これ、君が作ったの?」

ザディクは目を細め、完成したスタイを手に取った。

「不器用なりに……でも、ちゃんと気持ちは込めたから」

「十分すぎるよ。
 このスタイは、世界で一番愛されてる証だ」

その夜。

ユウトはベッドに横たわりながら、
そっとお腹に手をあてて目を閉じていた。

「……この子に、早く会いたいね」

ザディクはその隣に座り、
お腹に頬を寄せ、囁く。

「こんばんは、パパですよ。
 君のママはね、今日もいっぱい頑張ったよ」

「や、やめてよ……恥ずかしい……っ」

「でも、言わせて。君が母になることが、どれだけ尊くて愛しいか、
 俺の声で、毎晩伝えたいんだ」

そして、ユウトが「……今夜も、あなたを感じたい」と微笑んで、
ふたりは静かに、シーツの中で繋がり合う。

「この家が、君にとって“世界で一番あたたかい場所”になるように。
 俺は、ずっとこのぬくもりを注ぎ続けるよ」

ゆっくり、深く――
お腹を気遣いながら、優しい律動が重ねられていく。

「んっ……あぁ……心まで、包まれていく……」

「これは誓いの愛。
 俺たちが“家族になる”という祈りを、今夜も交わしてるんだ」

甘いキス。
お腹に落ちる、やさしい声。
ユウトの心が、とろけるように溶けていく。

「この子が生まれたら……ふたりで、いっぱい愛してあげようね」

「もちろん。
 君がいるこの場所が、いつまでも“家”であるように――俺が守り続けるよ」

命を迎える準備と、
ふたりの愛が重なり合った夜。

世界で一番あたたかい場所は、
ふたりとひとつの命が、そっと寄り添うこのベッドの中だった。
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