異世界で竜王の番に選ばれ、夜ごと蕩ける愛を注がれてます

春夜夢

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第71話 ――あなたに、名前を贈る

夜。
病室の天井には、やわらかな魔灯の光。

ユウトは、胸の上に眠る赤ちゃんの髪をそっと撫でていた。

「……ねえ、ザディク。
 そろそろ……この子に、名前を贈ってあげたい」

ザディクは椅子に座ったまま、
微笑んで頷いた。

「そうだね。
 今日からこの世界で生きていくこの子に……俺たちからの最初の贈り物だ」

ふたりが大切に書き溜めてきた“名前ノート”。
その中から、選ばれたのは――

「リュミエール」(仮)
古語で「光」「道しるべ」を意味する言葉。

「この子が、どんな場所にいても……
 誰かの心を照らすような、やさしい光になりますように」

ユウトが名前をそっと口にした瞬間、
眠っていた赤ちゃんが、小さくぴくりと動いた。

「……っ、反応した……? 今の、聞こえた……?」

「聞いてたんだよ。
 “それが私の名前”だって、わかってくれたんだ」

ふたりは涙ぐみながら、
何度も、何度も、その名を呼んだ。

「リュミエール。愛してるよ」

夜。

ザディクは、そっとユウトの背に手をまわし、
ゆっくりと抱きしめる。

「今日は“命に名を贈った日”。
 その奇跡を、君の身体に刻ませて」

「うん……やさしく、触れて……
 あなたのぬくもりで、また強くなれるから……」

肌と肌が重なり、
出産の疲れを気遣いながら、
まるで祈るように、やさしく愛し合う。

「君が母になった今も、
 俺にとっては、ずっと“恋人”でもあるんだ」

「ありがとう……っ
 そう言ってもらえるの、すごく嬉しい……っ」

キスはおでこに、瞼に、唇に。
言葉よりも静かな「好き」が、重なっていく。

「この愛を、ずっと紡いでいこう。
 リュミエールの人生に、優しい光を灯し続けようね」

“名を贈る”という奇跡のあとに、
ふたりはまた、ひとつ深く愛し合った。

それは、愛のかたちを変えながら、
ずっと続いていく家族の第一章だった。
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