異世界で竜王の番に選ばれ、夜ごと蕩ける愛を注がれてます

春夜夢

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第82話 ――365日の、ありがとうを

王宮・大広間。
天井には祝福の花が飾られ、
水の精霊が揺らめき、空気までも祝宴色に染められていた。

中央の高座に座るのは、
ふわふわのドレスに包まれたリュミエール。

頬はまるく紅潮し、
その笑顔に、会場は何度も温かな拍手に包まれた。

スピーチの時。

ユウトは胸元を押さえ、深く一礼してから、
マイクに手を添える。

「今日、この場で、
 この子が“生まれてきてくれたこと”を伝えられること――
 本当に、幸せに思っています」

「あなたが私たちの元に来てくれて、
 笑って、泣いて、眠ってくれて。
 その全部が、私たちにとっての“生きる光”でした」

隣で、ザディクも目を赤くしながら微笑み、
短く、真っ直ぐな言葉を贈る。

「君の存在が、俺たちの世界を変えた。
 ……リュミエール、愛してる。生まれてくれて、ありがとう」

祝宴が終わり――夜。
静かな寝室。
リュミエールはぬいぐるみを抱いて、すやすやと眠っていた。

ユウトは、ザディクの胸に顔を預け、ぽつりと呟く。

「……一年だね。
 泣いて、笑って、何度も抱きしめて……気づいたら、365日」

「君がそばにいたから、全部乗り越えられた。
 ……今日、君にも“ありがとう”を伝えさせて」

「……わたしも、あなたに包まれてたから“ママ”になれたの。
 だから今夜は、あなたに“ママ”としてじゃなくて――
 一人の女として、抱いてほしい」

キスは、言葉よりもやさしく、
手のひらは、記憶をなぞるように腰を撫でる。

「君のこの一年が、どれほど尊くて強かったか……
 この手で、すべて抱きしめたい」

「んっ……あぁ……やさしい、のに……深くて……」

挿れられるたび、
ザディクの“ありがとう”が、熱となって身体の奥に響いてくる。

「君と、命を育んで、守ってきたこの一年。
 どんな勲章よりも、どんな光よりも、誇りだよ」

「……わたし、今日だけは泣いてもいい……?
 全部、愛されてるってわかるから……っ」

「泣いて。笑って。感じて。
 この一年を、全部包んで、次の一年も歩いていこう」

365日分のありがとうを、
365日分のぬくもりで包み込んだ夜。

小さな命が、世界に生まれ、
それを育んだふたりが、また一歩、深く結ばれていった。
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