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「……この先は、本当に危険だ」
城門の前で、レオンが湊を見下ろした。
鋭く引き締まった瞳と、湊を包み込むような視線が、同時にそこにある。
冷たい朝の空気に、鎧の金属音が響く。
「俺は前線に出る。……お前は決して離れるな」
「わかってます」
湊は小さく頷いた。
ほんの数日前まで普通の大学生だったのに、今は騎士団の後ろに並んでいる。
それが怖くないと言えば嘘になる。
でも、隣にレオンがいる。
その事実だけで、胸の奥の震えは不思議と小さくなった。
「湊、お前には……不思議な力がある」
レオンが少しだけ身をかがめる。
銀の髪が朝の光を受けて揺れた。
「お前があの“光の書”を読めたとき、王はすでに決めた。お前はこの戦いの鍵になると」
「俺……そんな大層な人間じゃないです」
湊は自嘲気味に笑った。
でもレオンは、かすかに首を振る。
「俺はこの世界の“奇跡”を、何度もこの目で見てきた。お前も、その一つだ」
その声は穏やかで、どこか優しくて。
普段の冷たい態度とはまるで別人みたいだった。
そのギャップに、心臓がまた跳ねる。
湊が息を飲んでいると、レオンが湊の肩に手を置いた。
手袋越しでも、体温がはっきりと伝わる。
「……何があっても、俺が守る」
その一言に、胸の奥が熱くなる。
怖さも、不安も、全部溶けていくようだった。
「……レオンさん」
「レオン、でいい」
「……レオン」
名前を呼んだ瞬間、レオンが息を吸い込む気配がした。
距離が縮まり、額と額がそっと触れ合う。
鎧の冷たさと、彼の体温。
まるで世界に二人きりになったような錯覚。
「誓う。……この命に代えても、お前を守る」
低く震える声が、湊の胸を震わせる。
頬に触れる指先は信じられないくらい優しくて、心臓の鼓動が全身に響いた。
次の瞬間――レオンの唇が、湊の唇をふわりと塞いだ。
強くはない。
けれど、確かに「誓い」を刻むキスだった。
鎧の音と、鼓動の音だけが響く静かな朝。
二人の距離は、もう「護衛と客人」だけではなかった。
戦場の鐘が鳴る。
二人はまだ知らない――この誓いが、やがて王国の運命を大きく変えることを。
城門の前で、レオンが湊を見下ろした。
鋭く引き締まった瞳と、湊を包み込むような視線が、同時にそこにある。
冷たい朝の空気に、鎧の金属音が響く。
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「わかってます」
湊は小さく頷いた。
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それが怖くないと言えば嘘になる。
でも、隣にレオンがいる。
その事実だけで、胸の奥の震えは不思議と小さくなった。
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「俺……そんな大層な人間じゃないです」
湊は自嘲気味に笑った。
でもレオンは、かすかに首を振る。
「俺はこの世界の“奇跡”を、何度もこの目で見てきた。お前も、その一つだ」
その声は穏やかで、どこか優しくて。
普段の冷たい態度とはまるで別人みたいだった。
そのギャップに、心臓がまた跳ねる。
湊が息を飲んでいると、レオンが湊の肩に手を置いた。
手袋越しでも、体温がはっきりと伝わる。
「……何があっても、俺が守る」
その一言に、胸の奥が熱くなる。
怖さも、不安も、全部溶けていくようだった。
「……レオンさん」
「レオン、でいい」
「……レオン」
名前を呼んだ瞬間、レオンが息を吸い込む気配がした。
距離が縮まり、額と額がそっと触れ合う。
鎧の冷たさと、彼の体温。
まるで世界に二人きりになったような錯覚。
「誓う。……この命に代えても、お前を守る」
低く震える声が、湊の胸を震わせる。
頬に触れる指先は信じられないくらい優しくて、心臓の鼓動が全身に響いた。
次の瞬間――レオンの唇が、湊の唇をふわりと塞いだ。
強くはない。
けれど、確かに「誓い」を刻むキスだった。
鎧の音と、鼓動の音だけが響く静かな朝。
二人の距離は、もう「護衛と客人」だけではなかった。
戦場の鐘が鳴る。
二人はまだ知らない――この誓いが、やがて王国の運命を大きく変えることを。
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