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第3話 恋を告げる前に、ふたりきりの夜
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その夜、ルカはなかなか眠れなかった。
心の中で何度もユノの言葉が反芻される。
——好きな人がいるの。
——今は、まだ名前は言わない。
(……もし、それが私だったら——)
期待と怖さが同時に押し寄せてくる。
答えを知るのが怖い。でも、知りたい。
次の日の放課後。
ユノは、いつもより静かだった。
「ルカ、今日……お願いがあるの」
「なに?」
「夜、こっそり寮を抜け出して、実験室に来てくれないかな。ふたりきりで試したいレシピがあるの」
その声はどこか、震えていた。
夜、ルカが魔法薬学室に入ると、ユノはひとりで実験台に向かっていた。
部屋の明かりは最低限。
窓から差し込む月光が、彼女の輪郭をぼんやりと照らしている。
「……来てくれて、ありがとう」
ユノは、ガラス瓶をひとつ差し出した。
中には、淡い桃色の液体。
「“想いを伝える前に飲むと、気持ちが整理できる”って言われてる薬。……本当かどうかはわからないけどね」
ユノの手が、小さく震えている。
(伝えたい人がいるんだ、本当に)
そう思った瞬間、ルカの胸がぎゅっと苦しくなった。
「私……」
ルカは、思わずユノの手を掴んだ。
「その人が、私じゃなかったらどうしようって……怖くて」
ユノは驚いたように目を見開いた。
そして、そっと、ルカの頬に手を添える。
「どうして、ルカが泣きそうなの?」
「だって……好きなの。ずっと、ユノのことが」
言ってしまった。
でも、もう止められなかった。
ユノは目を伏せて、小さく笑った。
「……バカだなぁ、ルカ。私がこの薬を使って、気持ちを整理したかった相手って、あなただよ」
え……?
その瞬間、ユノの腕が、そっとルカの背中に回された。
「言葉にするのが、怖かった。
でも、ルカが先に言ってくれたから……もう、逃げないよ」
そのまま、唇がふれた。
優しく、長く、息が混じるキス。
舌を絡めることはなかったけれど、それ以上に気持ちが重なるキスだった。
ルカの指が、ユノの背にそっと触れる。
重ねた体温が、心の奥まで溶かしていく。
「ねえ……ルカ。これ、恋って呼んでいいよね?」
「……うん」
ふたりは見つめ合いながら、もう一度、ゆっくりと唇を重ねた。
心の中で何度もユノの言葉が反芻される。
——好きな人がいるの。
——今は、まだ名前は言わない。
(……もし、それが私だったら——)
期待と怖さが同時に押し寄せてくる。
答えを知るのが怖い。でも、知りたい。
次の日の放課後。
ユノは、いつもより静かだった。
「ルカ、今日……お願いがあるの」
「なに?」
「夜、こっそり寮を抜け出して、実験室に来てくれないかな。ふたりきりで試したいレシピがあるの」
その声はどこか、震えていた。
夜、ルカが魔法薬学室に入ると、ユノはひとりで実験台に向かっていた。
部屋の明かりは最低限。
窓から差し込む月光が、彼女の輪郭をぼんやりと照らしている。
「……来てくれて、ありがとう」
ユノは、ガラス瓶をひとつ差し出した。
中には、淡い桃色の液体。
「“想いを伝える前に飲むと、気持ちが整理できる”って言われてる薬。……本当かどうかはわからないけどね」
ユノの手が、小さく震えている。
(伝えたい人がいるんだ、本当に)
そう思った瞬間、ルカの胸がぎゅっと苦しくなった。
「私……」
ルカは、思わずユノの手を掴んだ。
「その人が、私じゃなかったらどうしようって……怖くて」
ユノは驚いたように目を見開いた。
そして、そっと、ルカの頬に手を添える。
「どうして、ルカが泣きそうなの?」
「だって……好きなの。ずっと、ユノのことが」
言ってしまった。
でも、もう止められなかった。
ユノは目を伏せて、小さく笑った。
「……バカだなぁ、ルカ。私がこの薬を使って、気持ちを整理したかった相手って、あなただよ」
え……?
その瞬間、ユノの腕が、そっとルカの背中に回された。
「言葉にするのが、怖かった。
でも、ルカが先に言ってくれたから……もう、逃げないよ」
そのまま、唇がふれた。
優しく、長く、息が混じるキス。
舌を絡めることはなかったけれど、それ以上に気持ちが重なるキスだった。
ルカの指が、ユノの背にそっと触れる。
重ねた体温が、心の奥まで溶かしていく。
「ねえ……ルカ。これ、恋って呼んでいいよね?」
「……うん」
ふたりは見つめ合いながら、もう一度、ゆっくりと唇を重ねた。
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