魔女とキスのレシピ

春夜夢

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第7話 見られていた背中と、選びたい未来

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次の日の朝、ルカはなんとなく周囲の視線が気になる気がしていた。

誰かがこちらを見ている。
目が合いそうになると、すぐに逸らされる。

(……もしかして)

教室に入ったユノが、ルカの机の前で止まった。
いつもと同じ笑顔。
でもその背後から、クラスの数人がコソコソと視線を投げているのが見えた。

「おはよう、ルカ。今日も中庭、行けるかな?」

「……うん。でも、ちょっとだけ……気になることがあるの」

ルカが目線で指した先、そこにはグループでこっちを見て笑っている生徒たち。

「昨日のこと……見られてたかもしれない」

ユノはその言葉を聞いても、少しも動じなかった。

「そうだとしても、私は気にしないよ」

「でも……私のせいで、ユノが変に言われたりしたら……」

「ねえ、ルカ」

ユノは、椅子を引いてルカの隣に腰掛けた。
みんなの目がこちらに向けられているのが分かっても、堂々とした態度だった。

「私、あなたの“せい”になんてなりたいわけじゃない」

「え……?」

「私は、あなたの“理由”でいたい。
ルカが笑える理由。安心できる理由。恋をしていいって思える理由」

その一言に、胸がきゅっと締めつけられた。

(どうして、こんなにまっすぐに言えるの?
どうして私はまだ、こんなにも怖がってるのに)

「……私ね、嫌だったの。ユノといることを“笑われる”のが」

「うん。わかるよ」

「でも、もっと嫌なのは……
ユノといることを“やめなきゃ”って、自分で思ってしまうこと」

ユノの瞳が、柔らかく揺れる。

「じゃあ、やめないで」

それだけを、静かに、確かに言われた。

その日の昼、ふたりはまた中庭にいた。

でも今日は——
ルカの方から、そっとユノの手を握った。

「……見られてても、いい」

「え?」

「あなたといる時間を、自分から隠すのはもうやめたいって思ったの」

ユノは、その手をぎゅっと握り返す。

「……ありがとう」

春風が、ふたりの髪をそっとなでる。

誰かの視線なんてもうどうでもいい。
だって、私はこの人のそばにいたいって、もう決めたんだから。
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