ROOTs 鬼家 ールーツ オニイエ ー

ただのわたなべ

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序章:謎肉

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この間、知り合った方からこんな話を聞いた。

◯謎肉
子供のころ、謎の肉を食べたことがある。いったいあれは何の肉だったのだろう。
出身は新潟県の◯◯◯◯◯という雪国でも有数の豪雪地帯です。すごい年では5~6Mの積雪になります。今?今は温暖化の影響か全然雪は降らないですね。おかげさまであの地方のスキー場は廃業だらけですよ。スキーブームも終わりましたしね。
雪深い豪雪地方ですから、産業と言う産業はなくて、もっぱら稲作です。昔は養蚕業もしてたみたいですが、廃れてからは衰退の一途を辿る一方です。マタギ衆はいましたね。大分、数が減りましたがまだやってる方はいると思います。実家は猟師ではなかったけど、たまにジビエを分けてもらってました。
その日も小学校から帰ると家族が鍋を作ってました。だけどいつもと違うのは知らない大人達が食卓を囲んでニコニコしていました。どうやら帰りを待っていたようです。
帰るや否や、夕飯になりました。周りの大人達は私がジビエ鍋を食べるのをニコニコ見ています。その時は不思議と不審な気持ちは起きずに言われたままジビエ鍋をつつきました。
美味しい。
一口目で脳に電撃が走ったような感覚に陥りました。
二口目で脳はとろけました。
その後も夢中でジビエ鍋を頬張りました。まぁ最後にはトイレに全部戻してしまいましたが。
トイレから帰ると食卓を囲んでいた大人達はいなくなっていました。なんの肉だったのか母に聞くと、クマ肉とのこと。
ただあの時食べた肉の味は脳の隅に刻み込まれているようで、この間、職場でその肉の話をしました。それではクマ肉を食べてみようと都内のジビエ専門店に行きました。
結論から言うと全然違ったんですよ。あの時食べた肉と。
思い出補正なのか歳をとって舌が肥えたのか。記憶を辿ると、そもそもあの知らない大人達は誰だったのか。その日以来、クマ肉のジビエは食卓に上がったことがない(ウサギやイノシシはあったが)。あの鍋を食べたのは私だけだった。
母に聞いても、ウチでクマは食卓に出た事ないと。
いったい私は何の肉を食べさせられたのか。

◯追記

この話はとある人物から聞いた話だ。まるで『ウミガメのスープ』を連想させられる話であった。
この物語はこの人物の供述をもとになるべく再現して書いているつもりだが、一部は脚色してしまうかもしれない。私も物書きの端くれだから。
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