魔王様を拾ったのは

恵葉

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召喚3

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いやいやいや!頼むぞとか言われても!何言ってるのか、全然!分からないんですけど!
私は頭が真っ白になり、再び意識を失いました。

気が付くと私は、天蓋付きの真っ白いベッドに横たわっておりました。
しかもまたまた勝手に着替えさせられて…。
起き上がると、近くから声が聞こえてきました。
「聖女様!お目覚めになられましたか!誰か!神官長様と魔法省長官をお呼びください!聖女様が目覚められました!」
はぁ?!こんな透けるような薄着の状態なのに、人を呼ぶって、何を考えているの!?
「ちょっと待って!こんな格好で人様に会うなんて出来ません!」
慌てて止めると、その女性は慌てて近くの椅子の背に掛けられていたローブを手に私に近寄ってきて、肩にローブを掛けてくれた。
そのローブの袖に腕を通しながら、ベッドから降りようとすると、室内履きなのか、真っ白な靴が床に置かれました。
何故かサイズがぴったりな靴に、少し疑問を抱くも、ローブの前を閉じると、控えていた女性がウエストに帯のようなものを撒いて結わえてくれました。

その時、扉をノックする音が聞こえ、ドア口に控えていた女性が扉を開け、倒れる前に広間に居た、青い服の男性と、もう一人白に金の刺繍の入った、いかにも宗教関係の偉い人的な風貌の中年男性が入ってきました。

部屋にいる女性たちに案内されて、その男性方と私は、向かい合ってそれぞれに一人掛けのソファに座りました。
「ノエル殿、この度は我が国の聖女召喚の儀に応じてくださってありがとうございます。
私はこの国の大神殿の神官長を務めさせていただいております、サミュエルと申します。」
「そして私は、先ほどもお会いしましたが、この国の魔法省長官を務めさせていただいております、グランと申します。
聖女様を召喚した魔術師は、只今、魔力枯渇の為に昏睡状態ですので、また改めて紹介させていただきます。」
相変わらず全く状況が理解できず、無言でいる私に、二人の男性はニコニコとして話し続けた。

どうやら私は、あの酔っぱらって家へ帰る途中、教会の前で、この国の聖女召喚とやらで、転移させられてしまったらしい。
聖女召喚だの魔法だのがあるという事は、この世界は私の世界ではなく、異世界という事で、私は聖女として異世界へ無理やり連れてこられてしまったらしい…。

聖女の役割とは、大神殿での祈祷と、年に数回のこの国の四方向にある別の神殿での祈祷…それにより結界が維持され、魔物が侵入し辛くなるとか。
更には諸外国からの使者が王宮へ来るときに、王族と一緒に出迎えたり、最終的には王族の誰かと結婚して跡継ぎを作る事だと。
通常、その聖女の子供は、女の子だったら次期聖女になるのだそうです。
若しくは聖女から女児が生まれなくても、国王夫妻に女児が生まれた場合、その子が聖女の資質を受け継いで生まれてくるらしいです。
しかし先代の国王夫妻には、今の陛下お一人しか子供が生まれなかった…。
肝心の先代の聖女様は先代国王の妹君だったらしいのですが、身体が弱く、子をなすことなく、亡くなってしまったそうなのです。
以来、結界は年々弱まり、もう持たないところまできて、古の聖女召喚に踏み切ったというわけだそうです。
つまりは只今、聖女様不在で、最後の手段とばかりにだったようです。

って言われても!私にとっては冗談じゃないって話なのですが!
他の先々代のお子達は?その方々のお子達ではダメなの?!
と思って聞いたのですが、まず聖女様か、国王夫妻からしか、聖女様の資質を持ったものは生まれないのだそうです。
例えば、聖女様から女の子が二人生まれ、片方が次期聖女になった場合、もう一人はどれだけ女の子を産んでも、聖女の資質のある子どもは生まれない。
何か不思議な力で聖女が何人も生まれないようになっているのだとか?
だったらもう聖女とやらに頼るのは止めようよとも思うのですけど。

それで話を戻しまして…そんなわけで、私は聖女様なのだと。
だからこれから聖女として勉強し、聖女として働き、国王陛下と結婚しろと…。
いやいやいや!ちょっと待ったぁ!私の意思はどうなるの?!
そもそも私が聖女かどうかなんて、分からないじゃない!勝手に聖女って決めつけないで頂きたい!
と言いましたら、胸を張って言われてしまいました。
「心配なさらずとも、ノエル様が聖女に間違いはありませんし、国民に知らしめるためにも、聖女の発表の場では、ノエル様が聖女であることを証明するための儀式もございます!
事前に本番同様に進行も練習致しますので、その際にハッキリ致します!」
「ちょっと待ってください。
その練習で私が聖女では無いってなったら、どうなさるのですか?!」
「…ノエル様が聖女ではないなんて事は有り得ません!
我が国一番の魔術師が召喚したのですよ!それも命を落とすかもしれない、危険な召喚術を使って!」
それでも必死で世の中、万が一なんて事はあるのだからと説得し、前以て私が聖女かどうか、確認する事になりました。
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