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ビレトの思惑
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岩の上に佇むベネの元に、多くの魔族や魔獣がやってきて、取り囲みました。
「居たぞ!裏切り者だ!あいつをやってしまえ!」
有無を言わさずベネへ攻撃してきました。
必死で応戦するベネですが、突然、攻撃が止みました。
そして魔族や魔獣らの大群の真ん中が、川のように分かれて通路が出来、その真ん中をゆっくりと歩いてくる少年が居ました。
肩には付かないくらいの長さの明るい茶色の髪に、焦げ茶色の瞳の少年です。
真っ黒なライオンの毛皮のマントを羽織り、頭には魔王であった父親の王冠を頭にしたその少年は、ベネに向かって笑顔を向けました。
「ベネ…これだけの兵に囲まれても頑張っているようだな…。」
「ビレトなのか?」
ベネがそう尋ねた瞬間、ビレトに対し、神戸を垂れていた魔族の一人が、長い鞭を振るった。
油断していたベネに見事に当たり、ベネは岩の上から落ちてしまった。
「貴様!反逆者の分際で不敬であるぞ!」
そう言って更に鞭を、二回、三回と振るってきた。
「ギャン!」
ベネの悲鳴が上がっても、ビレトは止めもせず、寧ろその笑顔が更に大きくなっていた。
「現状が理解できないだろう?ねぇ、ベネ?
お前は魔王であったお父様に歯向かい、更には兄上たちを騙して先導し、彼らを戦わせて滅亡させた裏切り者なのだよ…。」
「お…俺はそんな事してない!ギャン!」
否定した瞬間、再び鞭が振られた。
「誰が勝手に発言して良いと言った!」
「な…何でこんな事…ギャア!」
鞭で打たれながらも、ベネは聞いた。
「俺は確かに父上と母上の子ではあるが、俺はどこまで行っても王にはなれなかったんだよ、あのままでは。
一生兄上の下で…。
でもおかしいじゃないか?
同じ兄弟なのに、色がそんなに重要か?生まれた順番がそんなに重要か?
そんなことは無い。
この世は実力なんだよ。
だから俺は奪ってやったんだ。
そしてお前は立派な反逆者にしたててやった。
何せお前はもっと早くに殺されるはずが、何故か人間や聖獣と一緒に居やがったからな。
でもここまでだ。
バカだな…聖獣とともにさっさとこの森から逃げて行っていれば命は助かったものを。
一人でのこのこやってくるなんてな。
これでお別れだ…あの世で父上や兄上たちと仲良くな!」
そういって笑いながら背を向け、肩越しに言った。
「殺れ!」
次の瞬間、空から目を開けていられないほどまぶしい光の玉が降ってきた。
そして光の玉が地面に着く瞬間、その中から手が伸びてきて、ぐったりしたベネを掴んで光の中へ引きずりこみ、光の玉は再び空へ上がって行った。
振り返ってそれを見たビレトは、光の玉が空へ上がって行き、目を開けられるようになった途端に叫んだ。
「反逆者はどこへ行った!追え!あいつを逃がすな!
捕らえて殺せ!!!」
光の玉はロンでした。
ロンの背に乗った私がベネを掴み、ロンの背に乗せ、救出したのでした。
ビレトによってベネは、魔族の中でも反逆者の汚名を着せられ、更には兄弟を騙してクーデターを起こさせた最悪の犯罪者となり、魔族の居る森や魔族の間でも、暮らしていく子とは出来なくなってしまいました。
とはいえ、ベネも魔族に違いは無いので、基本的には人間と一緒に暮らしていくのも難しい。
私たちはベネを連れて、更に国境沿いの方へ向けて移動したが、この集団では、至る場所が暮らし辛い場所となってしまった。
鞭で散々叩かれたベネは、精神的ショックもあったのか、なかなか目を覚まさない。
魔族に追われている今、一刻も早く、国境へ向かった方が安全という事で、意識の戻らないベネは私が抱きかかえたまま、移動を続けた。
ロンの背に乗って移動すれば早いのですが、そうすると私たちがどこへ逃げたのか、魔族にも人間にも分かってしまう。
とにかく国境まではと、魔獣や魔族から隠れながら、移動しました。
あと少し…あと少し…。
それにしてもベネ…これからどうしよう…。
「居たぞ!裏切り者だ!あいつをやってしまえ!」
有無を言わさずベネへ攻撃してきました。
必死で応戦するベネですが、突然、攻撃が止みました。
そして魔族や魔獣らの大群の真ん中が、川のように分かれて通路が出来、その真ん中をゆっくりと歩いてくる少年が居ました。
肩には付かないくらいの長さの明るい茶色の髪に、焦げ茶色の瞳の少年です。
真っ黒なライオンの毛皮のマントを羽織り、頭には魔王であった父親の王冠を頭にしたその少年は、ベネに向かって笑顔を向けました。
「ベネ…これだけの兵に囲まれても頑張っているようだな…。」
「ビレトなのか?」
ベネがそう尋ねた瞬間、ビレトに対し、神戸を垂れていた魔族の一人が、長い鞭を振るった。
油断していたベネに見事に当たり、ベネは岩の上から落ちてしまった。
「貴様!反逆者の分際で不敬であるぞ!」
そう言って更に鞭を、二回、三回と振るってきた。
「ギャン!」
ベネの悲鳴が上がっても、ビレトは止めもせず、寧ろその笑顔が更に大きくなっていた。
「現状が理解できないだろう?ねぇ、ベネ?
お前は魔王であったお父様に歯向かい、更には兄上たちを騙して先導し、彼らを戦わせて滅亡させた裏切り者なのだよ…。」
「お…俺はそんな事してない!ギャン!」
否定した瞬間、再び鞭が振られた。
「誰が勝手に発言して良いと言った!」
「な…何でこんな事…ギャア!」
鞭で打たれながらも、ベネは聞いた。
「俺は確かに父上と母上の子ではあるが、俺はどこまで行っても王にはなれなかったんだよ、あのままでは。
一生兄上の下で…。
でもおかしいじゃないか?
同じ兄弟なのに、色がそんなに重要か?生まれた順番がそんなに重要か?
そんなことは無い。
この世は実力なんだよ。
だから俺は奪ってやったんだ。
そしてお前は立派な反逆者にしたててやった。
何せお前はもっと早くに殺されるはずが、何故か人間や聖獣と一緒に居やがったからな。
でもここまでだ。
バカだな…聖獣とともにさっさとこの森から逃げて行っていれば命は助かったものを。
一人でのこのこやってくるなんてな。
これでお別れだ…あの世で父上や兄上たちと仲良くな!」
そういって笑いながら背を向け、肩越しに言った。
「殺れ!」
次の瞬間、空から目を開けていられないほどまぶしい光の玉が降ってきた。
そして光の玉が地面に着く瞬間、その中から手が伸びてきて、ぐったりしたベネを掴んで光の中へ引きずりこみ、光の玉は再び空へ上がって行った。
振り返ってそれを見たビレトは、光の玉が空へ上がって行き、目を開けられるようになった途端に叫んだ。
「反逆者はどこへ行った!追え!あいつを逃がすな!
捕らえて殺せ!!!」
光の玉はロンでした。
ロンの背に乗った私がベネを掴み、ロンの背に乗せ、救出したのでした。
ビレトによってベネは、魔族の中でも反逆者の汚名を着せられ、更には兄弟を騙してクーデターを起こさせた最悪の犯罪者となり、魔族の居る森や魔族の間でも、暮らしていく子とは出来なくなってしまいました。
とはいえ、ベネも魔族に違いは無いので、基本的には人間と一緒に暮らしていくのも難しい。
私たちはベネを連れて、更に国境沿いの方へ向けて移動したが、この集団では、至る場所が暮らし辛い場所となってしまった。
鞭で散々叩かれたベネは、精神的ショックもあったのか、なかなか目を覚まさない。
魔族に追われている今、一刻も早く、国境へ向かった方が安全という事で、意識の戻らないベネは私が抱きかかえたまま、移動を続けた。
ロンの背に乗って移動すれば早いのですが、そうすると私たちがどこへ逃げたのか、魔族にも人間にも分かってしまう。
とにかく国境まではと、魔獣や魔族から隠れながら、移動しました。
あと少し…あと少し…。
それにしてもベネ…これからどうしよう…。
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