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食堂のお手伝いをしたり、ご主人に弱い治癒魔法をかけたりしながら、お客さん達や女将さんや、ご近所さんから色々な話を聞いた。
検問の厳しい日と緩い日とあることも分かった。
どうも検問の係官によって、差があるらしい。
更には隣国からこちらの国へ移住した人達から、隣国の話も色々聞いた。
隣国から移住したという事は、その人にとっては、隣国よりもこちらの国の方が良かったという事で。
じゃあ隣国の何がダメだったのかと…そこは移住を考える上では、とても大切。
この食堂の女将さんは、ご家族が流行り病でみんな亡くなってしまい、その時に助けてくれる人が誰も居なくて、この国へ来たのだそうです。
人間関係は、この街だけかもしれないけど、この国の人々の方が優しくて、隣国の女将さんが生まれ育った街は、とても希薄だと言っておりました。
「でも私たちにとっては、希薄な方が良いんじゃない?」
夜、離れで相談している時に、ヒースに言ってみた。
「何で?」
「だって私、追放されたんだよ~魔族とか言われちゃったんだよ~
それにベネだって今後、どうなるか分からないけど、魔王の子である事は変わりないし…。
希薄なくらいの方が、私たちの正体がバレなくて良いと思うけどなぁ。」
「いやその前に、ノエルは魔族じゃなくて、聖女でしょ…。
百歩譲っても神に関係する者でしょ…ロンやファルコが居るんだから…。」
「えーでも私、聖女とかやるつもりないよ。
だってね、勝手に無理やり召喚されて、挙句の果てに断罪だよ?
誰のために聖女なんてやるっていうの?
私が聖女の持つ力を誰かのために使う時は、それは仲間の為くらいだよ。」
「…やっぱりノエルは我が国の事は恨んでいるのか?」
「…少しはね…。
でも恨んでいるというよりも、切り捨てたい。
私には関係の無いものとして。
恨むよりも切り捨てる方が、私の精神衛生上、良いって思わない?
ほら!“好きの反対は無関心”って言うじゃない?」
「何だ?それ?」
「例えば男女の愛情のもつれで、例えばどちらかが浮気して、拗れて、浮気された側が、した側を、憎く思っているうちは、まだ復縁の可能性はゼロではないけど、浮気された側が、浮気した相手をこんな奴、もうどうでも良いやって、心の底から思ってしまったら、もう復縁は難しいんだって。」
「どうして?憎んでいる方が難しいんじゃないの?」
「憎んでいる場合は、まだ相手に対して執着があるんだよ。
でも無関心になってしまったら、それはもうどうでも良い相手であって、関心が全く無いわけだから、好きになってもらいようもないでしょ。
それがスタート地点だったら、先ずは関心を持ってもらってってスタート出来るけど、元々は愛情があったものが減って行って無関心になったわけだよ、それはもう関心も持とうとさえも思わないでしょ。
だから難しいんじゃないの?」
「ノエル…何かまるで悟りでも開いているようだよな…ん?やっぱり聖女?!」
「いやいやいや!聖女と悟りを云々は関係ないかと。
色々悟っちゃったのはね、こんな人生を生きていれば、悟りも開けてくるよ…。」
何となく誰も何のフォローも入れられず、手元のお茶をすすった。
「ねぇ…一回、試しに隣国へ堂々と国境を越えて、行ってみるのはどうかな?
それでまた戻ってくるの。
戻ってくるなら問題は無いでしょ?」
「そうだな…。ただどうやって検問を超える?」
「女将さんに聞いてみようか?」
翌日、私たちは、女将さんに相談してみた。
女将さんによると、単なる旅行だったら、身分証と、申請書を出せば、割と簡単に行き来出来るらしい。
ただしちゃんと戻るという証人が必要となるとか。
ヒースのお兄さんに頼むことが出来れば良いけど、残念ながらそれは出来ず。
どうしたものかと悩んでいたら、女将さんが証人になってくれるという。
「何でそんな親切に?」
「代わりに頼みたいことがあるんだよ…。私の身内はもう誰も居なくなってしまったんだけどね、幼なじみが居るんだよ。
手紙のやり取りは出来るんだけど、私はもうあっちの国へは行けなくて、なので幼なじみの様子を見てきて欲しいのさ。」
旅行や商売などでの行き来は良いけど、移住というのは、そんな簡単な話ではないようで。
女将さんは、もしかしたら、不法滞在の末に結婚し、正式な居住権を取ったのかも。
でも捨てられた方の国としては、そんな簡単な話ではないのかも。
それでも直接、隣国へ行けることになり、かなり嬉しい。
検問の厳しい日と緩い日とあることも分かった。
どうも検問の係官によって、差があるらしい。
更には隣国からこちらの国へ移住した人達から、隣国の話も色々聞いた。
隣国から移住したという事は、その人にとっては、隣国よりもこちらの国の方が良かったという事で。
じゃあ隣国の何がダメだったのかと…そこは移住を考える上では、とても大切。
この食堂の女将さんは、ご家族が流行り病でみんな亡くなってしまい、その時に助けてくれる人が誰も居なくて、この国へ来たのだそうです。
人間関係は、この街だけかもしれないけど、この国の人々の方が優しくて、隣国の女将さんが生まれ育った街は、とても希薄だと言っておりました。
「でも私たちにとっては、希薄な方が良いんじゃない?」
夜、離れで相談している時に、ヒースに言ってみた。
「何で?」
「だって私、追放されたんだよ~魔族とか言われちゃったんだよ~
それにベネだって今後、どうなるか分からないけど、魔王の子である事は変わりないし…。
希薄なくらいの方が、私たちの正体がバレなくて良いと思うけどなぁ。」
「いやその前に、ノエルは魔族じゃなくて、聖女でしょ…。
百歩譲っても神に関係する者でしょ…ロンやファルコが居るんだから…。」
「えーでも私、聖女とかやるつもりないよ。
だってね、勝手に無理やり召喚されて、挙句の果てに断罪だよ?
誰のために聖女なんてやるっていうの?
私が聖女の持つ力を誰かのために使う時は、それは仲間の為くらいだよ。」
「…やっぱりノエルは我が国の事は恨んでいるのか?」
「…少しはね…。
でも恨んでいるというよりも、切り捨てたい。
私には関係の無いものとして。
恨むよりも切り捨てる方が、私の精神衛生上、良いって思わない?
ほら!“好きの反対は無関心”って言うじゃない?」
「何だ?それ?」
「例えば男女の愛情のもつれで、例えばどちらかが浮気して、拗れて、浮気された側が、した側を、憎く思っているうちは、まだ復縁の可能性はゼロではないけど、浮気された側が、浮気した相手をこんな奴、もうどうでも良いやって、心の底から思ってしまったら、もう復縁は難しいんだって。」
「どうして?憎んでいる方が難しいんじゃないの?」
「憎んでいる場合は、まだ相手に対して執着があるんだよ。
でも無関心になってしまったら、それはもうどうでも良い相手であって、関心が全く無いわけだから、好きになってもらいようもないでしょ。
それがスタート地点だったら、先ずは関心を持ってもらってってスタート出来るけど、元々は愛情があったものが減って行って無関心になったわけだよ、それはもう関心も持とうとさえも思わないでしょ。
だから難しいんじゃないの?」
「ノエル…何かまるで悟りでも開いているようだよな…ん?やっぱり聖女?!」
「いやいやいや!聖女と悟りを云々は関係ないかと。
色々悟っちゃったのはね、こんな人生を生きていれば、悟りも開けてくるよ…。」
何となく誰も何のフォローも入れられず、手元のお茶をすすった。
「ねぇ…一回、試しに隣国へ堂々と国境を越えて、行ってみるのはどうかな?
それでまた戻ってくるの。
戻ってくるなら問題は無いでしょ?」
「そうだな…。ただどうやって検問を超える?」
「女将さんに聞いてみようか?」
翌日、私たちは、女将さんに相談してみた。
女将さんによると、単なる旅行だったら、身分証と、申請書を出せば、割と簡単に行き来出来るらしい。
ただしちゃんと戻るという証人が必要となるとか。
ヒースのお兄さんに頼むことが出来れば良いけど、残念ながらそれは出来ず。
どうしたものかと悩んでいたら、女将さんが証人になってくれるという。
「何でそんな親切に?」
「代わりに頼みたいことがあるんだよ…。私の身内はもう誰も居なくなってしまったんだけどね、幼なじみが居るんだよ。
手紙のやり取りは出来るんだけど、私はもうあっちの国へは行けなくて、なので幼なじみの様子を見てきて欲しいのさ。」
旅行や商売などでの行き来は良いけど、移住というのは、そんな簡単な話ではないようで。
女将さんは、もしかしたら、不法滞在の末に結婚し、正式な居住権を取ったのかも。
でも捨てられた方の国としては、そんな簡単な話ではないのかも。
それでも直接、隣国へ行けることになり、かなり嬉しい。
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