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手紙はいりこの人からクライドさんに手渡されてあの王弟殿下の幼なじみに送られるらしい。

そして私といりこの人は食堂へいくぞ!食堂とごはんが私といりこの人を待っているんだぜ!じゅるり。

ごっはん♪ごっはん♪今日のごはん何だろうな♪

「にゃあ♪にゃあ♪にゃあにゃあにゃ♪」

いりこの人は私の前足でリズムに乗ってフリフリしている。とっても楽しそうである。

………すれ違い様に挨拶していく侍従さんやメイドさんがなんか微笑ましいものを見たような顔をするんだが何でだろう?
一部の人、笑っている気がするしな。

………うーん?

……………………………………………………。

………は!私の歌が下手なのか?ガーン!

「ん?どうした?歌わないのか?」

「にゃ、にゃあ(私の歌って下手なのか)?」

前足はいりこの人が持ったまま、ウルウルした目でいりこの人を見る。

私、下手…下手なのか………?並みぐらいだと思っていたのに………。

いりこの人は撫で撫でしてくれた。

「大丈夫、上手いぞ………(可愛いしな)」

そ、それなら、気にするまい。ちらり。

いりこの人の顔を見ると嘘ではなさそうである。よかった!

「聞かせてくれないか?」

………それじゃあ遠慮なく。

「にゃあ♪にゃあ♪にゃあにゃあにゃ♪」

ごっはん♪ごっはん♪待ち遠しい♪

「にゃあにゃあにゃあにゃあにゃ♪」

いりこもジャーキーも大好きだ♪

いりこの人もノリノリで私の前足を使って遊んでいる。

お、着いたな。

食堂に着いていりこの人はいつもの場所に座ると私を膝の上にのせた。もちろん人の姿にはならないぜ。

ひょい!

前足を机の上にのせて顔を覗かせると、ちょうど給仕の人が料理を運んできたところだった。通常ならマナー通りの置き方をする皿とナイフやフォークなどが、一部変則的に置かれている。私にいりこの人が食べさせてくれるからである。

甘えすぎだって?
うん、わかってるんだがつい………な。

た、たまには自分で食べるとしようか。

机の上に上がろうとすると膝の上に戻された。

「にゃあ(今日は自分で食べるぞ)」

「…………………(ガーン)」

ん?どうした?いりこの人。ショックを受けた顔して……………。

おーい?大丈夫か?前足でフリフリ、ちょっと顔の前にするには足りないがなんとか振ってみる。

フリフリフリフリ。

………こりゃあダメだな。はぁ。

おーいお腹すいたぞ~。一人で全部………は無理だけと食べちゃうぞ~。スープはともかくサラダやその他料理に全部歯形つけちゃうぞ!

「ん?それはかわいいな。」

あ、もとに戻った………ってかわいくないぞ、それは。むしろ歯形はダメだって怒るべきだろ、それ。
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